会期 令和7年1月5日(日曜日)から2月2日(日曜日)まで
※毎週平日の月曜日は休館です(祝日の1月13日は開館します)
会場 岡山市立中央図書館 2階 視聴覚ホール前の展示コーナー (入場無料)
<展示の概要>
「書は人柄を表す」ともいわれますが、歴史の表舞台に立ち、たえず政治的な決断を求められていた江戸時代の大名の書には、為政者としての剛毅な気構えや、幼少時からの教育と他の大名やさまざまな貴顕との交際を通じて育んだ高い教養や、家臣と領民をたえず気遣う繊細な心配りなど、実際にその地位を務めた人でなければ表せないような、独特の風格が備わっていることが多いものです。
当館にも、数はそれほど多くありませんが、岡山藩主池田家の歴代の当主などの近世大名が残した書が収蔵されています。このたびは、それらをまとめて展示公開しますので(総数14点)、歴史への洞察を深める一助にしていただけるなら幸いです。
池田光政、綱政の父子が基礎を築いた岡山藩政は、続く継政以降の藩主たちの時代に安定期を迎え、充実の度を深めました。江戸時代の文化が爛熟したこの時代に岡山藩主を務めた、池田継政、宗政、治政の書を展示します。
中でも1700年代後半の安永・天明・寛政期に活躍し、俳諧に造詣が深く、一時期停滞していた閑谷学校の復興などに事績を残した池田治政の書は、大胆な筆遣いによる豪快な書風が特徴で、大きい紙面でも臆することなく力強い筆致で書かれています。江戸時代の大名の中でも能筆家として知られる治政の書を2点、展示しています。
そして幕末の王政復古を経て藩主に就き、明治維新後は優れた人材を登用して藩政の改革と近代化に邁進した最後の藩主、池田章政の書を展示しています。藩政期の膨大な記録文書を保存し、整理・編纂する事業を託した歴史家の木畑道夫との心温まる関係を示す文書も展示しています。
そのほかには、承応3年に岡山を襲った大洪水への対応に苦心する池田光政を仙台藩主の伊達忠宗が見舞った手紙や、池田綱政の弟で生坂藩の初代藩主になった池田輝録(てるとし)が書写した勅撰和歌集からの秀歌集、および後月郡井原の旗本で、幕末に鎖国の国是を説明する遣欧使節に任ぜられて渡仏するものの、西欧文明の発達ぶりに驚き、帰国後に幕府へ強く開国を建議したため処罰を受けた悲運の幕臣、池田長発(ながおき)が、明治期に木畑道夫との交際の中で綴った漢詩文の草稿などを展示しています。
池田宗政(画)「細雨洒芭蕉」(細い雨が芭蕉の葉をあらう)
池田治政(一字書)「龍」 (縦の長さ174.5センチメートル)
池田章政の書
歴史講座 「岡山市立図書館所蔵の大名の書跡」
日時 令和7年1月12日(日曜日) 午後2時から午後4時まで
場所 岡山市立中央図書館 2階 視聴覚ホール
講師 飯島章仁(当館学芸副専門監)
内容 展示品とその背景について説明します。
定員 60名(事前受付なし、当日先着順)
聴講無料
所在地: 〒700-0843 岡山市北区二日市町56 [所在地の地図]
電話: 086-223-3373 ファクス: 086-223-0093