第5回ESDカフェでは、岡山市ESD世界会議推進局局長の浅井孝司さんが、ネパールやバングラデシュなどの発展途上国で撮影した写真をもとに、いろんな国の子どもたちを取り巻く環境や教育事情についてお話しました。
まず画面に映しだされたのは、きれいな瞳が印象的な女の子の写真。この女の子と浅井さんは、数年前にネパールの首都・カトマンズで出会い、言葉が通じない中でもジェスチャーを交えて交流を行ったそうです。
この女の子を皮切りに、アジアやアフリカなどいわゆる発展途上国と呼ばれる国々で、浅井さんが出会った子どもたちについて、写真を交えて紹介しました。
いろんな国の子どもたちの中で共通することは…
「子どもたちの瞳や表情を見て何を感じますか?」と浅井さん。
日本の便利な生活と比べると、発展途上国で暮らす子どもたちは貧しい環境で暮らしているかもしれません。しかし、そんな環境の中でも、子どもたちはきれいな瞳と生き生きとした表情をしているのです。子どもたちの瞳や表情を見ていると、「彼らは決して不幸ではないのかもしれない」と浅井さんは感じるそうです。
それから浅井さんは、発展途上国の教育事情について紹介しました。
公立の学校や先進国のNGOによって建てられた学校、僧侶が修行する僧院など、いろんな種類の学校を紹介しましたが、その中でも「コミュニティ学習センター(以下、CLC)」について紹介します。アジアの国々に多く設置されているCLCでは、識字教育や職業訓練など自立して暮らすための力を育む教育が行われています。また日本の公民館と同じように、地域に密着したESDを推進する拠点として、注目が集まっています。
2014年10月9日(木曜日)から10月12日(日曜日)に開催される「ESD推進のための公民館-CLC国際会議~地域で学び、共につくる持続可能な社会~」では、世界各国のCLCと日本の公民館関係者が集まり、それぞれが行っているESDの実践事例を共有するとともに、ESD推進における公民館やCLCの重要性と今後の展望について話し合います。CLCの様子を写した写真の中でも、子どもたちは生き生きとした表情で、勉強や職業訓練に取り組んでいました。発展途上国の子どもたちにとって、学校やCLCのような教育が受けられる場は、同年代の子どもとのつながりや、将来の夢を育むとても大切な場所となっているそうです。
地域によっては、数10キロもの道のりを歩いて学校に通わなければならない子どもたちもいるといいます。しかし、そんな状況の中でも学校に通うひたむきな子どもたちから、「学ぶ」ことへのまっすぐな意欲が感じられるだけでなく、教育の重要性を改めて考えさせられます。発展途上国の子どもたちを取り巻く環境や教育事情について学んだ参加者たちは、「子どもたちにとって何が幸せなのか?」をテーマに話し合いました。今回は、ネパールやマレーシア出身の方も参加され、いろいろな国の視点から意見が交わされました。
話し合いの中で出た意見の一部をご紹介します。最後に浅井さんは次のように締めくくられました。
「ある発展途上国で出会った子どもは、『テレビはない、洋服もたくさんは持っていないけど、家族がいる、友達がいる、庭には果物が実り、畑で野菜もとれる。他に何が必要だろう?ぼくたちは幸せだよ』と話してくれました。
物質的な豊かさはない中でも、家族や友達がいて自然と共存した生活が送れることで、彼らは『幸せ』を感じているのです。『日本人の目線で考える発展途上国の子どもたちの幸せ』と、『彼らが考える幸せ』はちがうのかもしれません。第3回ESDリレーコラムでは、NPO法人ハート・オブ・ゴールドの田代邦子さんが、ハート・オブ・ゴールドの海外支援活動について紹介しています。カンボジアの子どもたちのきらきらした瞳が印象的です。ぜひご覧ください!
岡山市ESD世界会議推進局 小西・友延
電話:086-803-1354
電子メールアドレス:miki_konishi@city.okayama.lg.jp