泥塔とは、粘土を用いてつくった高さが10センチメートルほどの小型の塔です。平安時代の貴族の日記には、泥塔を密教系の寺院へ納めて供養したという内容がのっています。もっとも古いのは10世紀末頃まで遡ります。泥塔を用いた供養は、最初は貴族の間で流行し、やがて鎌倉時代になると一般民衆の間にも広まっていました。泥塔には様々な形がありますが、その作り方によって大きく2種類に分けられます。2つの型をあわせることによって成形されたものと、1つの型を粘土板に押しつけて成形したものです。前者のほうが手が込んでいる分古く、後者はより簡略化されていることから新しい時期のものです。この点を手がかりとして岡山県下における泥塔の分布の傾向をみてみると、古いものはハガ遺跡など備前国府の周辺でしか出土していません。一方、新しいものはかなり広範囲に分布します。古い泥塔の分布は、地方における都の貴族文化が点でしかなかったことを示しているようです。新しい泥塔は当時の山間僻地や海岸部にまで分布しており、山野河海で力強く活動していた民衆が貴族層と同じ信仰をおこなうまでに成長したことを示しているとみられます。
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