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#100「住み続けられるまちづくりをめざして 水島の公害と未来 ~みずしま財団~」

[2022年7月28日]

ID:41235

団体概要

公益財団法人水島地域環境再生財団(通称みずしま財団)は、2000年3月、大気汚染公害について争われた倉敷公害訴訟の解決金の一部を基金に、環境再生・まちづくりを目的に設立された公益法人です。設立趣意書に「住民を中心に、企業、行政、団体、専門家等のパートナーシップの拠点になります」とあり、当初から市民参加のまちづくりを模索してきました。
市民参加のまちづくりには主体性が大事です。その主体性を育てるために、「自分で調べる」ことを体験することが重要と考え、川や海での参加型調査を実施しています。さらに、人と自然をつなぐことのできる“インタープリター(自然解説員)”を育てたいと養成講座を企画し、高梁川流域交流や生物多様性の学び合いを通じて人材育成に力をいれてきました。地域ESD活動推進拠点に登録、講師派遣や研修受入で、若い方の学びを支えています。

水島の取り組みは、「持続可能な地域づくりを推進する学びの共同体構築支援事業」として、(公財)ユネスコ・アジア文化センターが作成した、「共に学び、地域をつくる ~実践者が描く協働の姿」(2022年6月発行)、「学びと協働による持続可能な地域づくり」(同)に、日本の3事例のうちの一つとして掲載されています。

インタープリター養成講座の様子

インタープリター養成講座

高校生と生物多様性をつなぐプロジェクトの写真

高校生と生物多様性をつなぐプロジェクト

みずしま財団の取り組み

現在、環境学習の語り部の方が高齢となり、参加が難しくなってきました。一方で「SDGs(持続可能な開発目標)を学ばせたい」と、教育旅行担当者や地元小学校からの問い合わせが増えています。水島来訪者は「なぜ公害が起きたのか?」「どうやって減らしたのか?」「これからのまちをどうしたいのか?」を考える学びができます。さらに「自分は自分のまちに何ができるだろう?」と振り返る機会となります。
みずしま財団は環境省の協働事業をきっかけに、2013年に「環境学習を通じた人材育成・まちづくりを考える協議会」を大学・教育研究機関、企業、倉敷市環境部局、住民団体、NPO等に呼びかけて発足、対話を重ね、広く環境学習をとらえて展開してきました。
さらに2018年には倉敷市企画部局や地元経済界との連携を強化し、「みずしま滞在型環境学習コンソーシアム」へと発展。2021年度には企業の皆様と市民との交流を活発にしたいと、企業の方向けにCSR・SDGs活動に関する実践アンケートを行いました。
これらの取り組みを「おかやまSDGsアワード2021」(主催:おかやま円卓会議・おかやま地域発展協議体)に応募、「持続可能な地域づくりを担う若者の学びを支える仕組みづくり」として活動報告したところ高い評価を頂き、「優良な取組」の一つに選ばれました。

視察研修の様子

間近に感じる水島港/視察研修の様子

表彰式の様子

おかやまSDGsアワード表彰式の様子

取り組みへの想い

私は古地図を見るのが好きです。「昔はどうだった?」かを知るのは面白いことです。実は「面白い」だけでなく、過去を学ぶことは未来を考えるヒントがあります。50年前に公害病に苦しむ患者さん達が互いに病気や対処法を学び合っていたことを私は資料で知りました。SDGsの基本理念「誰一人取り残さない」を体現していたと感じます。みずしま財団が取り組む地域の健康づくりや呼吸リハビリ講座に、その想いが引き継がれています。
みずしま財団では、昨年から「みずしま地域カフェ」と題し、地域の方にお話を聞き、皆で共有する取り組みを始めました。地域の歴史をもう一度解きほぐして“地域の物語”として編み直すものです。冊子『水島メモリーズ』にまとめ、無料で配布しています。興味のある方は、お問い合わせください。

冊子『水島メモリーズ』の写真

冊子『水島メモリーズ』(無料配布)

教材「水島の公害と未来」の写真

教材「水島の公害と未来」

関連リンク

公益財団法人 水島地域環境再生財団 事務局長・研究員 藤原園子さん

藤原園子さんの写真

京都府立大学大学院生活科学研究科住環境科学専攻修了。修士(生活科学)都市計画・地域計画学研究室で学んだ後、1999年、財団設立準備会に就職。講座の企画運営や参加型調査などをコーディネートしてきた。近年は環境保健分野を担当し、医師会や保健所、理学療法士等専門家と協力して、呼吸リハビリテーションを公民館などの地域で実践する「くらしきCOPDネットワーク」の事務局をしている。

次の筆者さんからのメッセージ!

【山陽新聞社 論説主幹 岡山一郎さん】

みずしま財団は、さまざまな環境問題に関して地道に活動を重ねてこられた。海ごみ調査などで問題を掘り起こして提起するなど、地域に欠かせない存在でもあります。財団の原点である水島の公害問題を若い人に伝えるための活動にも期待しています。

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