ゴミ穴から出土した下駄の部材の一部です。部材は現状幅5.5センチメートル、長さ11.3センチメートル。厚さ1.4センチメートル。左が「おもて」、右が「うら」側です。縦に裂けており、銅線で結び、補修した痕跡があります。中央二カ所に長方形のえぐりをつくりだしていますが、歯を固定するほぞ孔なのでしょうか。
この下駄は「中切下駄」あるいは「中折り下駄」と呼ばれ、いわゆる折りたたみ式下駄の部材です。凸と凹部との二つの部材が結合され、結合部で折れるようになっています。写真は凸材ですが、凹材も出土しています。二つ結合すると長さ23センチメートルほどになりますが、結合部に孔もなにもなく、その構造はわかりません。『守貞謾稿』(19世紀)に「無歯ノ桐台ヲ、半ヨリ二ツニ切リ分ケ、革ヲ以テ継之」と紹介されていますが、表に革か布あるいは畳表を張り、用いたのでしょうか。
かさばって懐にも入らない高下駄の不携帯性を補うため、折り畳めば懐や袂にはいる下駄として考案されたのでしょう。今で言うところの「携帯折りたたみスリッパ」でしょうか。
この下駄の出現は、18世紀後半には確実ですが17世紀末に遡るとする考えもあります。岡山城下からは、今までに大雲寺交差点付近の外堀からも出土しています。
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