当社は、昭和24年に総社市で農機具向けのバネを製造する山根スプリング製作所として創業しました。昭和36年に備前発条株式会社を設立し、設計から型治具製作、プレス、溶接、塗装、組立、検査と一貫生産ラインで製品を開発しています。60%が委託加工品製造で、自動車部品を中心に、農機具や二輪車向けに製品を提供してきました。
15年ほど前に、バネを円筒状の金属に広げて巻き付けて摩擦力で固定する「バネロック機構」を開発し特許を取得しました。この機構は、一方向にはバネが緩むため動きますが、反対方向には動かず、無音で自由なところで固定できる特質があることから、自動車のアームレストなどの開発品をメーカーに提案し、トヨタ自動車や日産自動車の多くの車で採用されました。これからも、この特許技術を生かし、他メーカーに提案していくほか、大量生産で培った合理化技術とハンドメイドによる匠の技を生かして、収納棚などの家具、福祉分野などBtoC戦略に挑戦していきたいと思っています。
【写真:アームレスト】
恥ずかしい話ですが、数年前までは環境への優先順位が低く、品質重視の考えでしたが、子どもたちが学校でSDGsについて学んでいる姿を見聞きし、企業として取り組まないといけないと考え、昨年1月に、各部署から有志を募り「SDGsチーム」を立ち上げました。チーム内で議論を重ね、自分たちでできることから始めようと「青い生命の星地球 晴れの国岡山から 世界へ協奏曲を♪」をスローガンにSDGs宣言し、取り組みを経営の柱にすることを決めました。
大きな取り組みとして(1)カーボンニュートラルの推進(2)ダイバーシティ経営の推進(3)4Rの推進と強化を挙げています。その中でも、一番目に挙げているカーボンニュートラルには特に力を入れており、2030年の定量目標としてCO2排出量50%削減、2050年のカーボンニュートラル実現を目指しています。
具体的には、コンプレッサーなどの設備を低燃費のものに更新するほか、CO2が発生する溶接を使わずカシメで接合する製品設計、設備投資による不良品率の低減などに取り組んでいます。また、2年ほど前から行ってきた本社・工場内のLED照明への入れ替えがほぼ終わり、2023年は全社のCO2排出量を1%(19t)削減することができました。
また、生産時のCO2排出量を削減したグリーン鋼材などエコロジー素材の導入、工場敷地25%の緑地化なども併せて進めていこうと思っています。
【写真:会議風景】
CO2フリー電力への移行を有言実行することを目的に、昨年12月4日に県内の民間企業で初めて「再エネ100宣言 RE Action」に参加しました。2050年までに100%実施が目標です。太陽光パネルの設置や、CO2フリー電力の購入などを進め、達成を目指します。
1月11日には、同アクションのアンバサダーである岡山市の大森雅夫市長を表敬訪問し、参加証の交付を受けました。全国の事例を参考に他社の手本となれるよう努め、県内の参加企業数増加に貢献できるよう取り組みたいと思います。
【写真:再エネロゴと参加証の交付を受けた山根社長(左)】
脱炭素の取り組みを通じて、社内に意識の高い人が多いことが分かり、改善に向けた意見が集まるなど組織が引き締まってきたと感じます。SDGs活動の一環で始めた田植え体験では、収穫した米を秋祭りで近隣住人におにぎりで振る舞うなど地域とのつながりもでき、地元の主婦の方の入社が増えるなどさまざまな効果が出ています。
CO2削減は我慢するというイメージがありますが、いい商品を開発し、多くの企業に買ってもらい、利益を出すその流れの中で無理なく削減するというサイクルを作れるよう自己実現していくことを目指します。将来につながる活動にし、社員の心技体の成長と会社の継続的な躍動につなげたいですね。
称号 | 備前発条株式会社 |
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所在地 | 岡山市東区目黒町37 |
設立 | 昭和36年2月 |
代表者 | 代表取締役社長 山根 教代 |
事業内容 | 自動車、二輪車、農機具、建設資材等金属部品開発製造、金型・専用機設計 |
所在地: 〒700-8554 岡山市北区大供一丁目2番3号 [所在地の地図]
電話: 086-803-1282 ファクス: 086-803-1423