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平成30年9月11日市長記者会見議題
- 平成30年7月豪雨災害に係る9月補正予算(案)について
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平成30年9月11日市長記者会見資料
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市長記者会見動画
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平成30年7月豪雨災害に係る9月補正予算(案)について
皆さんおはようございます。
本日は、平成30年7月豪雨災害に係る9月の補正予算についてご説明を申し上げます。
平成30年7月豪雨災害への対応につきましては、発災直後から市民の皆様の生命と安全を守ることを最優先に、市を挙げて救助や応急復旧のための諸活動を行ってまいりました。そして、現場対応が円滑かつ迅速に実施できるよう、それらに要する経費については、緊急的な対応として、既存予算や予備費により手当てをしたところでございます。
発災から2カ月が経過し、応急対応期から復旧期へとフェーズが移行する中で、豪雨災害の全容把握が進んできたことや、国の支援措置も踏まえて緊急対応として執行した既存予算の回復とあわせ、十全を期して災害対応予算を編成いたしました。
予算の編成の内容の説明に入る前に、改めてこの場をお借りし、平成に入ってから最も大きな自然災害において被災された皆様にお見舞いを申し上げます。あわせて、ボランティア活動を初め、義援金やふるさと納税サイトを通じた寄附などによるご支援、ご協力をいただいた多くの方々、また職員派遣や見舞金など多大なご支援をいただいた関係自治 体に対しまして、深く感謝の意を表する次第でございます。
それでは、補正予算の概要について、資料に沿って説明をいたします。
資料の1ページをごらんください。
補正額は、一般会計で91億1,700万円余で、これは、補正予算の規模としては、政令市に移行した平成21年度以降で最も大きな額になります。補正に要する一般財源25億7,000万円余については、当面、財政調整基金を取り崩して対応いたしますが、このうちの一部には、今後、特別交付税など国の財政支援措置が見込まれることから、国への働きかけなども行い、市の財政運営に支障がないよう対応してまいります。
歳出予算の主なものといたしましては、被災者の生活再建支援のための諸施策に38億5,000万円余、公共施設の復旧や災害への備えに52億6,000万円余を充てることとしております。
2ページ以降に主な事業を記載しておりますが、私からは主なものに限定してお話を申し上げたいと思います。
資料の5ページをごらんください。
一番下の項目ですが、防災対策の強化として8,000万円余を計上しています。これには大きく2つの事業があります。
まず1つ目は、この災害で大きな被害が発生した笹ケ瀬川西側の地域において、浸水対策事業を前倒しするものです。
パネルを用意しましたのでご覧ください。
これが笹ケ瀬川ですね。この西部、西側の地域、ここにブルーで塗っているのが浸水の被害箇所であります。今保、平野、久米、白石、花尻、庭瀬、川入、こういったところが今回の大きな内水氾濫の被災箇所であるわけです。このたびの豪雨では、この地域、浸水家屋が約2,800戸、床上浸水が227戸という、大規模な内水氾濫による浸水被害が発生しております。したがって、この地域での内水対策が急務となっているところであります。
これ、当初の予定ですが、本年度、浸水シミュレーションによる効果的な計画を策定するということにしておりました。当該地域に雨が降ったときに、どのように対応をするのが最もいいのか、したがって施設の規模とか位置を、今年度中にこれを定めることになっていたわけであります。これを、施設の規模、位置をもう年明けぐらいには決めていきます。そして、具体的に設計に入っていきます。この設計の予算を今回、9月の補正で要求をしている、これが2,700万円であります。そして、来年度は都市計画決定を行います。また、必要な用地手続、用地の買収等にも入っていきます。そういうことを経て、平成32年度には詳細設計を行い、平成33年度、平成34年度で工事を行って、平成34年度のポンプ場の完成を目指すということにしております。
実は、6月議会までで、もう我々としては、効率的な計画を策定するんだということは述べておりました。内々には、我々の計画としては、平成36年度にこのポンプ施設の完成を考えていたわけであります。これを2年早めたいと、今回の大きな浸水被害に鑑みて、一刻も早く整備をしなければならないという気持ちで、2年早めてさせていただくというのが今回の趣旨であります。
次に、資料の12ページをごらんください。
2つ目のポイントですが、現在、各区役所に1台ずつ配備しているポンプユニットを追加配備し、各区役所2台ずつの計8台とするものです。このポンプユニットは、1台当たり消防ポンプ車3台分の排水能力があり、追加配備することで、浸水被害により迅速に対応ができるということになっております。
続きまして、資料の4ページの一番下、あわせて資料の13ページをごらんください。
