株式会社エフピコは、精肉や鮮魚、総菜などを入れるトレーや弁当トレーのトップメーカーです。
1990年からリサイクルに取り組んでおり、「トレーtoトレー」、「ボトルtoトレー」での循環型リサイクルを世界で初めて行いました。
これは、「エフピコ方式」と呼ばれ、全国1万超のスーパーマーケットの店頭で使用済みのトレーや、透明容器、ペットボトルを回収し、リサイクル工場で原料に戻し、もう一度食品トレーを作り提供しています。できたトレーは「エコトレー」、「エコAPET」と名付け、多くのスーパーで再利用されています。これにより、原油から新しく作るトレーと比べCO2排出量を30%削減でき、プラスチックごみ問題も起きません。
【写真:株式会社エフピコ 藤井宣裕マネージャー】
トレーは、白いものと色や柄が付いたものに分けて回収します。
回収したものの大半はリサイクル可能ですが、カップ麺や納豆などで使用された汚れのひどいものや、素材的にリサイクルできないものが約7.8%含まれています。
【写真:スーパーマーケットの店頭回収等で集められたトレー】
【出典:株式会社エフピコ】
リサイクル工場に運ばれたトレーは、手作業で選別され、粉砕された後に洗浄・脱水し、再度の粉砕、溶解を経て米のような粒上のペレットに生成されます。ペットボトルも同様に、洗浄後、高温真空の反応炉を通過させて汚れを取り除き、PET素材に再生させています。
【写真:手作業でトレーを分ける様子】
【写真:粒状のペレット】
現在、福山工場を含めた全国3カ所のリサイクル工場と10カ所の工場で対応しています。生産する全食品容器のうち、再生原料容器の比率は44%を占めています。
通常トレーとエコトレーでは、見た目や形状が同じため違和感なく使用いただいています。リサイクルトレーを使用していることを売り場のポップなどで掲示し、顧客にリサイクルを呼び掛ける「エコ売り場」づくりの支援もしており、環境に配慮した企業姿勢がアピールできると喜ばれています。
また、当社とトレー回収のリサイクルに取り組むことで、年商800億円で店舗数50店舗のスーパーの場合、容器包装リサイクル法のリサイクル義務費用削減とトレー回収による有償回収金額を合わせて年間800万円のコストメリットにつながったケースもあります。
紙製や植物由来原料の食品容器について研究しています。紙製の容器は、汁漏れなどの不具合が起きやすく、泡を固めた発砲素材トレーの重さが7から9gに対し、20g程度になり、製造工程のCO2排出量は紙の方が多くなります。紙製の場合、ロスのない回収リサイクルの流れを構築しにくいデメリットもあります。
植物由来のものは、石油で作るのと原子構造は同じため製造は容易なのですが、原材料が十分ではなく、畑で原料を作るため、食糧難も懸念される中、食料とのトレードオフを考えなければいけません。
将来的には、新素材も視野に入れていますが、現状は、循環型リサイクルでエコ容器の比率を上げていくことが重要だと考えています。
【写真:エコトレーのマークが入っている】
【写真:リサイクルした様々なエコトレー】
2021年度は、18億8500万枚の発砲トレー、30億本のペットボトルを回収し、約17万トンのCO2削減を達成しました。
CO2削減をさらに進めるために、22年3月には関東工場、4月に岐阜工場に太陽光発電システムを設置しました。
2025年3月期の全社でのカーボンオフセット宣言を目指して取り組んでいきます。
取材先:株式会社エフピコ
サスティナビリティ推進室 コミュニケーション推進課
マネージャー 藤井宣裕氏
所在地: 〒700-8554 岡山市北区大供一丁目2番3号
電話: 086-803-1321 ファクス: 086-803-1876