令和4年度ユース活動支援助成金を活用して学びを深めた、ノートルダム清心女子大学の学生3名をゲストに迎えてお話しいただきました。
ユース活動支援助成金は、岡山地域において持続可能な社会の実現に向けて活動するユース(18歳から35歳の若者)を対象に、国内外におけるESD推進・SDGs達成に向けた先進事例の調査や研修に参加する際の経費を助成し、ユースの主体的な学びを支援する事業です。ユースが調査・研修等を通して更なる研鑽を積み、所属団体の活動の進展や地域におけるESD推進・SDGs達成に向けたアクションを促進することを目的としています。
ノートルダム清心女子大学は、1949年に岡山県下初の4年制女子大学として創立された、歴史ある大学です。現在は2学部6学科あり、今回のゲストは全員、文学部英語英文学科に所属しています。
SDGsの達成に向けて積極的に取り組む日本の大学が連携できる「国連大学SDG大学連携プラットフォーム」の29大学(2020年設立当初)のうちの一つになったり、大学生・大学院生・若手社会人が国際問題について語り合う「国連大学グローバルセミナー」へ参加したりと、SDGsの取組も盛んです。
続いて、それぞれのお話へうつります。
鳴滝さんは、環境人文学を学ぶゼミの有志で「地球憲章 入門コース (Earth Charter Introductory Course)」というオンラインの学習コースを英語で受講しました。
地球憲章は、持続可能な未来のための価値や原則を明らかにしたもので、1.生命共同体への敬意と配慮、2.生態系の保全、3.公正な社会と経済、4.民主主義、非暴力と平和という4つの基本原則と、さらに細分化した16項目の原則で成り立っています。環境問題など人類の喫緊の課題についての理解を助ける教育的な役割も果たす点で、ESDと深いつながりがあります。
これまで鳴滝さんは、国際問題を解決するためには、文系・理系、行政・教育機関、国境などの様々な壁を越えて知識や活動を共有し、協力することが必要不可欠だと学んできました。そのためには、地球上のすべての生物が一つのコミュニティに属しているという「地球共同体」という認識が重要だと考え、地球憲章への理解を深め、周囲に共有したいという想いが強くなっていったそうです。
受講して、意識の変容の必要性、変化を起こすための対話の重要性に気づいたとのこと。
今後は、周囲の人々に地球憲章を知ってもらうためのミニレクチャーを行いたいと考えています。中高生・大学生だけでなく、仕事をとおした行動・意識変革の必要がある大人にも広く知ってもらいたいそうです。また、プラスチックごみ削減のため、大学へ給水機の設置やプラスチック素材の傘袋の廃止を提案していきたいとのことでした。
鳴滝さん、庄司さん、佐々木さんを含むノートルダム清心女子大学の学生8名は、2022年11月23日から26日の4日間、神戸市外国語大学主催の神戸模擬国連世界大会(National Model United Nations / NMUN)に参加しました。
模擬国連とは、国連と国際問題についての理解を促進するために、実際の国連の活動を模擬する取り組みです。学生が各国の大使になりきって、議題について英語で他国と議論・交渉を重ね、国際決議という合意を形成します。模擬国連には、世界大会のほか日本大学英語模擬国連大会・岡山模擬国連など、様々な規模での取り組みがあります。
今回の世界大会は、世界11カ国から42大学・団体が集まり、約300人の学生が4つの議場に分かれて議論を行いました。ノートルダム清心女子大学の学生は、デンマークとコロンビアの大使として、3つの議場に参加しました。
世界大会に参加して、英語力以上に、国際問題に対する知識や多角的視野、積極性、交渉力、協働力などが必要だと感じたそうです。また、各国参加者のレベルの高さを目の当たりにして自分たちとの差を痛感したとのことですが、同時にこれは、今後のモチベーションを高めるきっかけとなりました。
来年度行われるドイツでの世界大会、神戸での日本大学英語模擬国連大会へも参加予定で、神戸では、大使として参加するだけでなく議長を務めるメンバーもいるそうです。
このようにSDGs・ESDを学ぶことで視野を広げ、将来、社会に貢献できるような人になりたいとのことでした。
参加者は、普段なかなか聞く機会のない学生たちの話に興味津々な様子で、「これまでの自分がいかに狭い視野でSDGsやESDを考えていたか気づいた」「大学内での活動だけでなく、地域や社会に広めてほしい」など、多くの感想や意見が出ました。また、地球憲章や模擬国連といった世界的な活動から学んだことを大学や地域での活動に活かす(グローバルな視点とローカルな視点の両方をもつ)ことの素晴らしさについてもコメントがありました。