私たちLOOP(10)(ループ・テン)は、演劇の持つ創造性やコミュニケ―ション性に触れて楽しんでもらうことで、誰もが表現者、鑑賞者の双方をLOOP(めぐる)できる文化環境の醸成を目指して設立し、経験不問の公募公演や、県内演劇人たちの公演、「オイディプス」「班女」などの古典公演のほか、子どもや障害を持つ家庭向けなど多数のワークショップを実施してきました。
体験・体感するすべての企画・活動を通じて、舞台という場所を身近に感じてもらい、地域やお客様を育んでいくことを大きな目標としています。
そんな折に始動したのが「60時間舞台チャレンジ」です。まさに60時間で、参加者に舞台表現をつくってもらう取り組みです。
なぜこんなことを始めたのか?それには舞台を取り巻く次のような現状があります。
つまり「舞台=敷居が高い」という現状です。
しかし、公立ホールの舞台はプロだけのものでなく、私たちみんなのものです。なにより表現をしたいと思っている人が埋もれてしまっている。その中にはビックリするぐらい面白いことを考えている人がいるかもしれないのにもったいない!
ここから新しい事業が立ち上がりました。
まずは舞台に上がることを躊躇させるさまざまな敷居を取っ払いました。それは、時間、お金、経験や技術です。
1.創作時間は60時間に設定(週末でできる!)。表現時間も7分程度。
2.ホール代、広報代、チケットや受付体制はLOOP(10)で負担。
3.経験は不問、表現も自由(演劇でも朗読でもダンスでも音楽でも語りでもアートでもOK!)。照明・音響はLOOP(10)でサポート。一人でもグループでもOK!
そして、60時間で創作してもらうためにゲーム性を持たせました。
4.60時間前に発表される「テーマ」に基づいて創作。
さらに、参加を後押しし、お客さんも楽しめる仕掛けを入れました。
5.最後にお客様も舞台に上がって投票し、優秀3組には入場料収入を全額還元。
誰もが気軽に舞台に立ち、60時間で作られた、中には今まで見たことがないような表現を楽しみ、ドラマの結末が観客に委ねられる。それが60時間舞台チャレンジです。
2019年に開催した第1回では、5歳から72歳まで、舞台に立つことも初めての保育園児や高齢者から元劇団四季の方まで多彩な方が参加し、最優秀はピアノとダンスのコラボレーションで、投票、表彰に至るまで会場は熱気に包まれ、大成功に終わりました。
とても大きな手ごたえを感じています。
世の中にはこんなに面白い人たちがたくさんいる。何より、参加者・観客双方にとってこんなに舞台を身近に感じた取り組みは他にないのではないかと考えています。
私たちはもちろんこの取り組みを継続していきます!
次は2021年1月予定。最後までこのコラムを読んでくださった方、絶対に面白いのでぜひ参加してみませんか?
演劇を身近にする公演・ワークショップ(WS)をLOOPメンバーと企画運営。
近年は即興演劇の考え方を用い、発達障害や障害者を見守る方へ視点改革WS(ユニーク・インプロWS)も開催。
インプロチーム「ダメリーノ」のメンバーとしても活躍。