観光振興であります。
市内の宿泊施設については、7月6日から18日までで26施設において1万4,703人のキャンセルがある一方、8月は災害ボランティアの方が大勢岡山に来ていただきました。そういった方々の影響によって、宿泊の稼働率は結構高い状況であったというように聞いていますが、9月以降の市内宿泊施設の予約状況については、先日ヒアリングを行いましたところ、例年に比べ低いという話が出ております。このような状況を踏まえまして、観光、宿泊需要を喚起するとともに、岡山が元気で無事であることのPRを図るために、新たに民間の宿泊予約サイトで利用できるクーポンを発行することといたしました。宿泊クーポンの利用期間は、秋の観光シーズンであり、市内で桃太郎まつり等多数のイベントが開催される10月から11月を考えており、大人2人以上の利用で宿泊費合計が1万円以上、1回につき5,000円を割引し、発行枚数は2,000枚を予定しております。
このほか、新たにお知らせするものといたしましては、資料の2ページの3番目の項目になりますが、被災高齢者等の状況調査で、被災された高齢者等の各戸訪問により、困り事などの日常生活における支援ニーズの把握を通じて必要な支援につなげようとする事業を、もう既にこれは9月1日からスタートしているものであります。
また、このページ一番下の項目、被災された児童・生徒の心のケアのため、2学期からスクールカウンセラーを追加配置しております。
このほか、資料4ページ上の項目になりますが、被災した町内会の集会所の建物や設備に対し、これまでより上乗せした補助を行いたいと考えております。
個々の事業の説明は以上ですが、本補正予算には被災された方々からのさまざまなご要望を踏まえ、市単独で、あるいは市として国の政策に上乗せして実施する施策を盛り込んだところであり、被災された市民の皆様が一日も早く日常の生活を取り戻せるよう、生活再建や産業活動をきめ細かく支援するとともに、公共施設等の復旧や災害ごみの処理を加速させ、さらには豪雨災害の教訓を生かした防災対策の強化に全力で取り組んでまいりたいと思います。
私からの説明は以上です。
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質疑応答
- 記者
ポンプ整備についてなんですけども、笹ケ瀬川より西のところのポンプ整備っていうのを急がれるというのは先ほどご説明いただきましたが、一番大きかったのは東区だと思うんです。そのあたりの整備の状況っていうのはどのようにお考えでしょうか。 - 市長
一番被害が大きかったのは、確かに東区の平島とか古都とか、そういったところであります。
ここは、内水の氾濫っていうことではなくて、砂川の決壊によるものであります。砂川の決壊に対しては、当初から防災大臣、そして国土交通大臣等々にも十分お願いをしてきたところであり、かつその管理権限というのは県が持っているところであります。県のほうも、この5年間で相当の事業費を出してやっていきたいというふうなお話もいただいているところでありますので、我々としては、砂川の整備がより迅速に進むことを期待しているところであります。 - 記者
そこに市独自の何かを打ち出すということは、今のところお考えじゃないんですか。 - 市長
そういう面では、東区にもポンプの配備を行わせていただきます。どこまで有効かというのは、確かに難しいところもあるんですが、整備を待つというだけじゃなくて、その間にもし同じような災害が起これば少しでも軽減できるような対策として、提示をさせていただいているところであります。
そのほかにも、用水の調整とか、特にこちらは高梁川の水系からの問題が結構話題となっているんですが、用水調整なども行って、ソフトの面から少しでも水位が低くなるような、そういったことが考えられればというふうに思っています。 - 記者
市長が先ほどおっしゃった被災高齢者等の状況調査の件なんですけど、これ、8月に国の生活支援パッケージの中に、切れ目のない支援というところに入っていたと思いますけど、それで地域の支え合いセンターを立ち上げるための、事前の状況調査という位置づけなのか、それとももう既にそういうのが始まっていて、その中の一つのメニューという理解をしたらいいのか、その辺どういうふうな位置づけになるって言ったらいいんでしょうか。 - 担当者
おっしゃった国の支援パッケージに則って、市として行っていくものでございまして、NPOに委託をいたしまして、9月1日から10月の初旬までの間で主に床上浸水の世帯を中心に各戸の訪問をさせていただきまして、先ほど市長がご説明したように、困り事のご相談などを受けて、必要な情報提供または必要な支援機関へつないでいく、そういうことできめ細かい支援をしていこうと、そういうものでございます。 - 記者
ということは、そういう地域で支え合いセンターをつくるということにはならない。 - 担当者
ではないです。 - 記者
先ほどの観光振興についてなんですが、今後の予約状況、9月から11月の予約状況が例年と比べて低いということなんですが、具体的に何かどれぐらいの数字で下がっているんでしょうか。 - 市長
