藤田公民館
児島湾の干拓により明治45年に児島郡藤田村として誕生した藤田地区。
地域には、干拓の名残でもある底樋・樋門などの歴史的建造物が今なお数多く残っています。
また、干拓地という土地柄を活かした麦と米の二毛作が盛んで、一大穀倉地帯を築いています。かつて海だったこの地は、麦秋(初夏)には黄金色の大海原となり、盛夏には稲の緑が大草原のように広がります。
人の手により発展・改良されてきた歴史がありながらも、水辺には多くの命が宿り、農地には作物が豊かに実る、そんな藤田地区で取り組まれているESD活動を紹介します!
藤田公民館では、小学生と保護者を対象とした「わくわく親子ふれあい理科教室」を実施しています。平成28年度で10年目を迎える人気講座です。
この講座では年間を通して、野外観察や星空鑑賞、クラフトづくりなどを実施し、藤田地区に息づく自然を知り、体感し、守っていくことの大切さを学びます。
講座の先生役は、藤田中学校生徒と卒業生のボランティアたち。中には、以前この理科教室を受講していた生徒もいます。
「教えてもらう立場から、教える立場に」
子どもたちの成長や学び合いを形にした、実践的なESD環境講座です。
まずは、藤田地区に生息する生き物についての学びの時間です。
学生ボランティアは、当日を迎えるまでに、入念な予備観察と発表準備・練習を行いました。
どんな動物がいるのかな?
どのような場所にいて、どんな声で鳴くのかな?
よく見るあの植物は、どんなにおい、どんな味がするのかな?
クイズなどを盛り込みながら、生き物の特徴や特性、見つけ方などを詳しく子どもたちにレクチャー。
また、鳴き声の音声を聞いて、この後の野外観察に役立てます。
子どもたちはもらった生物シートに、発見や気づきを書き加えて、1年間の学びをまとめた自分だけのオリジナル図鑑にしていきます。
先生(中高生ボランティア)がそれぞれオススメの生き物の特徴を紹介
自分だけの生物図鑑づくり
座学のあとは、みんなで実際に外に出てホンモノさがし。
学生ボランティアは慣れた手付きで望遠鏡をセッティングし、子どもたちに最高のポジションを用意してくれました。
「ほんとだ!耳が赤いから、アカミミガメって言うんだね!」
「おねえちゃん、この花のこと教えて!」
などと、子どもたちの歓喜の声があがりました。
普段、何気なく目にしていた動物や草花にも興味が湧きます。
望遠鏡を使って、ミシシッピーアカミミガメの観察
見つけた草花を図鑑で確認
学生ボランティアに教えてもらう様子
みんなでヒナゲシの蕾とばしに挑戦
最後にみんなで「発見」のおさらい。
どんな生き物がいたかな?見つけることができたかな?
参加者ひとりひとりの感想の発表によって、他の人の新たな発見につながることも!
子どもも保護者も、学生ボランティアたちも、みんなで学びを共有しました。
「ヨコヅナサシガメ見つけられた人~?」「はぁ~い!!」
理科教室という名前ではありますが、環境や自然に触れる体験を通して、親子の絆、学生ボランティアとの交流、地域とのふれあいを深めることを目的に10年間活動してきました。自分たちが住むこの地域について、わくわくすること、興味があることを題材に、親子や地域の方々とのつながりを強めていってもらえることがこの講座ならではのESDだと感じています。
この講座の魅力は、参加する親子が自然に対する興味・関心を深め、学ぶことの喜びや地域とのつながり合うことの大切さを感じられること。そして、学生ボランティアたちが藤田地区の自然について学び、それを守り伝えていくことで、今ある環境をこの先も守り続ける持続可能な社会の担い手へと育っていくことです。
双方の学び合いの場として、これからも継続して実施していきたいと思います。
子ども:アオサギのヒナを見られてうれしかった!
子ども:お兄さんがいろいろ詳しくてすごかった!
ママ:去年、教えてもらう側として参加していた上の子が、今年は先生として弟に教えてあげている様子を見て、子どもの成長を感じることができました。
ママ:名前の知らない花などを学生ボランティアの子に教えてもらいました。大人の私も新しい発見がある楽しい時間でした。
学生ボランティア:事前の予備観察では見つけることができた鳥たちが、今日は暑くて出てきてくれなかったのが残念だけど、次もぜひ参加してほしいです!
学生ボランティア:最初の発表では緊張したけど、いろいろな年代の人とお話ができてよかった。
自然という題材で、大人も子どももみんなで一緒にできる学び合いが行われているんだね!