[2026年3月31日]
ID:80909
2025年11月22日・12月13日に、ソーシャルコンセプト・ビジネスコンセプト構築に焦点を当てたビジネスアイデア創出セミナーが開催されました。多種多様な社会課題をビジネスで解決する、社会起業家を生み出してきた株式会社ボーダレス・ジャパンのメソッドを基に、参加者は「地域課題の特定」から「ビジネスコンセプトの作り方」まで、事業アイデア構想の核となる考え方(ソーシャルコンセプト・ビジネスコンセプト)を学びました。参加者14名は個人ワークとグループワークの実践を通じて、フィールドワークセミナーでの学びをいかし、ビジネスアイデアの具体化、発表に挑戦しました。

「岡山で、地域を元気にする事業をつくりたい」
そんな想いを持つ方を対象に、3日間の実践型プログラム「ローカルベンチャーカレッジOKAYAMA」を開催。2025年10月から12月にかけて、14名の参加者が地域課題をビジネスの力で解決するアイデア創出に挑戦します。
社会起業家が集うプラットフォームカンパニーとして2007年3月設立。貧困·環境·教育·地方の過疎化など、様々な社会問題を解決する50以上の事業を世界13カ国で展開·2024年度の売上は100億円を達成。「グッドデザイン賞ビジネスモデル部門(2019)」「大切にしたい会社大賞・審査員特別賞(2019)」「CSA賞“20代に薦めたい「次世代型人材」創出企業”」を受賞。2023年10月、社会課題解決を次のステージに進めるべく新パーパス「SWITCHtoHOPE社会の課題を、みんなの希望へ変えていく。」を発表。
| く目的> (1)ソーシャルコンセプト・ビジネスコンセプトの作り方とポイントを理解する (2)グループワークで自分のコンセプトシートに不足している情報や観点を理解する (3)最終日までのアクションに落とし込む | |
| セミナー内容 | 詳細 |
|---|---|
| ソーシャルコンセプト講義 | ソーシャルコンセプト講義+Q&A |
| 個人ワーク | |
| 実践演習(希望者1名) | |
| グループワーク | |
| ビジネスコンセプト講義 | ビジネスコンセプト講義+Q&A |
| 個人ワーク | |
| グループワーク | |
| 次回までの目標設定 | 個人ワーク |
| グループワーク | |
1日目の“先輩起業家から学ぶ!フィールドワークセミナー’'で地域課題解決のリアルな事例を学んだ後、アイデア創出セミナーDay1で「岡山市の地域課題を解決するビジネスを立ち上げる」ための具体的な手法を学びました。講義は、ソーシャルビジネスの手法をベースに社会課題の深掘りから始める「ソーシャルコンセプト」と、それを収益化するビジネスモデル「ビジネスコンセプト」の二部構成で進行しました。
ソーシャルコンセプトは、(1)社会問題(地域課題)の現状、(2)理想の姿、(3)原因と対策で構成されます。このコンセプトはビジネスモデルを考える上で最も重要であり、ヒアリングを重ねながら固めていくことが重要です。
ビジネスコンセプトでは、「WHO」「WHAT」「HOW」の3要素でビジネスアイデアの概要を整理し、合わせて競合他社との差別化ポイントや価格、販路を明確にすることで具体的かつ独自の商品・サービスになるよう検討します。この際、ソーシャルコンセプトの「対策」を実現する制約条件を満たすことが重要です。
※ソーシャルビジネスとは株式会社ボーダレス・ジャパンでは以下のように定義しています。
「ソーシャルビジネス=社会課題をビジネスという手段を使って解決する」


「社会課題」を単なる現象として捉えるのではなく、「その課題は誰の、どんな困りごとなのか?」を明確にすることが重要です。この課題を解決することが、事業の存在意義となり、ブレない軸になります。
「多くの人の意見を聞く」ではなく、まずはたった一人(N=1)の困っている人に深く寄り添うことがコンセプト作りの鍵です。
「本当にその課題で困っている人」を探し出し、その人の「痛み」や「想い」に真摯に向き合うこと。このN=1の具体的な課題を解決する事業が、結果として多くの人の課題解決につながっていきます。
本質的な原因を突き止めるためには、たった一人(N=1)の「本当に困っている人」に深く寄り添い、真摯に向き合うヒアリングを実施することが重要です。ヒアリングで明らかになった課題や原因を整理し、課題の本質的な原因を突き止めましょう。この根本原因を解決する対策こそが、社会を変える存在意義(ソーシャルコンセプト)となり、ブレない軸となります。


