この軒丸瓦は、中央に「大日如来」を表す凡字を置き、その周囲に「東大寺大仏殿」の銘文を巡らせた文様で、銘文のとおり東大寺大仏殿に使われるためにつくられたものです。
奈良時代に創建された東大寺は、平安時代の終わり頃(1180年)源平の戦いで焼失しましたが、朝廷や鎌倉幕府の支援のもとで再建されました。
東大寺の復興に尽力したのが東大寺大勧進職をつとめた俊乗坊重源です。東大寺再興の費用をまかなうため造営料国として周防、備前国があてがわれます。重源は東大寺復興のため、常行堂や大湯屋を建てるなどの活動を備前で行い、再建で使用する瓦を万富でつくりました。この地には良質の粘土があり、古くから焼き物の産地であったために職人も手配しやすかったのでしょう。約30万枚から40万枚の東大寺瓦がつくられたと推測されており、大規模な瓦製造工場でした。
南都東大寺までの輸送ルートは分かっていませんが、吉井川の水運を利用していたものと思われます。
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