2019年1月11日(金曜日)、西日本豪雨から半年の節目に合わせ、地域協働フォーラム「豪雨から半年 災害についての地域協働フォーラム」を岡山国際交流センターで開催しました。年明けから間もないこの日、岡山市内外から約60名の参加者を迎え、4名の登壇者の活動の成果や今後の課題を共有しました。
地域協働フォーラムは、地域の課題解決や持続可能な組織作りに取り組む市内外の事例に学び合うことを目的に2015年から開催しているもので、今年度で4回目を迎えます。
事例発表者の取組を聞き、発表者と交流し「独自の視点や工夫」から学ぶことで参加者の活動や仕組みづくりに活かし、住みやすい地域、住み続けられる地域をつくる助けになることを目指しています。
今回のフォーラムは、甚大な被害をもたらした西日本豪雨から半年が経ち、年が改まったこのような節目にこそ、今後に活かすための振返りと共有が必要だと考え、災害支援や防災の紹介したい事例を選んで構成しました。
社会福祉法人岡山市社会福祉協議会は、豪雨被害発生直後の7月11日(水曜日)、岡山市北区と東区の2か所で災害ボランティアセンターを開設しました。
東区の災害ボランティアセンターを運営した土井さんは、地元の町内会やNPO、駆け付けたボランティア団体と緊密に連携して、復興支援に尽力しました。今回の運営を通じて「平時から地元の方と顔の見える関係をつくり、お互いの立場や役割を理解しておくことが、行き届いた支援の基盤になる」と感じたそうです。助けあうお母さんの会は、豪雨被害を受けた平島地区に隣接した東区瀬戸地区で、被災家庭の子どもたちの居場所づくりに尽力しました。
安心して遊べる楽しい居場所は、不安に苛まれる子ども達に寄り添い、復興に忙しい親たちを助ける2重の効果をもっています。助けあうお母さんの会では対象地域を限定しなかったため、通える範囲の多くの家庭から、子どもや親やボランティアが集まりました。またそのための拠点や交通手段や設備や催しなど、困難や必要に迫られる度に新たな仲間とつながり、活動を発展させました。中区平井学区連合町内会は「地域づくりは組織(人)づくりから」という考えのもと、平井学区地域づくり会議を立上げ地域課題と向き合って来ました。そんな平井学区は防災にも力をいれています。
2011年3月10日に山陽学園大学・山陽学園短期大学と災害時避難所の指定に関する協定書を締結したことを皮切りに、避難所には食料を備蓄し、避難所運営マニュアルを作成し、毎年の避難訓練は行政や警察や消防その他のパートナーと共同で実施しています。
今回の豪雨でも避難所を開設し、これまでの教訓からインターネットへ接続し情報収集をしましたが、さらに情報の共有にはテレビが一番と決断し、災害後すぐさま購入されたそうです。
倉敷市立東小学校に設けられた避難所は直接被害を受けていない「避難所外避難所」です。真備町など被害の大きかった地区からの避難者を受入れ、避難所の運営は東小学校区の住民が担いました。
この避難所では、住民たちが窓口業務を担い、行政職員は災害に関する申請の受け付けや避難者の相談を行政の担当部署につなぐなど職員でなければできない仕事をこなし、役割分担をしてスムーズで主体的な避難所運営を確立していました。
マニュアル通りにはいかない中で、ボランティアごとの役割分担や特性を活かしたチーム分けも随時おこない、行き届いた支援を目指しました。
報告後に進行役からの質問で理解を深めます
どの取組も、課題に直面するたびにそれを解決するためのパートナーを模索し、協力して課題解決にあたり、また、有事の災害対応を速やかに円滑におこなうためには、平時から「顔の見える関係づくり」が必要だという認識をあらためて持たれていました。
このことは、災害という限定された場に限らず、あらゆる地域課題の解決にも適用できると思います。
地域の課題解決に取り組む事例とそこに関わる方々の思いを、より多くの方々に届けるために、私たちもひきつづき場の設定や運営について考えてまいります。
(ESD・市民協働推進センター 岸佑東)
進行役の石原達也さん(後左)、水柿大地さん(後右)と
登壇者の皆様