ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)の略語で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味です。つまり、家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーを均衡させ、消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする住宅のことです。
これを実現するためには、使用するエネルギーの量を大幅に減らすことが必要となります。とはいっても、暑さや寒さを我慢するというわけではありません。ZEHは、家全体の断熱性や設備の効率化を高めることで、夏は涼しく冬は暖かいという快適な室内環境を保ちながら省エネルギーを目指します。
高い断熱性能や高効率設備の利用により、月々の光熱費を安く抑えることができます。さらに、太陽光発電の創エネについて売電を行った場合は収入を得ることができます。 また、資産価値が高くなり、将来売却する際にも高値で売れる可能性があります。
高断熱の家は、室温を一定に保ちやすいので、夏は涼しく、冬は暖かい、快適な生活が送れま す。さらに、冬は、効率的に家全体を暖められるので、急激な温度変化によるヒートショックによる心筋梗塞等の事故を防ぐ効果もあります。 また、断熱性能や気密性能の低い家は、結露が発生しやすくカビやダニの発生を助長します。 アレルギーや感染症の原因でもあるカビ・ダニを抑制するためにも、断熱性能はとても重要です。
台風や地震等、災害の発生に伴う停電時においても、太陽光発電や蓄電池を活用すれば電気を使うことができます。非常時でも電気を供給できる、災害に強い家として安心な生活を送ることができます。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁
ZEHは、年間消費エネルギー量をおおむね 100%以上削減できる住宅のことです。断熱・強化外皮と一次エネルギー消費量※1が基準となっています。
ZEHOrientedとは、主に都市部で土地や屋根の面積が限られている住宅を対象としており、安全性や天候の問題などによりZEHの要件を満たすことが困難な地域を考慮した創エネを必要要件としないモデルです。
ZEHは太陽光発電設備等の導入が取得要件になりますが、ZEHOrientedであれば、再生可能エネルギー未導入でもよいため、太陽光による発電が難しいとされる都市部狭小地であっても取得可能です。
Nearly ZEHとは、住宅スペース等の問題で太陽光発電装置を十分に設置することが困難なケースを考慮し、創エネの基準がZEH よりも低くなっているモデルのことです。
ZEHとZEH Orientedの中間に位置するモデルだと言えます。
創エネを含む一次エネルギー消費量※1が、ZEHは100%削減が求められるのに対して、NearlyZEHは75%から100%未満の削減が求められます。
それぞれ、ZEH、Nearly ZEH の上位モデルです。 ZEH+、Nearly ZEH+は、創エネを含まない一次エネルギー消費量※1を 25%削減するのに加え、以下の3項目のうち 2項目以上クリアする必要があります。
戸建て住宅におけるZEHの定義一覧表
出典:経済産業省 資源エネルギー庁
※1 一次エネルギー消費量
加工されない状態で供給されるエネルギーで、石油、石炭、原子力、天然ガス、水力、地熱、太陽熱などの消費量のこと
※2 UA値(外皮平均熱貫流率)
住宅の断熱性能をあらわす数値。屋内と外気の熱の出入りのしやすさの指標となる。
建物内外温度差を1度としたときに、建物内部から外界へ逃げる単位時間あたりの熱量(換気による熱損失は除く)を、外皮面積で除したもの。値が小さいほど熱が出入りしにくく、断熱性能が高く、大きいほど断熱性能が低いことを表す。
※3 強化外皮基準の地域区分
全国の地域ごとに要求されている断熱性能の指標・省エネ基準を満たしながら、さらにUA値を強化した基準のこと。
地域区分 | 都道府県名 |
1・2 | 北海道 |
3 | 青森県 岩手県 秋田県 |
4 | 宮城県 山形県 福島県 栃木県 新潟県 長野県 |
5・6 | 茨城県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 富山県 石川県 福井県 山梨県岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 |
7 | 宮崎県 鹿児島県 |
8 | 沖縄県 |
地域区分1・2及び5・6の都道府県はさらに詳細に分かれている地域があります。
ZEHが注目される背景には、住宅でのエネルギー消費量の大きさという問題があります。エネルギー消費といえば企業や工場などが注目されがちですが、実は、日本国内の全エネルギー消費量の 13.8%を住宅が占めています。住宅での省エネをより進めることができれば、全体のエネルギー消費量にも大きなインパクトがあります。ZEHは一般的な住宅と比べて割高ではあります。しかし、国の補助金等により初期費用の負担を減らすことができます。 ZEHの建設コストを安くするための取り組みも始まっています。また、年間の光熱費が大幅に削減できるため、住宅ローンの期間全体でみれば、追加費用の回収も見込めるかもしれません。
我が国では、2050 年カーボンニュートラル達成に向けて、「第6次エネルギー基本計画」(2021 年 10 月閣議決定)において、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH 基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」、「2030 年において新築戸建住宅の 6 割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」とする政策目標を設定しました。
「地球温暖化対策計画」(2021 年 10 月閣議決定)において、「2030 年以降新築される住宅について、ZEH 基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」とされています。
2017 年 6 月に閣議決定された「未来投資戦略 2017」では、「2030 年までに新築住宅・建築物について平均で ZEH・ZEB 相当となることを目指す」こととし、中短期工程表の KPI として「2030 年 の新築住宅及び新築建築物について平均で ZEH、ZEB の実現を目指す」こと、及び「2020 年の新 築住宅の省エネ基準適合率を 100%とし、ハウスメーカー等の新築注文戸建住宅の過半数をネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化する」ことを位置付けています。
2019 年 6 月に閣議決定された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」では、「今世紀後半のできるだけ早期に住宅やオフィス等のストック平均のエネルギー消費量を正味でおおむねゼロ以下(ZEH・ZEB 相当)としていくために必要となる建材、機器等の革新的な技術開発や普及を促す」としています。
所在地: 〒700-8554 岡山市北区大供一丁目2番3号 [所在地の地図]
電話: 086-803-1282 ファクス: 086-803-1423