当社は、銅や亜鉛、金、銀などの鉱山・金属製錬事業から派生した5つの事業を展開するDOWAグループの中で、高付加価値な金属の粉体を主に製造・開発する事業子会社です。高度な粉体製造技術を有しており、データサーバーに用いるデータストレージ用テープなどに使用される磁性材料のほか、各種電子機器に使用される積層セラミックコンデンサ用銅粉や、燃料電池の電極として利用可能な各種酸化物などを製造しています。当社の所在する敷地内には、DOWAグループの8社9事業所があり、「DOWAグループ岡山事業所」として、機能性材料の製造・開発だけでなく、さまざまなリサイクル事業にも取り組んでいます。
当社製品の製造には、多くの電気を使用するため、事業所内に発電設備を設けています。発電タービンの稼働に必要な蒸気を発生させる設備には、「自動車シュレッダーダスト」(自動車の廃車から生じるダッシュボードやシートなどのプラスチック、ゴム、繊維類などのこと)を燃料とする焼却炉を用い、発生した蒸気を工場の熱源として利用するほか、発電にも利用しています。この発電で年間電力使用量のうち、85%~90%を賄っています。
2018年6月に当社が声掛けし、岡山事業所内各社からの選抜メンバーで「省エネプロジェクトチーム」を立ち上げました。このチームでは、役割分担を決め、定期的に情報共有を行うことで、会社間の枠にとらわれず、エネルギーの使用について事業所全体の最適化を図りました。
大きな成果を生んだのは、場内で熱を余らせている箇所と熱を更に必要としている箇所を組み合わせる「ロータリークーラーの熱交換」です。自動車シュレッダーダストの焼却炉を操業する箇所では、効率よく燃焼させるために流動砂を一定期間で入れ替える必要があるのですが、入れ替えの際に600度まで熱された砂をロータリークーラーで300度まで冷却していました。一方、別の個所では、発電用タービンを回し終えた蒸気を冷やして水に戻す復水器から出てきた純水を、酸素や二酸化炭素などの気体を除去する脱気器で加熱している状況でした。この2つの箇所を300mの配管でつなぎ熱交換することで、冷却と加熱工程の効率化を図り、加熱用蒸気の使用量を30%削減することに成功しました。この取り組みで、エネルギー削減量は原油換算で年間204.2kl、CO2削減量は年間511.4tという成果が得られました。
そのほか、減温塔の廃熱による温水タンクの加熱を行ったことや、場内照明のLED化、エアー漏れ修理など大小さまざまな取り組みを合わせると、2021年3月までの3年間でCO2排出量を4,324t削減できました。
上記の省エネ活動が評価され、経済産業省の後援のもと、(財)省エネルギーセンターが主催している「2021年度・省エネ大賞」を受賞しました。
【写真:エコシステム岡山の焼却炉(ボイラー)】
SDGsのゴール7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、8「働きがいも経済成長も」、13「気候変動に具体的な対策を」、14「海の豊かさを守ろう」などへの取り組みも進めています。岡山事業所全体の取り組みとしては、児島湖流域清掃大作戦や地域清掃などコミュニティ活動への参加、体験型エコドライブ講習会によるエコドライブ技術の習得を行うとともに、執務スペースの適度な温度設定や無駄な電気の消灯、資源のさらなる活用など全体意識の向上を図っています。
【写真:省エネPJチーム事務局メンバー】
持続可能な社会の実現に向け、環境保全に関するお客様の意識は年々高まっており、リサイクル原料の使用が求められ始めています。DOWAグループは、金属のリサイクルを行う会社もあり、製造過程で発生したロスを再生する技術を持っているほか、リサイクル原料の調達にも長けているのが強みです。しかしながら、リサイクル原料を使用すると、どうしても原価が上がるため、収益面を考慮した提案を行っていきたいと考えています。
グループ内の資源循環をさらに加速させることで環境に配慮した経営を促進し、長年培った技術とノウハウを活かして、お客様のニーズに応え続けていきたいと思います。
称号 | DOWAエレクトロニクス岡山株式会社 |
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所在地 | 岡山市南区海岸通1丁目3番1号 |
設立 | 2006年(平成18年) |
代表者 | 代表取締役社長 氏原 尚 |
事業内容 | 高付加価値な機能性材料の製造・開発 |
所在地: 〒700-8554 岡山市北区大供一丁目2番3号 [所在地の地図]
電話: 086-803-1282 ファクス: 086-803-1423