皆さんおはようございます。
それでは、平成30年度の当初予算案について申し上げたいと思います。
今回の予算案は、私にとって2期目として初めての年間予算となります。新しい任期のスタートダッシュを図っていく上で重要な予算だろうというように認識をしているところであります。具体的に内容に入っていきたいと思います。
では、お手元の平成30年度当初予算案のポイント1ページをごらんください。
まず、一般会計の予算額は3,172億円、対前年度比で28億円、0.9%増となっております。歳入は、まず財政運営の根幹をなす市税収入が対前年度比118億円の増となっております。これは、県費負担の教職員給与等の財源移譲分109億円が税制改正により交付金から市税に振りかわったことが大きな要因ですが、この影響を除いても個人市民税が個人所得の伸びを受けて5億円の増、固定資産税が地価の上昇などから3億円の増などとなっているところであります。臨時財政対策債を含む実質的な交付税は難病医療事務の県からの移譲などにより5億円の増、国、県支出金は子ども・子育て関係経費などにより25億円の増となっております。また、歳出では、繰出金が保健医療特別会計の保険給付費の減などにより24億円の減となる一方、扶助費は子ども・子育て給付費、障害者の介護訓練給付費などにより23億円の増となっております。
なお、一般会計に特別事業会計を合わせた予算総額は5,675億円で、対前年度比で133億円、2.3%の減となっております。これは、特別会計のうち国民健康保険費が都道府県化に伴う共同事業等の再編などにより133億円の減、介護保険費が第7期介護保険事業計画における介護保険給付費の減などにより29億円の減と、おのおの大きく減少したことが主な要因でございます。
お手元の30年度当初予算案の概要、こちらの3ページ、4ページをごらんいただきたいと思います。
歳入につきましては一般財源合計、ここの表の下に一般財源合計とあります。21億7,500万円増、1.1%の増になっております。歳出については、4ページです。27億6,600万円ということで増となっております。これらについて、この歳入歳出を均衡させる必要があります。これは通常、起債と基金からの繰り入れで対応していくところであります。この起債ですけど、まず臨時財政対策債は全額交付税で入ってきますからそれは別として、この臨時財政対策債を除いた市税、市債の新規借入額をどうするかっていうのが一つ問題になってくるんですが、3ページの市債の内書きのうち上記以外と書いているのを見ていただきますと、158億円から平成30年度147億円ということで11億円減らしております。そして、財源調整のために繰入金として62億円、これが29年度59億円だったのが62億円、このその他のところを見ていただくとわかりますが、そこで3億円増やして対応することにいたしました。62億円の繰り入れでどうなるかということですが、通常決算剰余金っていうものがあります。これが27年度、28年度とでいきますと、おのおの83億円という積立額ができております。そういうとこから見ても、この62億円は十分平成30年度内に積み戻しができるのではないかというように考え、繰入額を62億円とし、市債の新規借り入れを11億円減として147億円にさせていただいたところでございます。
前の資料にちょっと戻っていただいて、大きな面での市の財政がどうなってるかっていうところの指標を2つ整理させていただきました。ポイントの2ページです。
平成30年度当初の予算編成後の基金残高は311億円ということになってます。前年同期比を比較しますと287億円ですから、24億円の増となっているところであります。そういう面では、基金としては非常に順調に動いているというように言えます。ただ、一昨日ですか、庁舎整備基金の条例化についてご説明をさせていただきました。本庁舎の耐震化は多額の費用も要します。また、国庫の補助金、交付金、そして交付税算入もほとんどございません。したがって、できるだけこの基金で対応できるように、いわばキャッシュで対応していくということを備えるべきだろうというように思い、庁舎整備基金を新たに設置したいというように思っております。
もう一つ見ていただくと、財政状況がわかりやすいのが市債残高であります。注釈をつけておりますが、この臨時財政対策債は交付税全額算入ということになってます。これは国全体の財源不足の借金で、返済のための財源は今年度国が手当てをするというものであります。したがって、我々として返還をしていかなけりゃならないのは下の通常分、緑色の部分でございますけれども、これについては平成30年当初は1,512億円ということになっており、減少をしているところでございます。
