ESDリレーコラムでは、4回にわたってESD大学生インターンシップに参加した学生の活動レポートをご紹介します!
初めまして。岡山大学法学部3年生の山口航輝です。私も西原さんと同じく、2015年8月から9月に「ESD大学生インターンシップ」に参加しました。このインターンシップに参加したきっかけは、大学の掲示板に貼り出されていた募集チラシを見たことです。チラシにそれまで聞いたこともなかった「ESD」という言葉が書かれていて、「なんだこれは?」と思ったのを覚えています。よくよく内容を読んでみると、一般的なインターンシップのイメージと違うものだったので、「これは面白そう!」と思って応募することにしました。
私はインターンシップの前半で岡山市立大元公民館と御南西公民館、後半にはNPO法人岡山市子どもセンターとNPO法人杜の家で活動しました。今回は、公民館での活動について、報告をしたいと思います。
大元公民館では、以下の講座とワークショップに参加しました。
その日の講師は、環境にやさしい特殊な方法でお米を作っている赤木歳通さん。農薬や除草剤をまったく使わずに、お米を作るという驚くべき農法についてお話してくださいました。「これからの日本の農業は収穫量の多さや価格の安さより、『品質の良さ』が重要になる」と赤木さん。これからTPPなどによって、外国産のお米との価格競争が始まり、消費者の食に対する見方も変わる可能性があります。「価格は高くても、安心・安全なものを食べたい」という消費者のニーズに応えていくことが、日本の農家が生き残る道なのかもしれません。
「地域が抱える問題」について考えるワークショップ
午後からは、公民館で行われているESD活動を学ぶために、「地域が抱える問題」について考えました。テーマは、2015年8月30日(日曜日)に岡山市立大元小学校で行われた「住民参加型防災訓練」のアンケート結果に関するものでした。
アンケートの集計結果をまとめた表
アンケート結果を通じて次のような課題が挙がり、参加した方々と一緒に解決策を考えました。
【課題】
こうした課題の背景には、都会から大元地区に移り住む人が多く、近所づきあいが上手くできないことが挙げられるのではないかと思います。解決策として、公民館などが祭りやイベントを開催して、大元地区に暮らす人同士がふれあう場を提供していくことが挙げられました。
地域課題を考えるワークショップに参加したことで、自分の防災意識を見直すきっかけになりました。頭では、地震などの災害の恐ろしさを分かっているつもりでも、自分の暮らす地域でいつか起きるものと考えている人は、実際は多くないのかもしれません。
お父さんを対象にした子育て応援講座の様子
御南西公民館では、お父さんを対象にした子育て応援講座が開催されており、私たちも新米お父さんに交じって参加しました。講座では、お父さんと子どもが一緒に楽しめるストレッチだけでなく、お父さん同士で子どもたちが自由に遊ぶ様子を見守り、感じたこと・気づいたことについて話し合いました。どのお父さんも、子育てについて真剣に考えている様子が伝わってきました。
一番心に残ったのは、「子育て応援講座に参加しているお父さんは、子育てについて心配する必要はない。本当に問題なのは、子育て応援講座などに参加せず、育児を女性に一任している父親がたくさんいるのではないか」という意見です。せっかく、公民館が男性の育児参加を推進するために活動しているのに、そもそも講座などに参加しない人がいること。公民館にとって、「どうすればもっと多くの人に参加してもらえるか」という視点から講座を企画することが重要だと思います。
アンケートの集計結果を表にまとめました
「障がい者が住みよいまちづくりのためのアンケート」の集計を行い、学生の視点から一枚の結果表にまとめました。パネル全体のレイアウトを考えたり、一目で分かるようにシールでまとめたりと、慣れない作業に戸惑うこともありました。しかし、他のインターン生と協力して、納得のいく表をつくることができました。
完成した表は、御南西公民館のロビーに張り出されるそうです。地域の人からどんな声が寄せられるか、楽しみです。
インターンとは関係ない話ですが、御南西公民館の建物はとてもきれい!館内には、地元の方が作った木のおもちゃやステンドガラス、写真クラブの作品などが飾られ、アートな空間となっていました。ぜひ一度、御南西公民館に足を運んでみてください!
インターンに参加する前まで、公民館は「小学生がクリスマス会などのイベントで使用する施設」というイメージが浮かぶ以外、どんな施設なのか分かりませんでした。
しかし、インターンを通じて、公民館のイメージはガラリと良い方向に変わったと思います。小学生だけでなく、地域で暮らす人々が「交流の場」として利用できる施設だということ、さらには地域が抱える問題解決や多様な講座を開催するなど、地域の人々の「交流」と「学び」の場であることが分かりました。