講義の後、すぐに個人ワークに入り、ヒアリングで得た情報を基に自身のソーシャルコンセプトとビジネスコンセプトの検討を進めました。

その後は、参加者が3人一組になり、互いに事業アイデアを発表し合い、フィードバックを実施。自分以外の人からのフィードバックやアイデア出しで多角的な意見を取り入れながら、自分のコンセプトの弱い部分や深掘りが必要な部分を発見しました。ワークを通じて、概念的な「社会課題」ではなく、岡山市のリアルな地域課題に合わせた具体的な事業アイデアヘと磨きをかけていきました。
2日目最後の振り返りでは、次回までにヒアリングを実施する!という目標を立てられた方や、もう一度ソーシャルコンセプトから考える決断をされた方もいらっしゃいました。最終日へ向けて、もうひと踏ん張り、一緒に頑張りましょう!

| く目的> (1)ソーシャルコンセプト・ビジネスコンセプトに他の人の視点をいれ、ブラッシュアップする (2)今後の目標・アクションに落とし込む | |
| セミナー内容 | 詳細 |
|---|---|
| コンセプトシート発表 | 講師よりフィードバック&アイデア出し |
| ブラッシュアップ | 講師より全体総括&個人ブラッシュアップ |
| パネルトーク | 登壇:株式会社ボーダレス・ジャパン田口一成 |
| ネクストアクション宣言 | ネクストアクションプランの立て方をレクチャー+Q&A |
| 個人ワーク | |
| グループ発表 | |
| 全体発表(代表者2名) | |
| 交流会 | 参加者の皆さん+運営で交流会を開催 |
前回のセミナーから、各々作成いただいたソーシャルコンセプトとビジネスコンセプトを発表し、講師からのフィードバックを行いました。参加者の皆さん同士でも、活発にアイデアを出し合っていたのが印象的でした。
よく聞こえてきたフィードバックは、「それって誰の課題?」「本当に困っているのは誰?」「何が一番その人にとって課題なの?」という言葉。ボーダレスのコンセプト設計では、この課題の深掘りを重要視しています。これは、前回セミナーの“N=1’'の話にも関わってきますが、この課題の本質を突き止める深掘りこそ、課題解決型ビジネスの一番大事な軸となります。


午後は、株式会社ボーダレス・ジャパンの代表取締役CEO田ロ一成氏を迎え、パネルトークと題して、自身のソーシャルビジネスの経験を共有するとともに、参加者の皆さんのご質問にざっくばらんに答えました。

