犯罪歴のある人が出所後に犯行を繰り返さないためには、社会に復帰することがとても重要。岡山には、そのために必要な要素である「仕事」を見つけるお手伝いをしているNPO法人があるんだ。
今回は、NPO法人岡山県就労支援事業者機構にお伺いして、事務局の方にお話を聞いてきたよ!
(なお、内容は取材当時のものです。)
法人の入り口
のっぷ:初めまして、「つながる協働ひろば」ののっぷです。岡山県就労支援事業者機構さんって、どんなことをしているNPO法人なんですか?
事務局:犯罪歴のある人が保護観察期間等を残して出所した後の就労支援を行っています。この事業は法務省から委託を受けたもので、本人の希望を受け、年間80名の就職支援をしています。社会の一員として更生するためには、就職の機会を得ること、経済的に自立することが重要なので、社会と利用者の間でそのための橋渡しをする役割を担っています。
活動周知や協力雇用主募集のパンフレット
のっぷ:犯罪歴のある人への就職支援の具体的な流れを教えてください。
事務局:まず、保護観察所から支援の依頼を受けるところから始まります。
紹介された利用者と面談をして、学歴や職歴、生活歴等について話を聞きます。じっくり話を聞いた上で、就職して社会復帰する意思があることを確認します。
その後も週に一回はヒアリングを実施し、過去の職歴、今何ができるか、どんな職種で働きたいかなどを聞いた上で、犯罪を繰り返さない意思を確認します。そして、協力雇用主(更生保護に理解がある企業)に求人情報を提供したり、ハローワークへ行ったりして、その人に合った仕事を探します。私は約50年にわたり、就職支援や職業訓練の仕事をしてきたので、これまでの経験を活かして、利用者と就職先にとってベストなマッチングを考え、利用者の同意の上で応募するというのが基本的な流れになります。就職は、だいたい1か月以内で決まることが多いです。利用者が無事に就職できたら、そこで私の役目は終わりです。
のっぷ:活動の中で最も苦労することはなんですか?
事務局:正直私自身は苦労と思うことがあまりない…というか、苦労だと思っていたら前には進めないと思っています。ただ、強いて言うなら、犯罪の種類によっては、社会からの風当たりが強くなることでしょうか。就職先や市民が過去の犯罪をどう感じるかによって、就職支援の受け入れ先が少なくなることもあります。
のっぷ:犯罪歴のある人の社会復帰には、さまざまな障壁があるんですね。
事務局:「住居の確保」も、大きな障壁のひとつです。そもそも就職しようにも、住所がないことには難しい。しかし出所後すぐに住居がある人は少ない。そのため施設を利用したり他のNPOの力を借りたり、雇い入れる企業に手配してもらったりして、住居を確保していきます。そこで、やっと就職に向けたスタート地点に立つことができるんです。
のっぷ:活動で心がけていることは何ですか?
事務局:「税金で保護される側から、税金を納める側に回ろう」ということをポリシーにしています。
仕事を始めると、社会に貢献していると実感できるのか、不思議とみんな顔が明るくなるんですよ。再犯を防ぐだけでなく、税金を納める人を増やして社会に貢献するという高みを今後も目指していきたいですね。
のっぷ:やりがいを感じるのはどんな時ですか?
事務局:一番やりがいを感じるのは、利用者が就職後もちゃんと働き続けているというのを知った時ですね。就職先の人事担当者や保護司さんから、「頑張っているよ」と言われると、「よかった!」と嬉しくなります。
ただ、なかには就職後にすぐ辞めてしまうケースもあるので、就職後のフォローも必要だと思いますね。今後は定着支援のための体制も作れたらいいなと考えています。
ホゴちゃん&サラちゃん
法人の入り口
のっぷ:最後に、私たちに何かできることはありますか?
事務局:犯罪歴のある人を一律に見ないでほしいですね。子どもの頃に親に育ててもらえなかった人、病気の人、学校に行けなかった人…。みんなそれぞれに事情があるし、犯罪をしたくてした訳ではないんです。
犯罪歴がある人を仲間に入れて、というと抵抗があるかもしれませんが、少なくとものけ者にしないでほしいと思います。「社会の中にはそういう人もいる」というくらいの気持ちで、受け止めてもらえたら嬉しいです。
NPO法人岡山県就労支援事業者機構は、犯罪歴のある人が社会の一員として更生するために、「仕事」につくサポートをしているんだね。先入観を持たず、一人ひとりと向き合って支援されている様子が伝わってきたよ。
ありがとうございました。次はどちらの法人におじゃましようかなぁ。