それはですね、たしか8月の末だったと思うんですが、担当のほうがヒアリングをかけています。そのヒアリングかけた結果として、相対としてちょっと芳しくないといいますかね。定量的な分析まではできていません。何割減とかっていうところまでできていませんけれども、全体としてみれば、相対としてやはりちょっと例年に比べて低いんではないかと、そういう傾向が出てるいということで。
特に10月、11月は県のクーポンももう効いてきませんから、そうなるとこれはやっぱり市で対応しなきゃいかんだろうという意識のもとでやらせていただいたということであります。 - 記者
笹ヶ瀬川の排水ポンプ場の整備のことなんですけれども、2年前倒しという予算を組んだというお話でしたが、具体的にどのような能力のポンプ場をつくって、それがどのような効力を発揮することを期待しているのか教えていただけますか。
- 市長
そうですね。ポイントのところについて、ちょっと説明を抜かしたかもしれませんが、一番重要なのは効果ですよね、おっしゃるように。
今回のような雨が降ったときにどういう効果が出てくるか、これが重要なんですが、そこでとりあえず、ある面短期的にやるものとして、我々が効果として設定したのが、この7月豪雨相当の雨が降ったときに、床上の浸水被害はもうなくすというところに焦点を絞っています。先ほど言いましたように、227戸でしたか、床上浸水が発生していますが、これがないようなそういう事業効果をもたらすようなポンプ施設をつくっていく。
したがって、その事業効果をもたらすような能力のある規模と位置を年明けには決めていく。そして、基本設計をすぐに始め、基本設計をやると敷地も固まります。敷地が固まると、そこで都市計画決定が打てると。当然ながら用地の買収もできる。ということで、都市計画決定を行って、今度は具体的な詳細な設計を行い工事に入っていくと、こういう流れです。 - 記者
ありがとうございます。 - 市長
すみません、こちらのほうが説明不足でした。 - 記者
排水ポンプの関係で1つ質問なんですが、これは完成の時期と稼働の時期というのはイコールと考えてよろしいんでしょうか。 - 市長
と、私は理解していましたけど、だよね。 - 担当者
はい。平成34年度末完成で、平成35年度当初から供用というものをイメージしています。 - 記者
平成35年度から稼働するということですね。
それと、観光に関してなんですけれども、今回、市長が先ほどおっしゃったように若干落ち込みが相対的にみられるってことなんですけれども、その落ち込みぐあいっていうのは、今回の災害をもってすれば想定の範囲内の落ち込みで、今後緩やかに回復してくるだろうみたいな考え方なんでしょうか。つまり、1カ月間ほどクーポンを発行されるわけですけれども、考え方としては効果っていうのは一過性といいますか、限定的だと思うので、それを次にうまくつなげていかないといけないと思うんですけれども、そのあたりをどういうふうに観光客を回復に持っていくかっていうのをちょっと教えていただければと思います。 - 市長
一般論としていけば、インバウンドもどんどん増えてきていましたし、コンベンションの効果も相当数出てきて、全体として岡山に訪れてきていただく方は相当増加をしていたという認識を持っているんですね。したがって、これは、私としては一過性のもので、今回全国的に、岡山市というわけじゃないですけども、倉敷の真備とかそういったものが報道されたと。そして、その結果としてやはり岡山に来るのはちょっと悪いんじゃないかとか、そういう思いみたいなものでちょっと落ち込んできたということがあるんじゃないかなというように思っております。
そういう面では、そこは一定のてこ入れがあれば戻ってきて、戻ってくれば通常の我々としての誘客の動きを活性化させていけば、従来どおりの流れになるものだというように思っております。ただ、この10月、11月が終わるような段階でも調査はしておく必要があるだろうというように思っています。今回の施策の効果みたいなものも十分これから検討してやっていきたいというように思います。 - 記者
財政に関してなんですけれども、政令市に移行して最大規模の補正予算ということで、当然災害に関しての予算としての補正では最大規模ということになるんだと思うんですけれども、市長先ほどおっしゃったように、財政調整基金から25億円余りを組み入れるということで、市への財政の影響、災害のあった自治体っていうのはこういうお金がどうしてもこれから響いてくるんではないかなと、将来的に思うわけですけれども、国への働きかけもというお話がありましたが、そのあたりをもう少し詳しく教えていただけますか。 - 市長
まず、岡山市の財政全体について言えば、実質公債費比率、将来負担比率等々見ても基本的には健全な財政を確保していると私は言うことができるだろうと思っています。ただ、数値的に見ると、県費負担の教職員が政令市、岡山市に移ったということで、少し数字だけ見るとまちまちのようなものになっていますが、この県費負担の教職員の影響を除外してみると、数値は全てよくなってきています。
そういう面では、財源的には大きな問題はないと思います。しかしながら、今の25億を基金から持ってくるということは、それは少なからず影響があるわけでありまして、それについては、できるだけ額を最小限にしていかなければならないと思っております。
