お正月にお飾りを飾る習慣が失われつつある今日、子どもたちに今伝えることの一つとして、吉備公民館、吉備小学校PTA、吉備学区老人クラブ連合会共催で「お飾りづくりに挑戦しよう」を開催しています。
地域の人間関係を大切にしながら、子どもから高齢者まで幅広い世代が連携した取り組みです。いつ頃から始まったかよくわかりませんが、私が手伝い始めてからでも15年です。おそらく25年~30年ぐらいにはなると思います。
お飾りはすぐ出来るものではありません。お飾りのできるまでのお飾りカレンダーをつくりました。
皆様はご存じかどうかわかりませんが、お飾り用の稲わらはお飾り用として育てています。
田植えから約2か月後、稲穂が出る前に刈り取ります。お天気の良い日の早朝より6人ぐらいで刈り取り、炎天下3日間天日干しをします。何回もひっくり返し全体が乾くよう手間をかけます。吉備老人クラブ連合会では高齢化が進み、手伝える人が少なくなっています。昨年は吉備小学校に協力をお願いしたところ、PTAの若いお母さん方8人と男子小学生が手伝ってくださいました。今までなかったことです。このような経験はなかなかできず、次へつながる活動となりうれしく思います。
刈り取ったわらは3日間干しただけでは完全ではなく、9月上旬から10月秋の好天気をみながら、太陽と風を通して仕上げ干しを行い、その後、袴(不要のわら)をそぐり、青緑色の稲わらを1セットずつ束にします。お飾りにつける稲穂、水引、松竹梅の造花、針金などをセロハンの袋に入れ、セットして12月上旬のお飾りづくり当日に備えます。このように、とても手間のかかる準備が必要であることをお話ししたり、由来や作り方をパンフレットにして参加者にお渡ししたりしています。
昨年は吉備・陵南学区から42組(総勢140名)のご家族連れが参加され、お飾りづくりに挑戦しました。
参加者の声を紹介します。
「稲わらをひねりながら綯うのが簡単そうに見えて、かなり難しく、老人クラブの方々のあざやかな手さばきに目をみはりながら大人も子どもも一生懸命作りました。
自分たちで作ったお飾りで家族の絆も深まり、より一層の心温まる新年が迎えられる。」
との感想でした。
また、吉備学区老人クラブ連合会では、吉備小学校のクラブ活動「昔遊び」のものづくり指導も行っています。例えば、竹とんぼ、竹鉄砲、竹笛、マイ箸など小刀やのこぎりも使い、本物の竹から作りあげる体験をしてもらっています。
そして新しい年を迎えて第2土曜日には、吉備小学校の「とんど祭り」が開催されます。吉備小学校PTA、地域の方々、保護者、学校が一体となって子どもたちの健全育成に一層の力を入れているこの「とんど祭り」が子どもたちの体験活動の一つになり、また地域全体の行事として有意義なものとなるよう老人クラブとしても今後も協力していきたいと思います。
退職後に老人クラブに参加して20年余りとなる。会長職は4年目。
また、公民館でのウォーキングラリー参加をきっかけに「健康市民おかやま21」の活動も開始。現在は北区中央地域推進委員会会長として地域の方を巻き込んだ健康づくり、ボランティア活動にも積極的に取り組んでいる。
「藁」と言えば、学生時代に空手道部で「巻き藁」という部位鍛錬でお世話になりました。お飾り用はお飾り用で作られているとは(驚)!子どもたちやその親御さんが、村上会長のような地域の先輩方と一緒に作って学ぶことは、まさに世代間の絆が「綯われ」ていくことと思いました。