令和2年度の市民活動リーダー養成講座は、ソーシャルビジネスに焦点を当てました。
ソーシャルビジネスとは、社会課題の解決を目的に、ビジネスの手法を用いて自立的・持続的に取り組まれる事業です。
大学生や若手の経営者、NPO関係者など、現地会場とオンラインを合わせて30名の方が参加しました。
講師に、中国学園大学・中国短期大学の杉山慎策先生、株式会社ボーダレス・ジャパンの半澤節氏が登壇しました。
今回は入門編ということで講義を中心とした内容でした。
まずは杉山先生から、ソーシャルビジネスの概要を学びました。
ソーシャルビジネスとは何であるのか、歴史的背景なども踏まえながらポイントが整理されました。
活動資金を自ら生み出すという点は、ボランティア活動と異なりビジネスとして重要な観点です。
事業を通して得られた利益は、福利厚生や自社の再投資に使われます。
また、ソーシャルビジネスをより確固たる事業とするために、イノベーション(革新)の重要性も教わりました。
SDGsなどにもヒントを得ながら、いかに新たな社会的価値を創出できるか、ということがこれからのソーシャルビジネスによる課題解決に必要な要素です。
ボーダレス・グループでは、社会起業家を育てる取組がなされています。
社会起業家が育てば育つほど、社会問題の解決に近づきます。
「SMALL IS BEAUTIFUL」という言葉のとおり、小さくともイキイキと、そして「スイミー」のようにみんなが連携することの大切さを教わりました。
また、ソーシャルビジネスを始めるにあたり、まずはソーシャルコンセプト(問題の現状と理想、理想に向かうための方法)を整理することの重要性を知りました。
講座の最後に、今それぞれが頭の中に描いていることをソーシャルコンセプトとして書き出すワークの時間を取りました。
講座の時間中にまとまったコンセプトを書ききれる参加者はなかなかいませんでしたが、入門編として「まずやってみる」機会となりました。
会場で参加した大学生が、ワークの時間に書いたソーシャルコンセプトを発表し、講師からコメントをいただきました。
「発表はしてみたもののビジネスとして成り立つとは思っていなかった。だが、講師から前向きなコメントをいただいたことで、具体的に何についてもっと考えたら良いかがわかった。
自分はこういうことをやっていきたいんだと改めて思ったので、またやりたいことがまとまったら相談したい。」(発表した大学生の言葉)
講座に参加したこと、少しの勇気をもって発表をしたことが、次のステップを具体的に考えるきっかけとなったようです。
今回はソーシャルビジネスの入門編として、概念の整理、具体的な取組を始める時にまず整理したいことなどを学ぶ講座でした。
到達点は参加者それぞれで異なるかもしれませんが、今回の講座がそれぞれの人の次のステップを探すきっかけになっていることを期待しています。
ひとつひとつは小さな一歩でも、それを積み重ねることがSDGsの目標達成や課題解決につながるものと信じています。