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−第33回(平成13年度)− |
ちくりと 指先から心臓 胸元から脳へ 一秒すら置かず ひゅんと 指を引いてしまうには充分の 針 針 針 窓辺に置いた鉢植えの 鎧をまとった小さな背 解かれることのない 無数の棘と 人差し指に膨らんだ 一滴の虚無 あふれるほどの水をやれば 少しは優しくなるのだろうか 芽吹いた棘は 内側すら傷つけている 映るのは そんな有様なのに 泣いているのか 報われない思いを抱え 叫んでいるのか 理不尽な仕打ちに対し 求めているのか 春の陽に似た両腕を 此処はやがて 日だまりを作る窓辺だと それすらも忘れて 沈黙の背よ |