ページの先頭です

共通メニューなどをスキップして本文へ

ユースワークの核 -LGBTユースに関わる活動を切り口に-

[2026年1月9日]

ID:77934

「ユース活動支援助成金」事業報告(一般社団法人にじーず スタッフ 野﨑晴貴)

令和7年度ESDユース活動支援助成金を活用して、2025年10月25日~26日に国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された「ユースワークキャンプ2025 日本におけるユースワークの共通性と多様性~ユースワークのコアを探る~」に参加しました。全国各地から100名を超えるユースワークの実践者らが集いました。

オープニングセッションでは、「ヨーロッパのユースワークの今とこれから」、「日本のユースワークの今とこれから」として、ルーマニアの労働・家族・若者・社会連帯省のミハイ・セベさん、一般社団法人ソーシャルペタゴジーネット代表理事の松田孝さんからお話を伺いました。その後は分科会に分かれ、計8つ開かれた分科会のうち、「ユースクリニックとユースワーク」「ユースワークと多様性の包摂」に参加しました。 

本稿では、ユースワークキャンプで得られた知見を整理し、そのうえで一般社団法人にじーずが行っているLGBT(かもしれない人を含む)ユースの居場所づくり等について考えたことを紹介します。

会議の様子
集合写真

▶ユースワークキャンプ(https://note.com/youthworkcamp別ウィンドウで開く
「1年に一度、全国からユースワークという言葉でつながれる実践者が集い、対話する・交流する・つながる場をつくりたい」との想いから実行委員会を中心に2023年から始まったイベントです。3年間で延べ398名の参加がありました。

▶一般社団法人にじーず(https://24zzz-lgbt.com/別ウィンドウで開く
にじーずは、LGBTやそうかもしれない10代~23歳までのユースのための居場所づくりを行う団体です。「ここにいていい、と思える場所」を当たり前にするために、2016年から全国各地で活動を展開してきました。現在は全国17地域およびメタバース空間で年間120回ほど居場所を開催し、これまでに延べ5000人以上が参加しています。

ユースワークとESD

ユースワークとは、地域コミュニティで子ども・若者の育ちを支える活動です。教育や福祉とも異なるとされるユースワークは、明確な定義は存在していないものの、ミハイ氏のお話では、今後の豊かな社会づくりに必要不可欠な観点であることが紹介されました。ミハイ氏がユースワークによってもたらされるものとして挙げた「次世代への責任」「若い市民社会の強化」「社会課題への効果的な対処」は、ESDに通じる内容であると感じました。一方で、松田氏が話された内容は、学校教育からは離れたもの、ないし社会的スキルの獲得といった成長・訓練の側面を重視しない、あくまで若者たちの自由な余暇を支援する立場としてのユースワークの側面であり、二者の話は矛盾するようにも思われました。

この点について、二日間の中で参加者と意見を交わしてみました。100名以上の参加者は、学校から離れたものとしてユースワークに取り組んでいる方が多く、フォーマルな教育とインフォーマルな教育(学習だけに限らない)を二項対立的に捉えているように思われることもありました。

にじーずの取組としては、居場所への参加につなげるという意味だけではなく、ユースが自分らしく、自身の持つ力を発揮しながら地域で暮らしていくという点で、学校・教育関係者等との連携は欠かせません。当事者が安心して居場所につながるための情報共有や、当事者であることをカミングアウトしなくても(そもそもLGBT当事者であるか否かにかかわらず)安心して学校生活を過ごせる日常的な環境づくりなど、対話の中から気づきを得て、積み上げていくことができるように働きかけていくことが必要であると考えています。

ユースのWell-beingを、ユース自身、そしてあらゆる関係者と対話しながら共につくっていくという観点で「ユースワーク」の実践を続けていきたいです。

ユースワークの成果と今後

近年、全国的にユースセンターの設置が進められています。今回のユースワークキャンプには、北海道や岩手、関東、兵庫など様々な地域でユースセンターの運営(公設民営、民設民営など運営形態はさまざま)に関わる20~30代が多く集まりました。

参加者との意見交換などを通じて、特定のテーマは設けないユニバーサルなユースの居場所を運営するユースセンターでは、中高生などと時間をかけて、悩みながらもじっくり向き合い、共に考えていくなかでユースが自身で選択した一歩を踏み出していく様子が浮かんできました。こうした積み重ねは、ミハイ氏の言う「今後の豊かな社会づくり」に不可欠ですし、そこに寄り添うユースワーカーの価値の認識にもつながりました。

設置が進むユースセンターのあり方をめぐっては、より多くの市町に設置されることを望む意見と、ユースワーカーのような資質を持つ人を地域にたくさんつくっていきたいという意見がありました。ユースにとっては場(施設)があるとアクセスしやすく効果的かもしれません。一方で、今後は公民館のような公共施設の活用や、中高生がよく利用する公園の近くの店舗など、「まちぐるみ」の取組が進むような仕掛けを進めていくことも興味深いものと考えました。

にじーずは、「自分を隠さなくてもいい。話しても話さなくても、遊んでもゆっくり過ごしてもいい。相談しても否定せずに一緒に考えてくれる誰かがいる。」そんな居場所であることを大切にしています。テーマとしては「LGBT」とはっきりしていますが、先述の「悩みながらもじっくり向き合い、共に考えていくなかでユースが自身で選択した一歩を踏み出していく様子」はまったく同じであると感じました。「ここにいていいんだ」から始まり、さまざまな関わりを通じてエンパワメントされ、自分自身を培っていく。その経験の近くにいることを今後も続けていきたいです。

また、にじーずも居場所を各地に増やしている団体ですが、一方で各地域においてユースと関わる大人に向けたイベントも開催しています。居場所が増えたらそれで良いわけではなく、地域の中に「ここにいていいんだ」「一緒に考えてくれる誰かがいる」が増えることに大きな価値があると考えています。

ユースワークキャンプに参加して

ユースワークキャンプには、さまざまな形でユースと関わっている方が集まりました。にじーずの活動はLGBTに特化しているものですが、視野を広げ、ユースワークという観点から普段の活動を掘り下げて考える機会になりました。その結果、ユースとの関わりや、関わりを通じて目指していること、多様な人や社会資源とのつながりの大切さについてより深く理解することができました。

今回のユースワークキャンプの主題は「ユースワークのコアを探る」でした。二日間で伺ったお話や参加者同士の意見交換を経て、私自身は以下のように考えました。

  • 困難の解消といったマイナスをゼロにする意味でも、それぞれの個性や経験を伸ばすといったゼロを1にする意味でも、ユースと向き合い、エンパワメントすること。
  • どのような状況にあるユースも、「私はここにいる(社会に存在していること)」を何らかの形で発することができるような関わりであること。
  • 「ユースワーク」の明確な定義は存在していないと聞きました。コアとして考えた上記の2点も、今後活動を深める中でさらに磨きがかかっていくものだと思っています。磨きがかかることを自分自身にも期待しつつ、今後の取組も進めていきたいと思っています。

お問い合わせ

市民協働局市民協働部SDGs・ESD推進課

所在地: 〒700-8544 岡山市北区大供一丁目1番1号 [所在地の地図]

電話: 086-803-1351 ファクス: 086-803-1777

お問い合わせフォーム