「わくわくボランティア」では、のっぷとティアがボランティア活動の現場におじゃまし、ボランティア活動の楽しさや大切さ・ボランティアに取り組む人たちの思い・各団体の思いについて取材しています。十四回目は、岡山大学病院での病院ボランティア活動についてお話をうかがいました。
なお、内容は取材当時のものです。
自分の好きなことを活かして、誰かの役に立ちたい。
患者さんが親しみやすく、話をしやすい市民ボランティアの方に、病院で活躍してほしい。
そんなニーズがぴったりと一致した、素敵なボランティア活動。
今回は、岡山大学病院におじゃまし、自主的・自発的にボランティアに取り組む皆さんと、その活動を支える「岡山大学病院総合患者支援センター」にお話を聞きました!
入院棟11階、リニューアルオープンから10年目に入った岡山大学病院の患者図書室。吹き抜けの斜め天井から光が差し込む明るい空間には、医学書や闘病記のほか、小説や実用書、絵本、漫画など多彩な蔵書、約1万5000冊が並びます。
本の登録・配架から、患者さんへの貸出と返却の手続き、古くなった本の修理まで、この患者図書室の運営を支えているのは、図書ボランティアの皆さん。リーダーの黒崎章男さんを中心に、約20名が交代制で図書室運営を行っています。
バラエティ豊かな本が並ぶ患者図書室
本の返却手続きをする黒崎さん
定年退職後、知人からの誘いで図書ボランティアをはじめた黒崎さん。もともと本好きということもあり、4年間活動を続けるうち、リーダーを任されるまでになりました。
図書室の基本業務をこなすだけでなく、より利用しやすい図書室を作るための工夫も欠かしません。「ドラマや映画になった本や文学賞を受賞した本には、患者さんからの問合せも多く集まります。そこで、関連作品を集めて、おすすめ本のコーナーを作ることにしました。」コーナーに目を留めて、本を借りていく患者さんが増えたそうです。
図書ボランティアリーダーの黒崎さん
「一番やりがいを感じるのは、患者さんの『役に立っている』と実感できるとき。ある患者さんは、貸出カードの裏に『図書室のおかげで楽しい時間を過ごすことができました』とメッセージを書いてくれて、とても励みになりました。」
数本の樹があるばかりで、まるで「グラウンド」のような状態だった精神科病棟の庭が、美しい庭園に生まれ変わったのは、「花を植えてみては?」という図書ボランティアメンバーからの提案がきっかけでした。園芸ボランティアを結成し、雑草を取り除いて庭を整備し、片隅に花を植えるところからスタートして、今では季節の花々が咲き誇る、緑豊かな庭園に成長しています。
水やりは担当を決めて毎日行う
見る人を和ませる季節の花
ボランティア歴10年のベテラン・亀山尚子さんを中心に、園芸ボランティアの皆さんが、庭のレイアウトを考えて苗を植えるところから、植物の世話、草とりなど庭の管理全般を行っています。ボランティア仲間や患者さんとのコミュニケーションを大切に、和気あいあいと活動中です。
10年前、新聞広告を見かけたのをきっかけに、岡山大学病院でボランティアをはじめた亀山さん。庭園がたくさんの人の憩いの場となっている様子に、日々やりがいを感じているといいます。岡山市などが主催する第44回春の花いっぱい運動「花と緑のコンクール」では、お世話をしている庭園が病院の景観を向上させているということで入賞を果たしました。
園芸・図書ボランティアを行う亀山さん
「患者さんもお見舞いに来た方も、お花を見るときにはやさしい顔になります。それを見て、私もうれしくなります。人の役に立って、自分も楽しい。それがボランティアの良いところだと思います。」
岡山大学病院総合患者支援センターでは、患者や家族への病気や入院に対する相談、退院後の支援、医療ボランティアの募集・受付・研修等を担っています。ボランティアの皆さんが自発的かつ楽しく活躍できる体制づくりには、患者支援センターが大きな役割を果たしています。衛生面やプライバシー等、気を付けるべき点が多い病院という施設で、ボランティアの皆さんが活躍できるよう、無料で健康診断の機会を提供したり、研修を開催したり、支援をしています。
総合患者支援センターでボランティア受け入れの窓口を務める宮本さん
「図書室・庭園の管理は、ほぼボランティアさんだけで担っていただいていますし、来院した方を案内したり、お手伝いしたりする外来受付ボランティアさんにも、とても助けられています。受付では、ボランティアさんの方が親しみやすいからと、わざわざ探して声をかける患者さんもいるほどです。」
「ボランティアさんからの意見を柔軟に取り入れるようにしています。杖をお持ちの方が受付カウンターに来られたとき、手すりに引っ掛けるのですが、落ちてしまう。その様子を見兼ねたボランティアさんから、杖置場を作れないか相談があり、すぐに設置しました。また、ボランティアさんへの感謝を忘れないことも大事にしています。」
そのため、年に1回病院主催で職員とボランティアの交流会を行い、時間に応じて表彰状をおくり、「ありがとう」を伝えるようにしているそうです。交流会は、職員がボランティアさんの役割を知る良い機会にもなっているといいます。
総合患者支援センターがボランティアの動きを把握しつつ、職員との橋渡し役を上手く果たしているからこそ、ボランティアの皆さんの自主性を活かした活動が可能となっているのです。
岡山大学病院では、毎年春(4月・5月)と秋(10月・11月)の2回ボランティア募集を行っています。目下の悩みは、新規でボランティア登録をする人数が減っていることです。かつては、毎回応募者が少なくとも5名はいたそうですが、最近は2名から3名程度。充実したボランティア活動を継続していくために、ボランティアの仲間を増やすことは欠かせないと宮本さんは言います。
「ひとりで完璧にできなくても、自分ができることを、できるときにする。そして仲間と補い合えば、良いボランティア活動ができると思います。病院や病気等の専門分野については職員がきちんとサポートするので、身構えずに参加してほしいです!」
岡山大学病院総合患者支援センター
郵便番号:700-8558 岡山市北区鹿田町2-5-1
電話番号:086-235-7744
次回は、どんな団体におじゃましようかな?楽しみだなぁ!!
なお、「わくわくボランティア」では、「取材にきてほしい!!」というボランティアグループ等を募集中です。
希望される方はお問い合わせフォームより、団体名、ボランティア活動の内容を添えてご連絡ください!