吉野口遺跡は、備中一宮である吉備津神社の北約400mの位置にある遺跡です。近世から縄文時代までの複合遺跡で、県下有数の遺構密度といえます。ここで紹介するのは、平安時代末の時期の土抗から多量に出土した素焼きの土器です。この時期の遺跡を調査すると、このような土器は常に出土しますが、吉野口遺跡のように多量に集中して出土するのは極めて珍しい例といえます。京都や奥州藤原氏の中枢地である平泉などでは同様の例があり、政治的な中心地で盛んにおこなわれた饗宴に関係すると考えられています。そうすると、吉野口遺跡でも同様の饗宴がおこなわれたのでしょうか。吉野口遺跡は、現在鯉山小学校の敷地となっていますが、それ以前は道勝寺という寺院でした。この寺院は、平安時代末の源平合戦で活躍した妹尾(瀬尾)太郎兼康という武将の首を葬って、その菩提を弔うために建立されたといわれています。土抗の底からは、頭骨が1点出土しました。この頭骨には多数の刀傷痕があり、年齢的にも兼康の年齢と矛盾はないようです。武将の葬送に伴う饗宴に用いられたかわらけであった可能性が推測されるのです。
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所在地:〒703-8284 岡山市中区網浜834-1[地図別ウィンドウで開く]
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午前9時から午後4時30分まで
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