トゥルルルル
「はい、119番鬼の国消防です。火事ですか?救急ですか?」
「救急ですね。場所はどこですか?」
「何がありました?」
「お名前と傷病者との関係を教えてください。」
「救急車のサイレンが聞こえたら道へ出て案内をお願いします。」
トゥルルルル
「はい、119番鬼の国消防です。」
「はい、119番鬼の国消防です。」
「はい。・・・はい。・・・こちらの声が届いていないのか?」
「すぐに救急車が行きますからね。安心してください。」
情報指令課の鬼「通報者は、外出中であること、聴覚・言語機能障がいがあること、そして強いめまいの症状があることを、携帯電話から一方的に述べている。こちらからの声は聞こえていない様子。声から成人女性と思われる。指令場所はGPSによる情報。誤差があると思われる。付近を検索されたい。どうぞ。」
情報指令課の鬼「聴覚・言語機能障がいのある方は、音声による119番通報が困難だ。自宅からなら以前からファックスで119番通報できるし、固定電話からの119番通報なら場所の特定は確かだ。彼らにとって、外出中の事故や急病が最も不安な事態なんだ。GPSの位置情報は、精度が悪いとあてにならないから。たとえ聞こえていなくても『安心してください』と言わずにいられなかったよ。」
情報指令課の鬼「現在『Net119緊急通報システム』というものの普及を進めているところなんだ。」
情報指令課の鬼「『Net119緊急通報システム』は音声によらない緊急通報で、チャットや周囲の写真を送ることで状況を伝えたり、周りの人に通報をお願いすることができるんだ。事前登録が必要だから、今、会話に不自由な聴覚・言語障がいのある方に広めているところなんだが。」
消し太は女性の症状が出る前日に時空を超えて戻り、『Net119緊急通報システム』の登録を完了させた。
女性は、外出先で急なめまいを生じた。聴覚に障がいのある彼女は、前日ふいに目に留まり登録した『Net119緊急通報システム』を使うことにした。
女性「あらかじめ大きなタッチボタンが用意してあって助かる。声以外のチャットでの文字でのやりとりや画像で情報を送ることができるのはうれしい。事前に登録しておいてよかった!」
赤色の光を放つ救急車が見えてきた。もし『Net119緊急通報システム』を使えなければ場所の特定に時間がかかったかもしれない。
救急車から降りた隊員が小走りで近づいてくる。
消し太「情報指令課の鬼の『安心してください。』を救急の鬼を通じて傷病者に届けることができたぜ!しかも『Net119緊急通報システム』を事前に登録していたからスムーズに救急隊が到着することができた。オレ様のかくれた活躍でな!」
消し太「ここからは救急の鬼に任せれば大丈夫だ。」
おしまい。
岡山市消防局では『Net119緊急通報システム』を導入し、救急隊員に手話研修を行っています。
市民の方へ『安心』を届けるために。
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