2015年5月21日(木曜日)に、2015年度第2回ESDカフェ「多様な視点から見た持続可能な農業のあり方」を開催しました!
今回のゲストは農業生産法人株式会社美和リーフ代表取締役の千葉吉史さん。市民、企業、行政、大学関係者など33名が参加しました。
まず、千葉さんより農業が抱える様々な課題や、持続可能な農業に向けた新たな取り組みなどについてご説明いただきました。
ESDカフェの様子
農業生産法人株式会社美和リーフの千葉吉史さん
農業を取り巻く状況は複雑で、様々な要素が対立する構造にあります。例えば、増え続ける世界人口vs安定的な食糧供給の必要性、大量生産vs自然環境に配慮した有機農業、農産物vs膨大な食品残渣(ざんさ)や廃棄農産物など。農産物は人が生きていく上で欠かせないものでありながら、米の価格は下落傾向にあり、農家の平均の年間所得が170万円程度と、経済的にも厳しい状況にあります。
この状況を解決するために、どのような方策があるのでしょうか?
アメリカには、地産地消をすすめるCSA(=Community Supported Agriculture、コミュニティに支援された農業)というコンセプトがあり、教会などが、地域販売・経済・起業の拠点として活用されているそうです。日本の場合、地域の人や学生が集まる拠点として、お寺や、岡山の場合であれば公民館を活用できるのではないかとのこと。千葉さんは、お寺を舞台に「本気で農業を語る」シンポジウムを開催しています。また、後継者不足に悩む農業において若者が活躍することがカギになります。
そこで、大学生の農業体験を行う他、近年、農地法の改正によって法人でも借りられるようになった農地を利用して、大学生による農業ベンチャーの立ち上げ支援なども行っているそうです。中には、「夢は農業ベンチャー」と語る大学生も出てきたとのこと。その他、若者以外にも、身体的・精神的ハンディキャップを持つ人たちや女性にとっても就業の可能性を秘めているとおっしゃっていました。
質疑応答の中では、国や文化・宗教による農家に対するイメージのちがいについてもお話いただきました。キリスト教が中心の西欧では、人の体をつくる食べ物に対する価値が高いため、農家の人気が高いとのこと。例えば、オランダの子どもたちのなりたい職業ランキングでは、農家が3本の指に入るそうです。一方、日本においては、昔から農家は低い階級の人がする仕事だという観念があり、ランキングも100位以下。食糧自給率が下がることに対しても、あまり抵抗がないのではないかというご意見でした。
一言でいうと、千葉さんにとって
私たちは、すべての人が農業に関わっています。それぞれの立場で持続可能な農業のために何ができるのかを考えて行動する力をつけていくことが大切だと感じました。
参加者からは、「歴史や哲学的な知識を交えたお話でとても刺激的でした」、「生命に直結する農業こそ持続可能でなければならないので、どうすればよいのか議論を続けたいです」、「『ESDは共に考え続けていくこと』という言葉が心に残りました」などの感想がありました。
次回のESDカフェは、2015年6月18日(木曜日)午後6時から午後7時30分に開催されます。「フェアトレードシティ岡山をめざして」をテーマに、岡山県JICAデスク(JICA中国)の大井聡美さんにお話を伺います。楽しみですね!
岡山市市民協働局ESD推進課 小西・流尾
電話:086-803-1354
電子メールアドレス:miki_konishi@city.okayama.lg.jp