田口氏は25歳の時、テレビで見た貧困問題に強い衝撃を受け、20年前にボーダレス・ジャパンを創業しました。特に強調したのは、ベンチャーキャピタルに依存せず銀行融資を活用し成長してきた点です。これにより、投資家の利益追求に左右されることなく、社会的使命を貫く経営を実現しています。「持続可能なビジネスモデルを通じて社会問題を解決する」という一貫した理念のもと、事業を展開している旨を参加者に伝えました。
大規模な初期投資よりも、小規模なテストマーケティングから始める段階的拡大の重要性が伝えられました。具体例として、当初検討していたスパイス事業から、市場調査を経て妊娠·授乳期の女性向けハーブティー事業への転換プロセスを詳しく紹介しました。この事業では産婦人科病院をターゲットとした直接営業により、最終的に全国の病院の25%への展開を実現しています。
成功要因として挙げたのは、現場での地道な関係構築です。病院への直接訪問を重ね、医療従事者による製品検証を得ることで信頼を築きました。また、常にキャッシュフロー重視の経営を行い、リスクを最小化する姿勢を貫いています。重要な点として、社会的インパクトの基準を満たさない事業については、潔く撤退する判断力の必要性も強調しました。
Q1:社会的事業で収益性を確保するのが困難ですが、どのように両立させればよいでしょうか?
A1:「社会問題の解決と収益性は対立するものではありません」。重要なのは、社会問題を解決することで生まれる価値に対して、適正な対価を受け取るビジネスモデルを構築することです。妊婦向けハーブティーの例では、母子の健康という価値に対して病院が費用を支払う仕組みを作ったことが成功に繋がりました。
Q2:大企業との連携において、どのようにアプローチすれば効果的でしょうか?
A2:「担当者レベルでの関係構築が最も重要です」。大企業の新規事業部門や研修部門など、具体的な課題を抱えている部署に直接アプローチし、その部署の予算内で解決できる提案を行うことが効果的だと述べました。また、決裁権を持つ人物を早期に特定し、その人のメリットを明確に示すことも重要だと付け加えました。
Q3:週末起業から本格的な事業化への移行タイミングはどう判断すべきでしょうか?
A3:「キャッシュフローが安定し、本業の収入を上回る見込みが立った時点」を一つの目安として挙げました。ただし、それ以上に重要なのは、その事業に対する自身のコミットメントレベルだと述べました。社会問題の解決に対する強い使命感があれば、多少のリスクを取ってでも本格化すべきだとアドバイスしました。

パネルトークを通じて、社会起業における実践的な知見と具体的な戦略を学びました。特に、段階的なアプローチの重要性、既存リソースの活用、そして社会的使命と収益性の両立という観点は、これから事業化を考えている参加者の皆さんにとって大きな気づきとなったのではないでしょうか。

株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役社長 田ロ一成
1980年生まれ、福岡県出身。早稲田大学在学中に米国ワシントン大学ヘビジネス留学。卒業後、(株)ミスミ(現ミスミグループ本社)を経て、25歳でボーダレス・ジャパンを創業。
社会課題を解決するソーシャルビジネスのパイオニアとして、日経ビジネス「世界を動かす日本人50」、Forbes JAPAN「日本のインパクト・アントレプレナー35」、EY「アントレプレナー・オブ・ザ·イヤー・ジャパン」に選出。2020年、カンブリア宮殿に出演。
TEDx『人生の価値は何を得るかではなく、何を残すかにある』の再生回数は100万回を超える。
著書『9割の社会問題はビジネスで解決できる』はベストセラーに。

真剣に向き合っているからこそ、今後の見通しをたてる難しさを実感する姿もありました。「VISION」「WHY ME(なぜ私がやるのか)」は、事業を始めて壁にぶち当たった時、悩んだ時に立ち返る指標にもなります。是非、これからも本セミナーを通して明らかにした想いやアイデアを大事に、前に進んでいただきたいです。
最後の全体シェアでは、プログラム全体を踏まえての一言もいただきましたが、「参加者の皆さん同士の出会いや想いの共有が出来てよかった」「今後一緒に地域課題に取り組む仲間ができた」「これからもよろしくお願いします」と、ローカルベンチャーカレッジOKAYAMA第一期生としての横の繋がりが感じられました。



参加者の皆様に、アイデア創出セミナーを通じて感じたこと·考えたことを伺いました。
今回は3日間のプログラムということで、かなり濃い、プライベートでも時間をとって色々考えたり、壁打ちをしたり、ぎゅっと忙しい毎日を過ごしていただいたと思います。短い期間であったにも関わらず、ヒアリングに行ってみたり、参加者さん同士でヒアリングしたり、出来ることに全力で取り組んでくださいました。
各回の間では、参加者さん同士でグループを組んでZOOMで壁打ちをし合うバディミーティングも開催し、同じ岡山での地域課題が見えてきた、ということもあったと思います。みんなでアイデア出しをすることで「話すことで考えがまとまった」「自分のビジネスにも新しい切り口を見つけたり、色々な角度から考える事ができた」「自分一人で悩まずアイデアをまとめられた」というご意見もいただいています。
プログラムはこれで一旦区切りとなりますが、引き続きプランニングや事業化へ向けて、奮闘する皆さんを心から応援しています!