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百間は一見に如かず(ひゃっけんはいっけんにしかず)

[2022年8月3日]

ID:38147

百間は一見に如かず(ひゃっけんはいっけんにしかず)

百間川の荒手

百間川の荒手を臨む

岡山市は南北を四国山脈と中国山地に挟まれているため、梅雨や台風による水害が少ない。と学校でも習います。しかし、江戸時代までは現在の岡山市に該当する地域もよく水害に見舞われていました。有名なものとしては江戸時代初期、1654年(承応3年)の水害があります。この時には城下町もさながら、岡山城の敷地の一部も浸かったそうです。当時の藩主・池田光政公も嘆いた水害、なぜこうも起こりやすかったのか。これは岡山市の大半が「低地」に属するためです。

岡山県はいぐさや米の生産が盛んな農業県であり、収穫と水害は表裏一体で悩ましい問題だったと考えられます。そこに着目したのが江戸時代の役人である津田永忠(つだ ながただ)。彼が百間川を増設し、水害は大きく減少しました。百間川の増設は17年にも及ぶ大規模土木工事であったと伝えられており、現在の岡山市を形作る後楽園の造成・新田開発とほぼ同時期に行われ、いずれも当時の藩レベルでの国策に該当する事業でした。まさに「百閒は一見に如かず」です。

平成30年7月豪雨から4年。

水害に遭った真備

水害に遭った真備を臨む

もし百間川が整備されていなければ、平成30年の水害では岡山市街に約450ha、約5050戸の被害をもたらしたと予測されています。ただし、越水が発生しなくても、川の水位が地面より高くなった場合は漏水による被害が起こる可能性があります。水の力は計り知れず、わずか水深数十センチで玄関の扉が開きにくくなります。また水害が起こった後では避難しにくくなるため、地域に出される気象、避難情報を基に避難場所へ早めに避難することを心がけてください。危機意識を持って、何度も避難の予行、即ち「避難に対する練習」を行うのも一つの手です。災害は忘れた頃にやってくる。本番と思い、災害の前に何度も練習をしてください。やがてその心意気が、百間川を整備した津田永忠の如く、百年後の岡山市の人命を災害より守るかもしれません。

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