農業・農村は、食料を生産する場であると共に、国土の保全や洪水防止など多面的機能を有しているが、農業の近代化や農村の都市化により、かつての原風景が失われ、身近に見られた生き物も次第に減少している。
このため、公共事業のあり方や良好な環境に対する国民の関心が高まってきたことから、食料・農業・農村基本法(平成11年法律第106号)において、農業生産基盤の整備に当たっては、「環境との調和に配慮しつつ」必要な施策を講ずることとされた。このことを受け、土地改良法(昭和24年法律第195号)においても、事業実施の原則に「環境との調和に配慮すること」を位置づける改正がなされ、平成14年4月1日に施行された。
本市においても農業農村整備事業の実施に当たって、自然と共生する田園環境の創造に貢献するないように転換し、環境との調和に配慮するため、農村地域ごとの特性を踏まえて、将来の地域のあり方を明確にした基本方針である「田園環境マスタープラン」を平成13年度に策定した。
平成17年に御津町及び灘崎町、平成19年に建部町及び瀬戸町との合併が行われ、合併後の本市に即した基本方針を策定する必要があったことから、このたび「田園環境マスタープラン」の内容を盛り込んだ「岡山市農村環境計画」を策定した。
岡山市農村環境計画を策定するに当たり、住民意向を反映させるためアンケート調査をおこない、その集計結果を参考に現状の課題等を整理しました。その後、環境保全目標(キャッチフレーズ)・区別の基本方針を定めてから全体整備構想の検討をおこない、農業農村整備事業の実施にあたっての方針となる環境創造区域及び環境配慮区域のゾーニングをおこないました。
アンケート調査等による課題を自然環境、社会環境、生産環境、住民意向に分類し整理をおこないました。
項目 | 課題 |
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自然環境(動植物) | ・貴重な自然から身近な自然まで多様であるため、整備にあたっては開発・保全のバランスが必要である。 ・水路や河川に流入する水質の維持・保全・改善が必要である。 ・自然環境への配慮に関心が高まりつつあるが、ゴミ投棄などマナーの啓発、希少種や外来生物に対する知識については一層の普及が必要である。 |
自然環境(景観) | ・特徴的な景観に加え、身近で親しみやすい河川や田園、里山などの景観にも配慮が必要である。 |
社会環境(地域指標) | ・高齢化や過疎地域においては、集落維持・農地維持の面からも、魅力ある農村づくりが必要である。 ・後継者を確保するために、魅力ある農業づくりが必要である。 ・グリーン・ツーリズムや特産品の開発、地域の食の活用など、観光と連携した新たな展望が望まれる。 |
社会環境(土地利用) | ・地域の実情に合わせた計画的な土地利用が必要である。 ・基盤整備においては、営農性の向上と自然環境への配慮のバランスが必要である。 |
社会環境(歴史・文化) | ・おかやまの歴史・文化や風土を活かした農村づくりが必要である。 ・歴史的建造物などとの景観調和を図ることが必要である。 |
生産環境 | ・ハード整備による生活環境の整備や営農性向上に加え、農家数の減少や後継者不足に対応するソフト対策も必要である。 |
住民意向 | ・住民の意向を反映した計画づくりが必要である。 ・自然環境への配慮に加え、景観面、維持管理面、安全面、快適性、機能性への配慮も必要である。 ・誰もが参加しやすい農村地域づくり活動の展開が必要である。 |
市の現状と課題を3つの観点で整理し、農業農村整備における環境保全の基本的な考え方を以下のとおり設定しました。
市において行われる農業農村整備事業における環境保全目標(キャッチフレーズ)及び、区別の基本方針を設定しました。
「晴れの国」で育む水・土・里の恵み
多様な自然を生かした、地域で支える農村環境づくり
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