2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)。
2030年に向けた「17の目標・169のターゲット」実現のために、おかやま地域のSDGs活動の共有を図り、さらに連携を深めることを目的とする「おかやまSDGsアワード2021表彰式&おかやまSDGsフォーラム2021」が2021年12月4日(土曜日)、岡山コンベンションセンターで開催されました。
「おかやまSDGsアワード」は、岡山という地域に根ざし、SDGsを合い言葉として、人々に活気を生み、持続的に生きるための課題解決につながることが期待される取り組みを表彰しています。活動の推進を後押しすることを通して、持続的発展のための挑戦をしていく人材が岡山に集まり、「活力あふれる地域」にしていくことを目指しています。
今回で2回目となる「おかやまSDGsアワード」には、岡山県内の企業や教育機関、介護福祉施設など60団体から応募がありました。
開会にあたり、おかやま円卓会議の松⽥正⼰座⻑から受賞団体の方々に向けて「これからもSDGs推進のためのエンジン役になってほしい」とのエール。岡⼭県知事代理の横⽥有次副知事からは、「大いに気づきをいただいた。行政としても岡山の課題に正面から取り組んでいきたい」との挨拶がありました。
松⽥正⼰座⻑
横⽥有次副知事
つづいて、⼤森雅夫岡⼭市⻑から「ここにいる人たちが中心となって社会を牽引していこう」。伊東⾹織倉敷市⻑からは「2020年7月に倉敷市もSDGs未来都市に認定されました。これからは『倉敷市・高梁川流域SDGsパートナー』とともに皆さんのあとに続きたい」との挨拶がありました。
⼤森雅夫岡⼭市⻑
伊東⾹織倉敷市⻑
表彰式ではまず「特に優良な取組」に選ばれた4団体へ松⽥正⼰座⻑より表彰状と賞金・記念品の授与が行われ、次に「優良な取組」に選ばれた10団体が表彰されました。
記念撮影の様子
各団体の受賞者は皆さん晴れやかな笑顔で、松田座長からは「皆さんの取り組みは地域の誇り。もっともっと活性化してこの輪を広げていきましょう」と感謝と激励の言葉が送られました。
⻘⽊秀樹西粟倉村⻑からはお祝いの言葉として、「西粟倉村から岡山まで2時間かけてやってきました。こういった場で皆さんに出会えたことがうれしい。これからも課題解決に向けて、元気に生きがいを持って楽しくやりましょう!」とエールが送られました。
閉会の挨拶では、岡⼭経済同友会・宮⻑雅⼈代表幹事から「SDGsは世界の共通言語。企業、団体、学校などが協力し合いながら、岡山をSDGs先進県へ高めていきましょう!」と力強い言葉をもって、表彰式は閉会しました。
⻘⽊秀樹西粟倉村⻑
宮⻑雅⼈代表幹事
「おかやまSDGsアワード2021表彰式」に引き続き、「おかやまSDGsフォーラム2021」が開催されました。
今回は「特に優良な取組」を受賞した4団体の活動事例を通じて、取組の意図や具体的な成果などが当事者の言葉で紹介されました。パネルディスカッションでは、ファシリテーターの狩野光伸おかやまSDGs研究会副会長を中心に多様な視点から意見交換が行われました。
はじめに、岡⼭県商⼯会議所連合会・松⽥久会⻑から「ESD活動の歩みでも分かるように、岡山は世界の中でもSDGsへの意識が高い地域。これからも世界をリードするという自覚を持って頑張ろう」と挨拶がありました。
「おかやまSDGsフォーラム2021」開会
松⽥久会⻑
「おかやまSDGsアワード2021」で「特に優良な取組」と評価された受賞4団体の取組発表が行われ、各団体の発表後、審査員の狩野光伸さんより授賞のポイントについて講評がありました。発表順に紹介します。
中高生への福祉教育~おかやま未来プロジェクト~
「介護離職」の増加とともに、岡山ひいては日本の労働人口がさらに減少することへの危機感から、「藤花会」では未来の介護人材の育成を目指し、中高生への福祉教育を実施。同時にワークショップ等を通じて、中高生の意見を取り入れながら活動を続けているなどの取組が具体的な事例を踏まえて発表されました。
狩野審査員のコメント
