林檎
「林檎」 大正3年 軸装
たわわに実を付けた林檎の木の下に佇む女性は、その面影からして妻たまきでしょう。粗末な衣装を身に纏ってはいますが、S字の身のこなしに夢二美人画の特徴を見ることが出来ます。たまきが手にしているのは、後に夢二が理想をもって臨んだ、手による産業美術につながるあけびの籠で、「夢二籠」または「どんたく籠」と言われるものです。生涯にわたってこの籠は絵のモチーフとして登場します。