市政のための財政運営は、今申し上げました基金と市債残高の増減だけで語れるものではございません。したがって、岡山市の経常収支の収支比率だとか実質の公債費比率だとか、そういったとこから見ていかなければならないというように思っております。これについても逐次財政状況という資料の中でご説明させていただいておりますが、各政令市に比べてもそれほど悪い状況ではないというように思っております。現時点では、安定した予算が編成できたのではないかというように思っております。今後も財政運営の健全性を確保しながら財政運営を行ってまいりたいと思います。
それでは、新年度の主な事業でございますが、内容はこういった概要と、また非常に分厚い資料をお配りをしておりますが、私からはとりあえず6点パワーポイントで整理させていただいておりますので、それをご説明申し上げたいと思います。
まず最初のページ、中山間・周辺地域の振興に地域の未来づくり推進事業であります。選挙中も周辺地域を回りましたけども、将来に対する不安っていうのは非常に大きなものがございます。それを少しでも払拭できないかということで、この事業を行わせていただこうというように思っております。懇談会を設けて事業内容や対象地域の議論をさせていただいているんですが、その結果、来年度から10年間を目処に地域の未来づくり推進事業として御津、灘崎、建部、瀬戸の4つの合併地域を含む中山間・周辺地域等を対象地域として企業やNPO、地域住民などの多様な主体が中心となって地域の活力の創出や生活機能、サービスの維持、確保など、コミュニティービジネスの視点で取り組む活動に対して財政的な支援を行うことといたしました。当初予算要求は5,000万円ということで、これ来年度からハードの事業までは動かないんではないかという担当局の想定でございました。実際上計画をつくって事業を行っていくというのは、やっぱり若干時間はかかるだろうというように思います。ただ、我々のほうもまだ要綱がきちっとできてるわけでもございませんから、その点は担当局の考えも十分理解はできるところでありますが、私は少しでもそれを前に動かすようにしていくっていうことが必要なんじゃないかということで1億8,000万の予算を確保しました。1億8,000万っていうのは現在36億円を単純に10で割ると3億6,000万になるんですが、どうしても動いても下半期になるだろうというように思います。そういう面ではその半分ということで、1億8,000万という額にさせていただいたところでございます。
次に、2枚目として路面電車の利便性の向上ということでございます。これも一昨日ご質問がありお答えをしたところでありますけれども、4年間路面電車の駅前乗り入れの議論をさせていただいておりました。各地元の皆さん等々から、やっぱり大きな問題としては交通渋滞のおそれがあるということが、私は最大の問題だったんだろうというように思います。紙の上での計算ではそういうことはございませんでしたけれども、やはり心配だということで実証実験をやるべきだというようなお話がございました。それをちょっと実証実験は現実的ではないというようなこともございまして、東京大学の吉村先生にお願いして交通シミュレーションという新たな渋滞予測の手法を整理し、それを動かさせていただきました。結果として、大きな、また著しい渋滞は生じないということになったということで、来年度は事業化につながる都市計画決定等の法的手続を行いたいというように思っております。さらに、路面電車っていうのは定時性の観点からもすぐれたものがございます。新たな文化芸術施設の平成34年度の開館予定などを踏まえ、将来の中心市街地における移動の一層の円滑化を図るため、路面電車のネットワーク化に向けた検討経費を計上いたしました。
なお、これは予算要求に上がっておりませんでした。私も担当を呼びまして、これについてどう考えてんだというような話をしたんですが、11月議会で検討の時期が近づいてきてるという話をしたということもあって、これからどうしていくかっていうのを市長と一緒に議論したいという話でありましたんで、市長査定の中で議論をし、これから調査をしていこうという整理にさせていただいたところでございます。
次に、別添資料3枚目、新たな雇用と活力を生む戦略的な産業振興です。これも一昨日、今年度の企業誘致件数12件ということで昨年度と同じ、今までにはない数字にまでいっております。岡山のポテンシャルをいかして、さらに私は推進できるんではないかというように思ってこの制度を導入することにいたしました。全国的に強まっている物流施設の集約拠点化の動きに対して岡山市への物流施設の立地を後押しするため、物流施設誘致促進奨励金の対象を今までは公的団地用地だけに限定してたわけですが、民間開発への土地へも拡大をする、そして補助率を拡充し、人材確保の奨励金を新設したいというように思っております。
