校庭に整備されたビオトープ
ノートルダム清心学園清心中学校・清心女子高等学校は、倉敷市にある中⾼⼀貫型の女子校です。清心女子⾼等学校では、生徒たちが自分の希望する進路や興味関心をもとに「文理コース」または「生命科学コース」に分かれて、日々勉強にはげんでいます。
2006年(平成18年)に、文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)※1に指定されたことから、実験機材をそなえ、高度なレベルの研究に取り組める環境づくりを行っています。2011年(平成23年)には再指定を受けて、SSHとして9年目を迎えました。さらに2012年(平成24年)には、ユネスコスクール※2に認定され、ESDに関する授業も行われています。
※1 スーパーサイエンスハイスクール:先進的な理数教育を行い、高校・大学と連携した研究を行い、将来の国際的な科学者を育むための教育を推進している学校のこと。
※2 ユネスコスクール:ユネスコ憲章の理念を実践することを目的に設立されたしくみで幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学が認定対象となる。日本では、ESD活動を推進する学校として中⼼的な役割を担う。(ユネスコスクール別ウィンドウで開く)生物部は、岡山ESDプロジェクトの重点取組組織にも指定されています。
放課後に行われている生物部の活動におじゃましたよ!
教室では、1年生がオオイタサンショウウオ※1にえさをあげていたよ!
両生類の研究を生物部が始めたのは、1989年(平成元年)のこと。体育の先生が偶然見つけたカスミサンショウウオ※2の卵を生物部で飼育し、一般では難しいといわれている完全な飼育個体からの産卵に成功したことがはじまりでした。
「もともと自然や生きものが好きで生物部に入部しましたが、活動を通じてもっと環境に対して興味を持つようになりました。また毎日世話をしていると、生きものの変化を手でふれながら感じることができます。あくびをする仕草がかわいく感じられたりして、段々生きものが愛しくなってきました。これから生きものを守るために、いろんな研究に取り組んでいきたいです」と笑顔で話す1年生の勝良さん(左側写真の右)。
生きものの世話を行う1年生
オオイタサンショウウオにえさをあげる1年生
生物部には、生命科学コースの生徒全員が所属しています。
1年生が毎日生きものの世話を担当し、2年生では生きものの世話をしながら自分で設定した課題に関する研究をスタート。成果は、日本動物学会やSSH生徒研究発表会などで発表するなど、学年が上がるごとにその活動は深まっていきます。
2年生の木村さん
「昨年マレーシア海外研修で自分の研究を英語で発表する機会がありました。そこで評価を受けたことで自信につながっただけでなく、自分の可能性を広げることができたのではないかとも思います。将来海外でも活躍できるように、大学に進学してからも研究や英語の勉強をがんばっていきたいです」といきいきとした表情で話すのは2年生の木村さん。今年はシンガポールで開催される、アジアサイエンスキャンプに日本から参加するメンバーの一人に選ばれています。
木村さんは生物部の研究を通して、いろんなことに好奇心を持ってチャレンジするようになったそうです。
「後輩にもいろんな経験をして刺激を受けてほしい!」という想いから、研究分野に関する知識を教えたり、実験器具の使い方について指導したりしています。
秋山繁治先生
この生物部を⽀支えているのは、顧問の秋山繁治先生。秋山先生は、生徒がのびのびと研究を行えるよう、生徒の自主性を大切にしながら指導を行っています。
また先生自身も在職中に、広島大学大学院理学研究科で博士号を取得。理系の道に進む生徒が多く所属する生物部を、専門的な観点からサポートしています。
「生きものの世話をしているといろんな気づきがあり、自然と意識が変わりますね。私は常に、『飼われている生きものの立場に立って考えなさい』と指導しています。生物部が飼育している生きものたちは、生徒にえさをもらう以外に生きるすべがありません。生徒の都合でえさがあげられないということは、生きものに餓死しろということと一緒なんです。環境も、ESDも、人間の都合を優先するのではなく、生きものの目線に立って考えることが大事ですね」とお話されました。
未来の理系女子を育てる生物部の活動に注目だね!