RSウイルス感染症はRSウイルスにより引き起こされる急性呼吸器感染症です。
RSウイルスは日本を含め世界中に分布しており、生後1歳までに50%以上の人が、2歳までにほぼ100%の人がRSウイルスに感染すると言われています。
RSウイルスは生涯にわたって感染を繰り返し、幼児期における再感染での発症はよくみられ、その多くは軽い症状です。
潜伏期間は2~8日、典型的には4~6日間に症状が出現します。
症状としては、発熱、鼻汁などの軽い風邪様の症状から重い肺炎まで様々です。初めて感染した乳幼児の約7割は、鼻汁などの上気道炎症状のみで数日のうちに軽快しますが、約3割で咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難などが出現し、場合によっては細気管支炎、肺炎へと進展していきます。重篤な合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症等があります。低出生体重児、心疾患、肺疾患、免疫不全のある方は重症化のリスクが高いといわれています。生後1か月未満の児がRSウイルスに感染した場合は、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、また突然死に繋がる無呼吸発作を起こすことがあります。
また、RSウイルスは慢性呼吸器疾患等の基礎疾患を有する高齢者において急性の重症肺炎を起こす原因となることが知られているため、注意が必要です。
感染した人との接近した対面での会話等による飛沫感染が主な感染経路ですが、ウィルスが付着した手(ドアノブ、おもちゃ、タオル、手すりなど)を介して鼻、口、目に接触して感染する接触感染もあります。
RSウイルス感染症には特効薬はなく、治療は対症療法(酸素投与、点滴、呼吸管理など症状を和らげる治療)が中心となります。
RSウイルスは、マスクをする、手洗いや手指消毒をこまめに行うなど、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症と同じ感染症対策が有効です。また、多くの人が触る場所や物などを定期的に消毒することも有効です。
60歳以上を対象としたワクチン及び生まれてくる子の予防を目的に妊婦に接種するワクチンがありますが、現時点で定期接種の対象とはなっていません。
早産児や先天性心疾患、慢性肺疾患を有するハイリスクな乳幼児には、重症のRSウイルス疾患を予防するために薬を使用する場合があります。使用については医師の判断になります。
所在地: 〒700-8546 岡山市北区鹿田町一丁目1番1号 [所在地の地図]
電話: 086-803-1290 ファクス: 086-803-1713