岡山市四御神・湯迫にある前方後方墳で、墳長48.3m、後方部長23m、後方部高3
m、前方部長21.8mである。二段築成で、前方部が三味線のバチ形に開く最古形式の前方後方墳である。葺石が明瞭であるが、埴輪は用いられていない。内部主体は墳丘の主軸と直交する竪穴式石室で、長さ5.9
m、幅1.2 m、高さ約1.5
mである。石室内からは、邪馬台国の女王卑弥呼が魏の皇帝から贈られたとも考えられている三角縁神獣鏡が11面も出土している。これは大和政権がその影響力を全国に及ぼすにあたって、各地の首長に鏡を分配したという、いわゆる「同笵鏡論」の重要な基準資料である。そのほか、内行花文鏡1、画文帯神獣鏡1、鉄刀などの鉄器も出土している。
本墳はそれほど大きな古墳でないにもかかわらず、豊富な副葬品があることからも、かなり勢力をもった首長の墓であることは間違いない。また、日本の歴史にも大きく関わる古墳として、学術的にも大変価値の高いものといえる。 古墳までの遊歩道はかなり急であるが、現地の見学を是非おすすめしたい。
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宇野バス「東湯迫」で下車、もしくはJR東岡山駅から北へ1.5
q、東ヶ丘団地背後の丘陵上 |
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 |
近藤義郎・鎌木義昌「備前車塚古墳」『岡山県史』
考古資料 1986年 |
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