私たちは令和4年度ユース活動支援助成金に採択され、2022年10月8、9日に、東京都文京区教育センターの中にある中高生向けの施設「b-lab」の視察に赴きました。
b-labは、2015年4月に文京区が開設し、認定NPO法人カタリバが運営をする中高生向けの施設であり、利用する中高生がいつでも、なんでも挑戦できる秘密基地というコンセプトで活動をしています。今後私たちが運営していく奉還町ユースセンターの先進事例として視察、取材し、今後の運営のための参考にすることを目的に訪問しました。
認定NPO法人カタリバの山本晃史さん(下写真中央)にお話を伺いました。運営サイドとしては、コンセプトでもある中高生がいつでも、なんでも挑戦できる環境を整えるための努力をしているとのことでした。利用者は、取材時点で区内の中高生約8000人が利用登録をしており、アクティブメンバーは1週間に数十人から100人程度だということです。その利用者に対してスタッフは朝、夜のシフトでそれぞれ3、4人体制で対応しているとのことです。
スタッフは、館内で利用者の中高生と交流しながら、中高生のやりたいことをできるだけ拾い、スタッフ間で連携をとりながら対応しているようで、b-lab内で活動するサークルや毎月変わる館内装飾、年3回の「b-labフェス」というバンドやダンスの発表会を行う全体会を行っているとのことでした。
b-labは文京区教育センターの中にあり、正式名称を「文京区青少年プラザ」と言います。内装は下のイメージ図(b-lab公式HP参照)の通りで、1人で黙々と勉強や作業に集中できるスペースから複数人が集まって話し合いや勉強会ができるフリーデスク、小上がりになっていて靴を脱いでリラックスできる畳の島、音楽活動のための練習スペースに、集会やダンス、演劇の練習ができるホールなどがあります。訪問時には20人から30人の中高生が利用しており、各々個人・グループに分かれて活動をしていました。
また、場内の至る所に生徒が作成した展示物(下写真左)や定期的に開催するイベントの案内(下写真右)が掲示してあり、b-lab全体が活発に活動しているということが分かりました。
b-labの運営の中で私たちの奉還町ユースセンターの運営に生かせそうなことが大きく三つあります。
まず一つ目は、館内への入退室に関してです。b-labでは、入退室を個人個人のQRコードが付いたカードと機械で管理しており、利用者と利用時間がデータで管理できるようになっています。これにより、簡単に入退室の管理ができるだけでなく、どんな中高生が多く利用しているのかや、どの時間帯に利用者が増えるのかなど、運営方針を決めていくうえで重要となるデータを収集することができるそうです。
二つ目は、利用の際の保護者同意はほぼ不要という点です。ほぼというのは、b-lab内にあるスタジオとホールを利用するのに必要というだけで、その他のスペースはカードを作るために必要な情報を登録するだけで利用が可能で、家でも学校でもない第3の居場所という立ち位置のためには必要な条件だと考えます。
三つ目は、利用者と運営スタッフの関係性についてです。b-labでは、館内と館外で利用者との関係性を完全に切り離しており、b-labの外ではSNSやLINEなどのアプリを含めて一切関わらないようにしているとのことです。理由は、利用者と運営スタッフとの個人的なやり取りから発生するトラブルなど、外からトラブルを持ち込まないようにするためと、個人的なやり取りをすることによって発生する可能性のある利用者に対しての待遇の不平等を防ぐためということでした。
私たちが今後運営していく奉還町ユースセンター(所在:岡山市北区奉還町3丁目「地域交流ステーションverde」内)は、昨年2022年12月17日にオープニングイベントを開催し、中高生を迎え入れる準備を進めています。この数か月で近隣の中高生の登録や迎え入れの準備として大学生スタッフでの会議を重ねています。奉還町ユースセンターでは、中高生の第3の居場所として活動をしていくために必要なことの多くをb-labから踏襲しています。会員の登録や入退出の管理、館内・スタッフのルールなど、多くをb-labの運営に基づいて策定しています。もちろん全く同じというわけでもなく、今後は独自のコンテンツなどを充実させていく予定です。
しかし、そこで問題になってくるのが資金面です。b-labでは、文京区の運営方針のもと運営をしているということもあり、区からの予算が年間予算として出ており、大きな額の予算を用いたイベントの企画や運営を行うことができます。文京区から運営を委託されているb-labと民設民営の奉還町ユースセンターの大きな違いでもあるのですが、私たちには潤沢な資金もなく、充実させていくことが難しい現状にあります。そこが今後私たちが運営していく中での大きな課題となります。
今後も私たちは、奉還町ユースセンターで近隣の中高生が安心して利用することのできる第3の居場所としての地位を確立し、さらにその活動を岡山全体にひろげることで、岡山地域全体の活性化につなげることを目標に活動をしていきます。HPやInstagramのアカウントもありますのでのぞいてみてください。活動について興味を持ってくださった方は、ぜひ一度、奉還町ユースセンターにお越しください。スタッフ一同お待ちしております。