大福地表門
表門は本柱間を7.5尺にとる比較的小型の薬医門である。過去に曳屋され南面した時期もあったが、現在は元の位置に戻されている。本柱と控柱を腰貫、飛貫で繋ぎ、その間にX字形に筋違を入れる。女梁・男梁で冠木をはさみ、女梁両端部に巻斗を入れて男梁を受ける。控柱間は虹梁形頭貫で繋ぎ、獣面に似た木鼻を出す。両妻は男梁上の板蟇股によって棟木を受けるが、板蟇股の意匠は東妻、西妻で変えている。また、本柱間中央にも男梁がかかり、男梁の一端は控柱を繋ぐ虹梁形頭貫にのり、この男梁上に笈形をつけた束をたて棟木を受ける。棟と直行方向に笈形が付けられているのは珍しい。また、女梁端は拳鼻とし。男梁端は町屋店先の出桁もちおくりのような反転曲線の意匠を用いる。
建立に係る棟札は未確認だが、平成28年に行われた屋根修理の際に、享保17(1732)年に再建されたことを示す木札が確認されている。
概要
客殿は以前本堂として利用されていたが、東に本堂を新築した現在は、客殿として利用されている。前後二列に各三室ずつ並ぶいわゆる方丈形式の平面をとり、寺地にほぼ南面している。構造形式も簡素で、妻飾りも漆喰で塗り込め、また組物などもなく、一切の装飾が排されている。柱は部屋境では2間間隔であるが、側廻りでは1周毎に立って古式な平面である。
現本堂の西に接して式台付の玄関がつき、新築された庫裡と繋がっている。各室すべてを8畳の規模にとり、内法長押を打ち襖で仕切るが、前列左手2室分は一室として天井の棹縁、内法長押も2室分引き通す。これは客殿としてふさわしい平面である。
所在地: 〒700-8544 岡山市北区大供一丁目1番1号 [所在地の地図]
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