南方遺跡は、弥生時代中期の木製品が多量に見つかったことで有名です。木製品以外にも、他の地域からもたらされたと考えられる品々がこのコーナーでも何度か紹介されています。今回は、瀬戸内沿岸地域に広く分布する「分銅形土製品」を紹介します。
分銅形土製品は、具体的に何に使っていたのかよくわかっていません。これまで縄文時代の土偶のように、呪術的な用途に用いられたのではないかと考えられてきました。用途はよくわかっていなかったものの、分銅形土製品には、しばしば人面が表現されていたことから、研究者に関心がもたれていました。写真の分銅形土製品には、人面の表現はみられず、列点と櫛描きの紋様が施されていることがわかります。また左上の分銅形土製品には、端部に小孔が開けてあります。分布域は、主に中国・四国地方ですが、吉備地域に集中して分布します。従って、この地域の弥生時代を代表する、特徴的な遺物といえるでしょう。
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