もう一つ、左側に出ている小規模企業支援でございます。岡山市小規模企業・中小企業振興条例を制定し、この支援を強化していくっていうのは一昨日申し上げました。中でも小規模企業の状況については、景況感はやはり厳しいものがございます。人手不足も深刻で、なかなか新規採用ができにくいという要素があります。そして、生産力も弱い、受注増に対応できないという状況もございます。これらの背景を踏まえまして、来年度は小規模企業の人手不足に対応する機械、設備投資、生産性を上げる、こういった投資に対して補助率3分の2以内で50万円を限度とする補助制度を新設したいというように思っているところであります。
次に、待機児童対策であります。岡山市自身、昨年もワーストツーになったところでありますんで、今回はこの待機児童に対しては全体的に非常に力を入れて整理をさせていただいております。少しパネルで説明をさせていただきたいと思います。
平成29年4月1日段階で1万7,088人の方が入園を望まれた。これ認可保育園への入園の申し込みであります。結果的に849人の方が待機児童になっております。この平成30年4月入園申し込みの児童数は1万7,568人となっているところでありまして、これは1次の申し込み段階ですが、500人ほど増えている、こういう状況だとまずご認識をいただきたいと思います。今29年度中に1,500人の受け皿を拡大していくっていうのが一つあるんですが、来年度もこれ全てが1,500人入ったとしても当然ながら解消するわけではありません。したがって、まずはハードの受け皿を拡大していくっていうのが、これが最初の丸であります。私立の保育所等の施設整備です。
次に、私立の保育所等の受け入れ拡大。これ、ちょっと個別に言いますけど、1、2歳児の受け入れ拡大に対する助成、これは、前年度の受け入れと今年度といいますか、新たな年度の受け入れの差に対して助成をしていくと。これ、何のための助成かっていうと、育児休暇は通常1年あるわけですから、ゼロ歳児は自分のところで家庭の保育をして、そして1歳になって預ける。今、1歳児が最も待機児童が多い。したがって、この1歳児、2歳児を増やすということは、その待機児童対策にはなるんですが、1歳の子どもに対して十分保育できるものが確保されているということであれば、お母さん方も安心してゼロ歳児は自分の手元に置いていうことであります。で、昨年の待機児童が1歳児、2歳児が一番多かったんで、それは一つ、効果的であります。これは県の事業がこういうシステムをとられてるっていうんで、私もそれは賛同して、岡山市もやっていく。ただ、よく皆さん、3歳児の壁って言いますよね。小規模保育なんかはゼロ、1、2ですから、3歳のときに別の保育園に行かなきゃいけない。で、待機児童のこの849人の内訳を見ますと、3歳児がかなり多いんです。ちなみに、今年の1次の利用調整やりましたけども、これで未入園児童と言われるものは2番目に多いんです。1歳児が一番多いんですけど、2歳児よりも3歳児のほうが多いんです。となると、1歳、2歳の受け入れをずっと頑張ってもらったときに、3歳の壁という問題で、3歳児の子供たちが保育園に入れないということで、お父さん、お母さんが困る可能性があるということで、これは単独事業で、1、2歳と同じように3歳も頑張ってください、で頑張ったら一定の助成しますよっていう整理にさせていただきました。
民間保育士等処遇改善事業、これは去年のまま、2%独自加算は続けていきます。
保育支援者配置助成事業、これは保育士を助ける事務補助。で、これ、全体に見てこういう受け入れ拡大って言ってますが、保育士さんです。この2番目の1、2歳児をどれだけ預けられるか、今、施設としてはキャパがある。施設としてはキャパがあるが、保育士さんがいないから対応できない。例えば、1歳、2歳だと6人に1人、3歳児は20人に1人の保育士さんが必要になってくるわけですから、保育士さんが1人来ればそれだけ入れる。全体としてはこっちは保育士さん。ハード、ソフト、この両方で対応していく。
次が認可外の保育支援事業。これは認可保育所でありますが、もう認可保育所だけでは対応できません。だから、特認施設と呼びましたけども、こういうある程度きちっとした保育施設に誘導していくっていうことが重要であります。
で、ここから重要なんですけど、今までは私立の保育所に利用調整して入るっていうのが中心だったわけですが、これからは認可外の保育所に誘導していく、入れなかった場合、誘導していくっていうことが重要になります。そのときに必要なものが、保育コンシェルジュであります。私も先日、コンシェルジュの方と直接お会いしました。非常に大変。相談に多くの方が来られますけども、彼女からの話としても、これは何とかしなきゃいかん、実際にコンシェルジュが回らない。ということで、定形的な業務はもうコンシェルジュじゃなくて外部に回しましょうと。で、コンシェルジュは、保護者に対してより丁寧に寄り添う支援ができるように、そっちに集中してもらいましょうと。
