2018年12月15日から16日、岡山県青年館にて、岡山市では5年度連続5回目となる「コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップinオカヤマ」を開催しました。
岡山市では「ESDに関するユネスコ世界会議」の開催を目前に控えた2014年6月に「ESD・市民協働推進センター」が開設され、現在まで岡山市民と岡山市(行政)による協働を推進するための様々な取組が実施されています。「コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップ」は「協働による課題解決を促進するスキーム」における最初の段階「市民活動団体のリーダー育成」に位置づけられており、参加したリーダーたちが様々な組織に問題提起・協働提案を行い、合意形成や戦略立案を経て、事業を実施することを目指しています。
想いの強さと専門性の高さに反比例するように他者の理解や参加が得にくくなるというジレンマを抱えていたNPOにとって、コミュニティ・オーガナイジング(以下、CO)は行政や企業等との協働を実現するうえで非常に実践的・効果的なスキルであり、過去4回のCO参加者たちが学んだ技術を生かして協働事業の実施に至った例も多く生まれました。
今回のワークショップは岡山県内外から17名にご参加いただきました。
5回目ともなるとNPO法人に所属されている方は全体の半数以下となり、残りは労働組合、行政職員、社会福祉協議会、企業など、出身と所属に偏りのない構成となりました。そのような背景もあって主催者としては参加者間での合意形成に苦労することを想像していたのですが、開会直後にこの研修のルールを参加者自身が提案し(笑顔を絶やさない、時間を守る、前のめりで参加、ニックネームで呼ぶなど)、いずれも全体から好意的に受け入れられるなど、主催者の懸念に反して開始直後から積極的に挑戦しようという雰囲気と参加者同士の一体感を強く感じたことが印象に残っています。
その後の演習もおおいに盛り上がり、全グループが限られた時間の中で共通する価値観を見いだし、魅力的なプロジェクトを作り上げることができました。
グループワークの様子
参加者を対象としたアンケートからは「共通する価値観を見い出すことの難しさと同時に見つけられた時の希望の大きさを実感できた。」「今後は価値観を明らかにする過程を楽しむことができそう。」など、バラバラな立場、経験を持つ参加者であったからこその感想が多く見られました。また、岡山市では恒例となっている「参加前の期待値を100点とした場合の参加後の満足度」の平均も「100点」(最低80点、最高200点)となり、過去4回と同様に参加者が非常に高い満足感を得ていたことが確認できました。
過去の受講者はコーチとして参加しています
今後、岡山市では過去5回のワークショップ参加者を中心として、これからの市民活動リーダーのための研修を企画・運営するコミュニティを結成する予定であり、2019年度はNPOの事業継承の手段として「ストーリー・オブ・セルフ」を活用し、雇用環境やノウハウだけでなく、リーダーの「志」を体系的に継承するための支援を展開したいと考えています。
そのほかにもCOを学んだ人たちがCOへの理解を深めながら実践を重ねていくことができるような研修を軸として、岡山市におけるリーダーシップのネットワークを少しずつ広く、強固にしていきたいと思っています。5年間、東京から講師として来ていただいたコミュニティ・オーガナイジング・ジャパンの皆様とともに蒔き続けた種がどのような形で発芽し、実を結ぶのか(結ばないのか!?)、私自身も非常に楽しみにしています。
これまでに岡山市で開催されたワークショップに参加・協力してくださった方々はもちろん、COの実践や普及に取り組む人たちによいご報告ができるようにひきつづきがんばりますので、これからの岡山市での展開にぜひご注目ください。
ESD・市民協働推進センター センター長 高平 亮
岡山市内・県内、県外からもいろいろなセクターから参加していただきました!