私たち、岡山学芸館高等学校は平成27年度より文部科学省のスーパーグローバルハイスクールに指定され、「開発途上国の貧困悪循環是正に高校生が貢献できること」をテーマに研究活動を行っています。
その根底には、「持続可能な社会のためにどのような教育を行っていくか」というまさにESDの考えがあり、次世代を担う高校生が将来、世界に羽ばたいて貢献してくれることに期待をしています。
岡山学芸館高校SGHの構想図
高校生で研究活動?と思われるかもしれませんが、2022年度からは新学習指導要領が始まり、「探究」という授業がどの学校でも始まります。「探究」や「研究」というのは、自分が疑問に思っていることからテーマを設定し、深めていく活動です。
本校の特徴としては、単に書籍や論文を読んで知識を深めるというだけでなく、フィールドワークを行いながらデータの収集やインタビュー調査、アンケート調査などを実施していきます。
また、開発途上国の社会課題に対して高校生ができることを実践することで、自らの力を社会に還元する素晴らしさも学びます。
本校では各学年、1コマずつ「グローバル課題研究」という授業があります。高校1年次は「多様性への理解」と「論理的思考力」を学びます。アクティブラーニングの手法を用いて能動的に学び、また、岡山大学などと行う高大連携授業を通して高度な思考力を養います。
大学教授による講義
2年生になると、「ゼミ」に分かれて自分の興味のある分野についてテーマを持って研究をしていきます。
ゼミに分かれて調査・研究
ネイティブの先生によるAll Englishのゼミも
開発途上国と言っても多くの国がありますが、岡山学芸館高等学校はカンボジアの社会問題を対象として研究しています。カンボジアは1970年代のポルポト政権による独裁的な政治の影響で、40代以上の人口が極端に少なく、経済発展の足かせとなっています。
子どもの貧困、教育格差、富の不均衡という先進国でも抱えている問題から、トンレサップ湖の環境悪化、ゴミ山問題など開発途上国ならではの問題もあります。
本校では、先述の通り開発途上国に高校生が貢献できることを考えることに主眼を置いており、実際にカンボジアを訪れます。校内で試験や面接を行い、フィールドワーク選考を突破した生徒は、1年次の12月に「現地を知る」、2年次の8月に「アクションを起こして貢献する」という2度の渡航で具体的な活動を行っていきます。
例えば、「トンレサップ湖周辺の環境問題を改善する」というテーマのグループは、トンレサップ湖の水上小学校の生徒たちと、湖周辺のゴミ拾い活動を行います。
カンボジアでの清掃活動の様子
トンレサップ湖の水上にある小学校に通う子供たちと一緒に実施
ただ単に子ども達とゴミ拾いを行うだけでなく、ゴミ拾いを継続することの意義や大人たちへの働きかけも行います。数時間のゴミ拾いで、袋は大型トラック2台分にもなりました。
トラック2台分のゴミが集まった
本校の建学の精神は「世界に通用する立派な日本人を育成する」です。今後更に、グローバル化が進んでいくであろう社会において、世界の諸問題を「自分ごと」と捉えられる人が求められることでしょう。これからも岡山学芸館高校の教育にご注目ください!
2011年岡山学芸館清秀中学校に赴任。赴任当初より途上国研修旅行の引率や国際理解教育のプログラムに従事。2016年より岡山学芸館高等学校へ異動し、SGHプログラムの作成に携わる。SGH運営部長、7つの習慣J(R)ファシリテーター、英語科所属。
「世界に通用する立派な日本人を育成する」精神に基づく実際の行動に大賛成で、素晴らしいと思います。
やはり、実体験を通してこそ行動に繋がる強い思いが芽生えると考えます。