NPO法人公共の交通ラクダ((RACDA)以下、ラクダ)は、団体名にもあるとおり、公共交通の分野で活動している団体に見えるかもしれません。しかしラクダは公共交通だけでなく、まちづくり、環境、経済、文化、ユニバーサルデザイン、バリアフリーなど様々な分野で市民の立場から活動しています。
また、様々な分野の専門家がそれぞれの知見を活かして活動していたり、全国各地で活動する約100団体とネットワークを形成したりしています。このようにラクダは、様々な団体や立場の人々と協働して活動しています。
公共交通やまちづくりの分野では、路面電車を中心に利用しやすい公共交通システムの整備を通じて、暮らしやすい都市の実現やコミュニティの活性化を図り、地方都市レベルでの文化・経済の成熟を目指しています。
特に、LRT※1という次世代の人と環境に優しい路面電車システムに関する調査・研究や、交通事業者・行政への働きかけなどに力を入れています。また、「路面電車まつり」の開催や「ワイン電車」の運行など、岡山市内を中心に市民向けのイベントを開催しています。2015年で20回目を迎える路面電車まつりには毎年多くの人が参加しているので、実際に見たり聞いたりしたことのある方もいらっしゃるかもしれませんね。
このような取り組みを通じて、子どもから大人まで公共交通にふれるきっかけをつくり、いつも何気なく利用している電車やバスに親しみを持ってもらいたいと考えています。
さらに近年では、路面電車内で地元アーティストによるコンサートを開催したり、CD※2を制作したりして文化や芸術の活性化にも取り組んでいます。
※1 LRT(Light Rail Transit):優れた加速性や快適性をそなえた次世代の路面電車。岡山市内でも、「MOMO別ウィンドウで開く(記事冒頭の写真)」が運行されている。
※2 2014年秋に、岡山出身のアーティストである町田こうぞうさんとしゃぼんマリ子さんのコラボで、「ハートフルももの里」をリリースしました。このCDには、「持続可能でハートフルな地域づくりを進めていきたい!」という想いが込もっています。
「ESD」といえば、環境保全や国際理解に関する活動をイメージされるかもしれません。
しかしラクダの取り組みは、公共交通システムの整備を通じ、人と環境にやさしく安全で暮らしやすい「持続可能なまちをつくるESD活動」だと考えています。中でも少子・高齢化が進んでいく日本では、より重要な活動になっていきます。これからも持続可能なまちをつくるために取り組んでいきたいと思います。
岡山県出身。ラクダの活動だけでなく、ももの里地域農村活性化協議会でまちなかと農村をつなぐ活動にも取り組んでいます。