認可保育所のハード、ソフトの整備、認可外保育所の環境整備、そしてそれらを結ぶコンシェルジュ、こういう頭の整理であります。少し計画が変わったのは、質の向上ということで、障害児、そしてアレルギー対策、これについても園長会から非常に強い要望がありました。これらについても対応させていただくということになったわけであります。
次は、教育の問題です。
教育は、昨年、教育大綱を策定して、学力の向上、また問題行動等の防止及び解決に関する具体的な数値目標を設定し、今、取り組んでおります。学力向上の面につきましては、特に教育委員会のほうから、子供の家庭学習というのが少し問題があるんではないかということで、この充実について、家庭学習に関する取り組みの好事例を示すなど、教育委員会がしっかりと学校をリードするとともに、学校からも具体的な取り組みを保護者に向けて発信することで保護者の意識向上、これに努めていきたいと。また、増加傾向にある小学校における暴力行為やいじめなどの問題行動に対する体制づくりのため、教育支援アドバイザーとして、経験豊富な教員OB等を小学校に配置いたします。さらに、今年度の総合教育会議において、教職員の負担軽減という重要課題が浮かび上がり、早期に改善を図る必要があるとの認識を教育委員会と持ったわけであります。それに向けた取り組みを進めるため、特に負担が重いとされる中学校の部活動について、週2日以上の休養日の設定を検討するとともに、部活動外部指導員の配置回数の充実を行います。
最後に、健康であります。
現状と課題は、もうそこへ書いてあるとおりで申し上げませんが、やはり人間の本質的な希望っていうか、それぞれがやっぱり健康で長生きをしたいという考えをお持ちであろうと思います。健康になる、そして次に健康状態を手軽に確認できる、そしてその健康な状態で活躍をするという、健康増進好循環プロジェクトを実施したいというように思っております。来年度は、まず健康増進に影響する運動、栄養、社会参加について、民間企業とタッグを組んで、豊富で魅力的なメニューを市民の皆さんに提供し、健康な生活を習慣化できるよう、SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)という新たな仕組みを活用しながら、新たな健康ポイント事業を行います。SIBって余り聞かれたことがないかもしれません。社会的にインパクトのある証券、債権っていうふうに訳せるんでしょうが、具体的には、これは金融機関等がSPC(事業実施のための企業団体)等に対して出資とか融資をまず行い事業を実施していく。で、具体的にあらかじめ定めたBMI改善などの成果指標に応じて、市がこのSPCに対して事業費を払っていく、こういう仕組みであります。この手法の活用により、市民は成果に裏づけられた健康になるサービスを享受できるようになります。また、市にとっては、成果に応じた支払いにより、仮に同じ1億円の予算であったとしてもより効果の高い事業実施が期待でき、市民がより健康になり、医療費削減にもつながる取り組みになるんではないかと思っております。SIBを活用した事業っていうのは、全国的にゼロではないんですが、こういうように複数の地場企業で構成して健康関連産業の推進につながるような、そして地域活性化にもつながってくSIBっていうのは、日本で初めての取り組みになるんではないかと思っております。現在、中国銀行と日本財団が設立した社会的投資推進財団とともに事業を進めることとしており、今後、企業等への広報を行い、事業参加企業を募り、具体のスキームも検討し、地方創生交付金の申請についても行ってまいりたいと思います。
2つ目ですが、市民が健康状態を手軽に確認できるという視点からは、国民健康保険の特定健康診査の受診費用をワンコイン、500円にいたします。2050円を500円に、これにより、一層の受診率向上を目指します。
そして、高齢者の皆様のまだまだ働きたいというお声に応えるため、高齢者のニーズ、例えば短時間勤務や健康状態などに応じて就労への働きかけやマッチング支援を行うよう、ご賛同いただける企業とモデル的に具体の働き方の見直しを進めるなど、就労支援の仕組みづくりを行ってまいりたいと思っております。
今、6点に絞らせていただきましたけれども、このほか、岡山市全体の公共交通の充実、また浸水対策など防災・減災対策の推進、環境保全や地球温暖化への対策、女性の活躍推進など、市民の皆様に少しでも早く大きな成果を実感していただけるよう、スピード感を持って施策を展開してまいりたいと思います。
最後に、今回の予算編成における市長査定項目は、今、幾つか申し上げましたけれども、当初予算の概要の34ページに一覧を掲載しております。なお、予算編成過程の見える化につきましては、詳細を別紙1、2の資料でもお示ししておりますが、財政の透明性を高めることによって、市民の皆さんがより市政に関心を持っていただくことを期待しております。
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