具体的には、特別交付税をこれからお願いしていかなければならないと思っているんですが、通常こういう災害ベースでは一定額は特別交付税として入ってまいりますが、あとはその額についてなかなかちょっと不透明なところもありますんで、総務省には十分実情を話して、我々の事実関係をきちっと話した上で少しでも特別交付税が上乗せできるように頑張っていきたいというように思っております。 - 記者
議会でもいろいろと討論をされていると思います、今回の豪雨の避難について、なかなか避難される方が少なかったようなことを聞いているんですが、市としての避難指示の発表のタイミングも含めて、あり方みたいなもの、今後何か考えるものがあるかというようなあたりは、市長どのように考えていますでしょうか。
- 市長
そうですね。避難には今、避難準備情報、あとは避難勧告、避難指示っていうのがあるんです、ご存じのように。
今回、約70万人相当の方に避難指示を出していたのに対して、避難された方は3,300人だったと。どうかっていう問題があるんですが、この避難指示は、6日の22時45分に出ているんですね。それは、特に避難指示となると相当切迫感のあるところで、私は避難指示を出す状況っていうのは限定的にならざるを得ないんじゃないかなというように思うんです。
しかしながら、22時45分に避難指示が出たとして、避難所に行くことがかえって危ないときってありますよね。実態としてもよくおわかりいただくように。かえって二次災害に遭っておられるということを昔聞いたことがあります。内閣の防災をやっていたときですね。
そういう面から見ると、今回も22時45分に出た避難指示に対して、もちろん安全に避難所に行ける方は行っていただいて、そうじゃない方は垂直避難とかそういったことが望ましいんじゃないかなというようには思っております。ただ、その前の避難勧告とか避難準備情報については、ここも非常に難しいとこがあるんですね。いたずらに避難をお願いしちゃうと、というところもありますからね。ただ、やはり明るいうちに避難準備をしていただくとかそういったことは必要なんじゃないかな。
実は、そういう視点を入れて、それ以降の台風の対応とか、あと一昨日の雨についても、やはり少し早目に避難準備情報は出していこうっていうようなことは考えています。もう少し検証をしていかなきゃならないと思うんですが、市民の皆さんに避難しやすいようなこちら側からの情報伝達というものが、私は必要なんじゃないかなというように思っていまして、今の段階ではこういったことしか危機管理のほうには言ってないんですが、それをもう少し定量的にできるところね。そういったことをこれから課題整理の中で考えさせていただきたいなというように思っております。 - 記者
また笹ヶ瀬川に戻るんですけど、前倒しでされるということは、浸水シミュレーションっていうのにも書いてあるんですが、結構危険性も高いということなんだろうと思うんですけど、どの程度の、もし先般の西日本豪雨クラスの雨が来たときに、どの程度の被害を想定しているとか、そういったようなお話わかればお願いします。 - 市長
というか、今回の実態っていうか被害に鑑みてっていうことなんですね。
ちなみに笹ヶ瀬東部、南区ですね、平成23年の台風でも多くの浸水がありました。そういった浸水の実態があったわけですが、北長瀬のポンプ場、そして浦安のポンプ場等々が動き、用水調整もきちっとやっていたということで、いつも浸かっていたところが今回は浸からなかったんですね。
今まではそれほどの浸水被害のなかったところが、これだけの被害が出てきている。逆に言うと、早くこれと同じような整備をしていけば、当該地域の浸水が防げていく。今言っているように、床上浸水はもうなくそうじゃないかということで今回動き出したと。
ポンプ場の施設整備の計画はあったんですが、それが内々の計画では平成36年度に完成をするという予定だったものを、できるだけ早めろということで検討してもらった結果、平成34年度が限界だと。それには、今回の補正予算で基本設計を実施しないとそういう対応ができないということで、今回基本設計の予算提案をさせていただいていると、こういうのが実情であります。 - 記者
7月豪雨以降も日本各地でいろんな災害が起きていると思うんですけれども、そうした中、やはり今後は防災対策、災害に強いまちづくりに関して市長の思いをお聞かせいただけますか。 - 市長
はい。いろいろなところへ行って災害が少ないっていうふうに我々は言ってきたんですけれども、やはり災害というのはどこでも起こり得るわけであります。
岡山では、直下型の地震というのは調べてもらった過去を見てもない。活断層がないということもあって、ないんですけど、水害っていうのは幾つもございました。ただ、この近年も、平成になって最悪と言ったように、この30年間で初めてっていうのは職員も経験してないし、市民も同じように経験してないものでありました。だから、不慣れな点で市民にご迷惑をおかけしたところも私はあるんじゃないかなというように思います。
そういう面でいろいろな課題が見つかっております。その課題を整理して後世に残しておく、ないしは我々も使えるようにしておく、そういったことが必要だろうというように思っております。そういうことで、今回の災害の対応をいい教訓をして残していきたいと思います。