[2024年3月28日]
ID:56624
●団体名 「岡山御津お正月研究会」
●団体の概要
主な活動場所:岡山県岡山市北区御津虎
構成員: 10 名
代表者:河太 勝子
設立: 2018年
●これまでの活動
2015年:河太氏が正月飾りづくりワークショップを開催。
2016年:正月飾りのテスト販売を実施。 正月飾り使う雄町米の栽培に着手。
2017年:正月飾りの製作・販売を開始。
2018年:「岡山御津お正月研究会」設立。岡山市「地域活力創出事業」採択。
2019年:岡山市「地域の未来づくり推進事業」採択。麦栽培、森林の整備・活用に着手。
過疎化・少子高齢化に伴い、自然環境の保全や地域の文化継承が困難になりつつある岡山市北区御津大野地域。ここを拠点に活動する「岡山御津お正月研究会」発足のきっかけは、代表の河太氏が他地域で開催された正月飾りづくりのワークショップに参加したことだった。当時から、任意団体「大野川いい川づくり」の代表として環境保全活動に取り組んでいた河太氏は、すぐに大野地域で同様のワークショップを実施。仲間と集まってものづくりをする楽しさがロコミで広がり、参加者が増えていった。回数を重ねるうちにメンバーから「商品として販売し、大野地域をPR したい」という声があがるようになり、試作を開始。商品開発や販売を本格的に始めるにあたって、2018年9月に「岡山御津お正月研究会」を立ち上げた。
現在は、地域資源である麦や竹を活用した特産品の開発、自然を体感するイベントの開催など、市内中心部へのPRや交流事業も展開し、活動の幅を広げている。
「岡山御津お正月研究会」の主力商品である正月飾りづくりは、200mほどの田で雄町米を栽培することから始まる。お盆頃に稲を収穫し、乾燥工程等を経て製作に着手。1年目は70個、2年目は140個を製作し完売、3年目となる2019年は200個の完売を目標としている。現在は予約販売形式で、個人客を中心に販売している。
米の裏作として麦を栽培。実の部分は「麦茶」として、軸の短い部分はフィンランドのクリスマス飾り「ヒンメリ」の素材として、軸の長い部分は「麦ストロー」として、それぞれ商品化ヒンメリの原料と麦ストローし、販売を開始している。特に「麦ストロー」は、環境負荷がかからないエコ商品として注目されている。
森林整備活動から生まれる副産物を生かした商品づくりにも挑戦している。除伐した竹を「チップ堆肥」として加工・販売したり、間伐された広葉樹で「原木しいたけ」を栽培したり、地域資源の有効活用を目指している。
商品の売上、岡山市「地域活力創出事業補助金」(2018年度)・「地域の未来づくり推進事業補助金」(2019年度から)、会員による負担などを活動資金としている。
町内会長も務める河太氏のネットワークや人脈を生かして、地域住民に参加を呼びかけている。
さらに、「大野川いい川づくり」の活動で交流を深めた団体や地元高校等との情報交換、協力関係を通じて、仲間の輪を広げている。活動に関心を持った学生のインターンシップも受け入れており、実際に作業に参加してもらうことで、地域の担い手としての自覚を育てている。
同会の商品は、購入を通じて、地域の環境保全活動を支援し、地域の文化に触れられるものとなっている。それが「自分たちの手で地域の未来を作る」、「地域の文化を楽しむ」きっかけになればと考えている。
また、商品の製造工程を細分化し、作業を分け合いながら行うことで、高齢者を含めた地域住民の社会参加の機会創出につなげている。皆と集まり、目標に向かって取り組む活動が住民の楽しみや、やりがいとなり、温かく応援してもらえる良好な関係を生んでいる。
メンバー間で、この取り組みの目的や想いがしっかりと共有されているため、前向きな意見交換や活動が行われている。
また、商品の製作・販売に加えてイベントを開催することで、購入者と継続的に関わる機会を増やしている。例えば、正月飾りを焚き上げる伝統行事「とんど」を開催。イベントヘの参加により、同会が作る特産品の認知度アップ、購買促進を図っている。
ビジネスとして活動を継続させながら、地域住民の居場所づくりに取り組みたい。また、豊かな自然を生かして農村文化体験を提供するなど、地域活性化につながる新事業にも挑戦してみたい。
2019年の取材の内容です。