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学会発表への参加と学び(廃棄物資源循環学会)

[2023年3月2日]

ID:47821

「ユース活動支援助成金」事業報告(岡山大学 環境理工学部 高川晴名)

参加の目的

 学会とは、ある分野の研究者や専門家が集まって、自身の研究についての発表や、意見交換を行う場です。

 今回私は、大学の先生からの勧めで、2022年9月20日~22日に宮崎県で開催された「第33回廃棄物資源循環学会」に参加しました。目的は、ほかの参加者の発表を聴いて見聞を深めること、そして自分も発表を行い、意見交換を通じて研究の質を高めていくこととしました。参加にあたり、令和4年度ユース活動支援助成金を活用しました。

研究内容「エシカル消費」について

 皆さんは「エシカル消費」をご存じでしょうか。

 エシカル消費とは、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動のことです(消費者庁HPより)。例を挙げると、エコマークの付いた商品を選んで購入することも、エシカル消費に当たります。このような消費行動は、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の達成に繋がります。

 私は、エシカル消費行動の要因構造を分析し、そのデータに基づいて啓発を行うことで、エシカル消費を普及させることを目標に研究を行っています。単純に言うと、エシカル消費を行う人はどんな人が多いのか(年齢、世帯の人数、考え方など)を分析し、たとえば「世帯人数が多い人は、エシカル消費を行う確率が高い」とわかったら、下図のように考えて啓発をしていきます。

「世帯人数が多い人は、エシカル消費を行う確率が高い」に対する図の説明

 持続可能な社会を目指す昨今の情勢の中で、エシカル消費の普及は重要な課題であると私は考えています。皆さんにも、少しでも興味を持っていただけたら、とても嬉しく思います。

ほかの参加者の発表や基調講演を聴いて

 ほかの参加者の発表を聴き、とても勉強になったとともに、どの発表からも良い刺激を受けました。中でも印象的なのは、私が携わっている研究と同様に、「アンケート結果を活用して、ある行動の変容を目指す研究」をされている方の発表です。自分の研究との相違点や優れている点から、新しい課題を見つけることができました。例えば、研究の過程で、アンケートの回答に基づいて行動モデルを作成する段階があるのですが、そこで基盤とするモデルとして何を使用するかについて、新しい視点を得ることができました。

 また、学会のプログラムに基調講演があり、そちらも聴講しました。「旨い焼酎を飲み続けられる持続可能な社会 ~地域特性に応じた循環経済への移行~」というテーマで、お酒の歴史など面白い話も交えた講演で、楽しく聴くことができました。後半には、酒造メーカーをはじめとした様々な企業の方からSDGs達成に向けた先進的な取り組みについての話を聴く機会もあり、興味深かったです。

 全体を通して、環境保護に対する関心や意欲をとても掻き立てられ、今後の研究の大きなモチベーションとなりました。

発表を行っての学び

 私の発表は「ポスター発表」という形式でした。研究内容をまとめたポスターの前に立ち、訪れた方に説明や質疑応答をしました。

 多くのご質問やご意見をいただき議論する中で、自分自身の理解も深まったり、新たな課題が見つかったりと、大変勉強になりました。最も印象的なのは、過去に同様の研究をされていた方からご意見をいただけたことです。具体的な内容を挙げると、私の研究で行ったアンケートの質問項目はその人の考え方を尋ねるものが多かったのですが、属性やステータスについても、もう少し掘り下げるとよいのではないかという意見です。特に、環境配慮行動についてはその人の「所得」や「経済的余裕」が大きく関わるため、重要な要素であるということを教わりました。今後のアンケート調査や、行動変容のためのアプローチを考える際に、是非取り入れていこうと思いました。

 今後は、今回学んだ視点を取り入れた要因構造分析の継続、そしてその上でアプリ等の啓発ツールの作成・改良を行っていきます。最終的には実践事業に挑み、岡山あるいはより広範囲でエシカル消費を普及させ、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の達成に貢献することを目指します。

ベイジアンネットワークによるエシカル消費モデルの構築についてのポスター

学生の方や研究に興味のある方へ

 最後に、学生の方や、研究に興味のある方へ向けて、学会発表への参加をお勧めしたい旨を記して締めたいと思います。私は学会で、レベルの高い研究発表に触れたり、志が高い学生の方と交流したりして、とてもいい刺激を受けることができました。また、知識が豊富なだけでなく、お互いに高め合おうというあたたかい姿勢で臨んでいる参加者が多かったように感じ、素晴らしい会だなと思いました。

 皆さんの学業や研究生活を豊かにするための選択肢の一つとして、学会参加を加えてみてはいかがでしょうか。