飛行船から親子をそっと見守り、サポートが必要な時には降り立ちたいという思いが込められた「ひこうせん」。
子どもと親が共に育ち合う環境づくりを目的に、2001年に発足した子育て支援団体です。20周年を目前に控えた「ひこうせん」について、代表の赤迫さんに現在行っている活動や今後の展望をお聞きしました。
「ひこうせん」は「子育て中の親や、子ども同士の交流事業」「親育ち事業」「子育て支援者サポート事業」「利用者支援事業」などを行っています。
私たちの願いは、各事業を通じて子どもに豊かな心が育まれることです。遊びや人との交流を通して、子ども自身の感性を育てていくこと、と同時に保護者自身が「子育ては楽しい」「やりがいがある」「幸せ」と思えることを大切にしています。
そのサポートとして、親子の交流を促進しながら、共に育ちあっていけるよう心がけています。
伊部駅からほど近い場所、備前焼通りが立ち並ぶ一角にある古民家で開設した「ひこうせん」の活動拠点です。団体の設立当初は、公民館や公園といった公共の空間で活動していましたが、現在はこの「くるみの森」をコミュニティの場として、備前市地域子育て支援拠点「わくわくるーむ」という自由に親子が集えるひろばも運営し、年間のべ1万人以上の方に利用いただいています。
裏庭では、土や水、草花など自然物を使って思い思いに遊ぶ子どもたちの姿が見られたり、室内では、「五感や成長を応援する」という視点でそろえられた木製のおもちゃで遊べます。
また、お母さん同士がテーマでお話をする申込制の「サロン(講座)」で子育ての学び合いや情報交換を行う活動にも力を入れています。
さらに、2020年4月には、生後6か月から就学前までのお子さんを対象にした一時預かり「くるみえん」がスタート。1時間単位での利用が可能なので、仕事はもちろん、兄弟姉妹の参観日や通院、お買い物の合い間など、色々な場面で子育て中の家庭をサポートできます。
1日3名と少人数ですが、1人1人の子どもに合わせた保育と、子育ての主役であるご家庭の思いを尊重した一時保育を目指しています。
子育てをしていく上では、子どもの発達段階を知ることで子どもを理解しやすくなり、穏やかな気持ちで子育てができると考えているので、子どもの発育に合わせた「講座」を、子育て支援拠点内で多数開いています。
乳幼児期の子どもを持つ保護者には、年齢に合った遊びや声かけの仕方を紹介する「子育て寺子屋」、小学校入学を控えた子どもを持つ保護者には、スムーズな就学に向けた家庭での準備について考える「入学前に応援できること」など、年齢によって様々なテーマを設けています。
時代のニーズをいち早く捉え、最近であれば、乳幼児期から学童期に合わせた電子メディアとのつきあい方や、自分を誇りに思える自己肯定感の育み方などにも力を入れています。
「自分のまちでも、地域で子育て支援をする活動をもっと充実させたい」「子育てに関する講座を開きたい」といった相談が寄せられることもあります。そのような声に応えるため、「くるみの森」で実施した講座やサロンを「出前講座」という形で開催しています。2019年度は、県内の自治体や学校、子ども園などで計86回の出前講座を実施しました。
「子育て支援のサポート事業」では、私たちと同じように県内各地で子育て支援を行うスタッフの方の見学受け入れをおこなったり、スタッフ同士で学び合いながら情報交換をするネットワークを構築しています。
今、私たちが注目しているのは、第1子を妊娠中・出産直後の方です。初めて経験する出産に対して、不安を抱えたり、孤立しやすいため、手厚いサポートが重要だと考えています。「くるみの森」でも、妊娠中の方同士が交流するサロンや、助産師さんに相談できる場を設けています。
また、子育て支援をコーディネートする「利用者支援事業まある」を活用して、産院の母親学級に出向き、お住いの地域周辺にある子育て支援施設を紹介する活動も行っています。こうして、マタニティ期から思春期まで、切れ目のない支援を、よりいっそう充実させていきたいです。
築100年の古民家を活用した「くるみの森」に拠点を構え、子育て支援を行うNPO法人。
理事を含む約15名のスタッフが中心となり、親子同士が交流できる場や、子どもの年齢やテーマ別の講座など、さまざまな活動に取り組んでいます。県内各地への出前講座も積極的に行うほか、県内にある他の拠点をつなぐ「おかやま地域子育て支援拠点ネットワーク」事務局も担うなど、その活動の幅はますます広がっています。
NPO法人子ども達の環境を考える ひこうせん(ホームページ別ウィンドウで開く/ブログ別ウィンドウで開く/Facebook別ウィンドウで開く)