SDGsの「D」、「デベロップメント」の本当の意味とは何か?私は「お互いが活かせる力を活かし合いながら生きる」ことだと解釈しています。近年問題となっている「介護離職」は社会の損失ですが、そうした課題解決への糸口とした藤花会さんの取組に、今後さらに期待しています。
産官学で取り組む「岡山道路パトロール隊」
身近な社会インフラである「道路」の異常を発見し、報告する社会インフラメンテナンス活動を展開。高校生にとって身近なICT機器であるスマートフォンを活用し、歩道からのパトロールを実施することでこの区間の道路維持管理の一助を担っている。「産官学の3つで取り組む「ファインプレー」で事故を未然に防ぐ」という言葉が印象的でした。
狩野審査員のコメント
はじめの一歩は小さい。けれども踏み出さないと始まらない。道路パトロールという地道な作業、高校生にとってはかっこよさを見つけにくい活動だったと思いますが、「地道だけど大事な仕事」、それを見出すことの大切さを体験されたのではと思います。ぜひ、この輪をさらに広げてほしいと願っています。
マルイの食育事業
2006年より毎月19日を「マルイの食育の日」とし、食育メニューの提案や小学生を対象とした「食育月間子ども絵画コンクール」、食のイベント「フードフェスタ」や「マルコラ」の開催、「寄附付き商品」の開発やフードロスへの取組、美作大学や津山東高等学校と連携した食品開発など、「食の専門家集団・マルイ」としての多彩な活動が紹介されました。
狩野審査員のコメント
「SDGsがなぜ根付かないか?」。それは「本業になっていないから」だと私は考えます。そういった意味でマルイさんの取組は、まさに本業とリンクしています。とはいえSDGsを取り入れていくには、投資する勇気が必要だったのではと察します。「食べることなくしては、人生は成り立たない」、それを支えるマルイさんの取組にこれからも注目していきたいと思います。
国際協力機構(JICA)と連携した、アフリカ・スーダンでのSDGs活動
発展途上国では、流通の未整備により農産物の約半分近くが廃棄されており、大紀産業は、そこに自社の電気乾燥機を導入することで農業生産者の所得向上、食品ロスの低減に貢献している。アフリカ・スーダンでは電気乾燥機により乾燥タマネギを生産、社会進出が困難なイスラム農村部での女性雇用や所得の拡大につながっている事例など、自社技術を活かした取組が紹介されました。
狩野審査員のコメント
本当に素晴らしい取組。本業をSDGsの視点からさらに発展させている点に感銘を受けました。タバコの乾燥から食品の乾燥への転換。時代の変化を読み取った新しい組み合わせ。そして何よりアフリカという市場に進出するフットワークの良さ。日本の科学技術を現地で活用し、より多くの人が幸福になる。大紀産業さんの取組は日本の中小企業の規範になるのではないでしょうか。
取組発表に続いて、受賞団体の代表者とファシリテーターの狩野光伸おかやまSDGs研究会副会長、岩田裕久おかやまSDGs研究会副会長によるパネルディスカッションが行われました。
各団体の代表者の話を聞き終えて、おかやまSDGs研究会副会長・岩田裕久さんから「一見、SDGsは難しいと思われがちですが、いやいや身近なんですと私たちも常に発信し続けています。皆さんの活動をお聞きして、身近なところから、できることから、実践することの大切さを改めて実感しました。2030年まで残された時間は本当に少ない。岡山から世界を変える意気込みを持ってこれからも共に取り組んでいきましょう」とエールが送られました。
最後に、おかやま経済同友会・梶⾕俊介代表幹事が参加者や関係者に謝辞を述べ、「皆さんは日々の仕事や業務の中で、SDGsを実践し、ここに至っている。まさに素晴らしい活動です。そして、こうした情報交換の場がレベルアップにつながり、多様な人達が世代を超えて一緒に考える機会になっているのを実感しました。私自身、コロナ禍を通じて、身近な自分達の暮らしを見つめ直す、グローバルの前にローカルなSDGsが大事と感じました。そして『誰1人取り残さない』とは『自らが1歩を踏み出すこと』だと私は思っています。ここに集った全員が推進役となって、持続可能なより良い地域を作っていきましょう」と力強い言葉で締めくくりました。
梶⾕俊介代表幹事