岡山地域のSDGs活動の共有を図り、更に連携を深めることを目的とする「おかやまSDGsフォーラム2024」が2024年12月22日(日曜日)に岡山コンベンションセンターで開催されました。
岡山という地域に根ざし、SDGsを合言葉として、人々に活気を生み、持続的に生きるための課題解決につながることが期待される取組を表彰する「おかやまSDGsアワード」。最終回となる今回は、岡山県内の企業や教育機関など26団体からの応募がありました。
表彰式は主催のおかやま円卓会議の松⽥正⼰座⻑による「岡山県をSDGs推進県として盛り上げていく契機になればよい」との開会挨拶から始まりました。
続いて、⼤森雅夫岡⼭市⻑から「本アワードは今回で終了するが、この後もSDGs達成に向けた取組をけん引して機運を広めてほしい」、上坊勝則岡山県副知事からは「海ごみや規格外フルーツの活用など、県でも行っているSDGsの取組を協働で進めていきたい」、那須保友岡山大学学長からは「岡山大学は2050年に向けたビジョンで進めている。アワードは終わるが、岡山の人と一緒に未来を考えていきたい」との挨拶がありました。
表彰式では「特に優良な取組」に選ばれた5団体と「優良な取組」に選ばれた6団体、5年連続でアワードに申請した団体に贈られる「特別賞」に選ばれた1団体が表彰され、受賞団体から活動のポイントや今後の展望、関係団体への感謝などが述べられました。
伊藤敦哉真庭市副市長から「受賞された方がつながって活動がより広く大きく発展することを願っている」、岡山県商工会議所連合会松田久会長から「自分たちの活動をこれからも他に伝導して欲しい」、岡山経済同友会梶谷俊介代表幹事から「小さなパートナーシップから地域に、そして世界に広がっていく取組になってほしい」とのお祝いの言葉が送られました。
閉会の挨拶では、おかやまSDGs研究会藤木茂彦会長より、「県内でのSDGs普及には一定の成果を感じたので今回でおかやまSDGsアワードは終了するが、来年からはSDGsフェアの場で活動を発表、共有、交流していきたい」と今後へつなげる言葉で閉会しました。
休憩と過去4年間の受賞団体計40団体の取組の動画を挟んで、今年度「特に優良な取組」に選ばれた5団体からの取組発表が行われました。
テーマ:「ほたる飛び交う宮川づくり」プロジェクト
2005年から続けている宮川の清掃活動から、年々ほたるが減っていることに気付きプロジェクトが始まりました。
水質や生態系の調査により、水温の高さが生態系に影響していることや外来種の増加による餌不足がほたる減少の原因だとわかりました。餌となるカワニナの放流や、地域や小学校への啓発活動を行い、今年の6月は宮川でほたるが観察できました。
実際に川の中に入るからこそ視野が拡がり、また、活動を通じた地域の人との交流によって地域への愛着が深まりました。
テーマ:SDGsアニメ「Ritta(リッタ)」―子育て応援プロジェクト―
Rittaというキャラクターの日常からSDGsを伝えるアニメーションを2023年4月からYouTubeで週に1回配信しています。思いやり(利他の心)を持って育ってほしいと願いを込めて、「ものをたいせつに」、「のこさずたべよう」といった内容にしています。
県外に住む親子から「まだSDGsについてわからないが、思いやる心が育ってほしい」との手紙が届くなど、直接会えない人からの声も届いて励みになっています。
また、子育て中の女性社員がワークライフバランスを図りながらキャリア形成する仕組みも整えています。
テーマ:地域探究活動「セトリー(Be a SETOUCHI Leader!)」で瀬戸内市の課題解決と魅力発信
2016年から邑久高校で取り組む地域探究活動「セトリー」の運営指導委員会には、瀬戸内市役所や教育関係者、地元企業、地域住民など地域内外の多様な人が関わっています。観光振興やハンセン病の研修・啓発、生態系の保護など、8年間で58テーマに取り組みました。
市職員への地域課題の聞き取りをもとに作成したSDGsカードゲームを使って市内の小学校で高校生が行う出前講座は、課題解決に向けてどんなことができるかを考えるきっかけになっています。
探究活動を通して地域の魅力を知ったことで、地元での就職につながるなど地域の担い手として育っている様子がみられました。
テーマ:人にやさしく!「こども商店街」
ありがとうファームは、障害や難病のあるメンバーとマネージャーが「知ることは、障害をなくす。」をスローガンに表町商店街で活動しています。2021年から毎年開催している「こども商店街」は、NPO法人チャリティーサンタとの出会いがきっかけで貧困家庭の現状、遊びや体験の大切さを知り、自分たちの仕事を通じた社会貢献をしようと取り組み始めました。
パートナー企業や地元の高校、大学などと連携して4年間で延べ200世帯、約600名が参加し、普段なかなかイベントに連れて行けない子ども達の楽しそうな笑顔がみられたと参加した親からの喜びの声がたくさんあがりました。
テーマ:地域総働型ESD・SDGs推進プロジェクト
京山地区では公民館を核に、学校教育と社会教育、社会コミュニティが一体となってSDGsに取り組んでいます。高校生が地域のお年寄りにスマートフォンの使い方を教えながら雑談をして社会的孤立を防ぐ取組や、防災に関する脱出ゲームやスタンプラリーなど、楽しく地域の人と学び合う機会をつくっています。
他にも地域や小中学校を巻き込んだ自転車マナー向上を図る運動を行うなど「1人の100歩より100人の1歩」を合言葉に世代や立場を超えて地域と協力しながらSDGsを推進しています。
HI合同会社代表の平原依文さんによる「境界線が溶けた世界を目指して」と題した講演では、自身の家族構成や子どもの頃の中国やカナダなどでの経験を基に、人々が尊重し合える社会をつくるうえで大切にしたいことについてお話をされました。
母親の再婚が事実婚だったことやそれが原因で辛い経験をしたこと、中国での歴史の授業などから「同じ家族でもなぜ血がつながっていないと特別になるのだろう?同じ人間なのになぜ偏見が生まれるのだろう?同じ歴史でもなぜ国によって違う物語になるのだろう?」と考えるようになりました。その嫌だと感じた世界を変えるために人種や職業、肌の色、障害などの境界線を溶かして、お互いに尊重し合える社会を目指して活動をされているそうです。
「学生だから、もう若くないから、といったことは関係なく自分の心に火が灯っているのであればなし遂げられる」とのメッセージで締めくくられました。
続いて「次世代(みらい)へのメッセージ、岡山だから出来るとおもったこと」をテーマにパネルディスカッションが行われました。ファシリテーターの岡山大学副理事/副学長の狩野光伸さんによる「次世代が自分ごととして主役になるためにはどうすればよいか」との問いかけに、パネラーからは、「やってみようと動き出した人を応援できる仕組みが必要」「気候変動、生物多様性などの課題に対してみんなが主役になれるのは『教育』。教育を通して社会が変わる前に大人も含めて生涯学び、自分自身が変わっていくことが大切」などの回答がありました。
交流会では参加者が車座になり、隣の人とペアになって10分ほど自己紹介を行った後、全員にペアの人を紹介する他己紹介を行いました。その後は参加者同士で、若い世代に今やってほしいことや次世代に向けてやりたいと思っていることなど、意見交換を行いました。
最後はおかやまSDGs研究会藤木茂彦会長の「おかやまSDGsアワードは終了するが、岡山での取組は今後も続いていく。来年の夏はSDGsフェアでみなさんとお会いできるのを楽しみにしています」との挨拶によって締めくくられました。
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