明治23年の創業以来、130年以上に渡りマッチの製造を行っています。マッチは、高度成長期に家庭用コンロが自動点火になったことや、ライターの普及などで需要が低下。製造機を生産する企業がなくなり、メンテナンスができずメーカーの廃業が続く中、古い機械を補修しながら大切に使い続け、現在では当社と兵庫県の1社のみが製造を続けています。
当社のマッチは、硫黄(いおう)を使っていないのが最大の特長です。硫黄が燃焼した際に発生する亜硫酸ガスは、ぜんそく発作を誘発するため、およそ20年かけて研究し硫黄を全く使用しない「脱硫マッチ」を開発。昭和51年に特許を取得しました。定番品の「太鼓獅子」をはじめ、全てのマッチを脱硫で製造しています。
【写真:硫黄を使わない脱硫マッチ】
【写真:太鼓獅子】
着火装置として普及したライターはプラスチックや金属、化石燃料からできていますが、マッチは木と紙でできている非常にエコロジカルな製品です。持続可能な社会の実現に向け、CO2削減や脱プラスチックなど地球環境保護が求められる今の時代に合っている商品といえ、そこをアピールすることが生き残る道と考えました。エコな商品を提供しているのに、製造過程でCO2を出すのはおかしいと思い、極力CO2を排出しない社内体制に切り替えていきました。
【写真:大量のマッチを製造している様子】
工場の蛍光灯をLEDに替えたほか、屋根に太陽光発電システムを設置し、発電した電気は蓄電池に蓄え、社内で消費する電力を賄っています。電気が不足した場合も、電力会社との契約で100%再生可能エネルギーにより発電された電力のみで運用しており、電気に関しては2021年5月に再エネ100%の会社運営を実現できました。社用車もEV車に切り替え、自社発電した電気で充電し使用しています。J-クレジット制度に登録しており、CO2排出削減量を社会に還元する取り組みも準備中です。
商品面では、長年にわたり使用してきたフィルム包装を使わないパッケージづくりに挑戦。キャンドルやお香を楽しむ際の利用を想定しお洒落なデザインにこだわった紙箱入りのマッチ「HOWARI」やトレーシングペーパーで袋状に包装した土産品「ももたろうスペシャリティ」を商品化しました。また、製造過程で発生する製品に使用できず廃棄していた軸材を活用し、粉砕後にパラフィン(ろう)と混合し成形した着火剤や、県内の養蜂業者が廃棄処分していた蜜ろうを活用したオリジナルキャンドルも発売しています。
【写真:エコを追求したさまざまな商品】
マッチ製造の乾燥工程は重油ボイラーを使用しており、CO2を排出しているのが現状です。現在、環境省の補助金を申請中で、バイオマスボイラーへの切り替えに向け動いています。廃棄している軸材を燃料として活用できるようになり、製造過程でごみを出さない自己完結型の製造業が実現できます。また、「太鼓獅子」などのクラッシック商品はまだフィルム包装をしているので、何とか変えていく方法を検討していきたいと考えています。
時代が変わっても火を付けるという行為自体はなくならず、癒しを与えられる道具として柔らかい炎でエコなマッチは残っていくと信じています。これからも、時代に必要とされ、社会からないと困ると言われる企業を目指し努力を積み重ねていきます。
【写真:田中礼一郎社長】
称号 | 株式会社中外燐寸社 |
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所在地 | 岡山市南区浦安南町550 |
創業 | 明治23年 |
設立 | 昭和33年 |
代表者 | 代表取締役 田中 礼一郎 |
事業内容 | 家庭用マッチの製造販売、広告マッチ、喫煙具の販売 |
所在地: 〒700-8554 岡山市北区大供一丁目2番3号 [所在地の地図]
電話: 086-803-1282 ファクス: 086-803-1423