ここは桃の国の桃消防署。土曜日は消防車を整備する日だ。ミニ消防車の消し太は桃之助に整備を受けている。
桃之助「消し太、このごろいないことが多いよね?この前も消火鬼との放水訓練をすっぽかしたんだってね。消火鬼、怒ってたよ。」
桃之助「へえ。どんな仲間?教えてよ。」
あれは、人間世界の消防士さんが、予防救急かるたを使って、事故や病気を防ぐ心がけについて話をしているときのことだ。その中にあの小学生の女の子がいたんだ。
消防士「予防救急かるたには、気をつけてもらいたいことを読み札に書いています。そして、かるたは、しっかり聞いて、目で探して、札を取りにいく。お年寄りの方には、頭にも体にもいい運動になります。消防署で貸し出ししています。」
かるたは面白かった。消防士さんの話では、お年寄りにいいみたい。
小学生の女の子「よし!借りて帰って、おばあちゃんと一緒にやーろおっと!」
ワタシは消防士さんからかるたを借りておばあちゃん家に行った。
おばあちゃんは、右手に包帯を巻いていた。
おばあちゃん「廊下ですべって転んじゃってね。そんときに右手をついて骨折しちゃったんよ。せっかくかるたを持ってきてもらったのに治るまではできんわ。ごめんねぇ。」
その日は、けがをしたおばあちゃんの代わりに洗濯物をしまったり、お手伝いをして帰った。
夜、ベッドの中で目を閉じると、おばあちゃんの右手をけがした姿が浮かんだ。おばあちゃんが心配。予防救急、けがの予防って、とっても大事なことだったんだ。
突然、声がしてびっくり!目を開けると小さな消防車が、フワフワと浮かんでいる
大好きなおばあちゃんのためにワタシは消し太にのりこんだ。
消し太のまわりの風景が、ゆがんでいって、だんだん真っ暗になっていった。
おそるおそる目を開けると、自分の部屋だった。時間はお昼みたいだ。
女の子「え~!どうしょう!どうすりゃあ、ええん?」
予防救急かるた!調べてみると、お年寄りが転ばないように注意をうながす札が何枚かあった。
小学生の女の子「お年寄りは、いったんけがをすると、けがが重くなったり長引くんか。転倒は家の中が7割。段差につまづいたり、滑って転ぶことに注意する必要があるんじゃね。」
「おばあちゃん、廊下ですべって転んだって言うとった。廊下はスリッパを履いたままだとすべるって、前も言うとったわ。よし!」
ワタシはおサイフをにぎって部屋からとび出した。
お父さん「おばあちゃんに、何か買ってあげたんだってね。すごいじゃん。」
その日の夕ご飯のとき。お父さんから、ほめられた。
小学生の女の子「今日、おばあちゃんに、裏にすべり止めのついたスリッパをプレゼントしたんよ。転ばないようにねって!」
女の子はお父さんに、予防救急かるたには、少しの段差や、お風呂場で転ぶこともあるって書いてあったんよと説明した。お父さんは、おばあちゃん家に段差をなくしたり、手すりをつけたりしてくれることを約束して、やさしく頭をなでてくれた。
お父さん「おばあちゃんと相談して、転びにくい家にするよ!」
ワタシはスリッパをプレゼントして良かったなと思った。
遠くからワタシだけに声が聞こえる。
エールを残して、消し太の声は聞こえなくなった。
桃之助「消し太、泣いてるの?」
桃之助「いい仲間だね!」
桃之助「オー!」
おしまい。
このお話は転倒についてでしたが、転倒以外にも、熱中症、誤嚥・窒息、ヒートショック(冬場のお風呂での事故)など、心がけ次第で防ぐことができるケガや病気はたくさんあります。消防署は、予防救急の活動によって、皆さんの健康で充実した生活を応援します。
『119 No thank you. Because we are fine.』
(救急車は必要ありません。私たち元気ですから)
所在地: 〒702-8024 岡山市南区浦安南町495番地88 [所在地の地図]
電話: 086-262-0119 ファクス: 086-264-3935