令和6年度補正予算案並びに関係諸議案のご審議をお願いするに当たり,その大要と市政の動向等について申し上げ,市民並びに市議会の皆様方にご理解とご協力を賜りたいと存じます。
台風10号については,東海地方や九州地方をはじめ,各地で大きな被害が発生しております。亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに,被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
本市では大きな被害は発生しておりませんが,被災地の一日も早い復旧・復興のため,国・県・他の政令指定都市等と連携し,必要な支援を行ってまいる所存です。
7月26日から先月11日までパリ・オリンピックが開催され,現在はパリ・パラリンピックが開催されており,日本を代表する選手たちによる熱戦が続いています。岡山ゆかりの選手の皆様のご活躍を,大いにたたえたいと思います。特に体操競技で52年ぶりに金メダル3個を獲得した岡慎之助選手の活躍はひときわ輝かしいものであり,これまでにない新たな賞の授与やパレードの実施について,関係者の意見を聞きながら,検討してまいりたいと考えております。
IOCのバッハ会長は,オリンピック開会式のスピーチにおいて,世界の人々に「ともに夢を見てほしい」と呼びかけられました。大会を通じて,選手だけでなく応援する人々がともに夢を見ることができる「スポーツの力」が,改めて強く世界に示されたところです。また,開会式や閉会式での華麗なショーは,人々を非日常の世界にいざなう「エンターテインメントの力」を,強く印象付けるものでした。
改めて,岡山の地においても,「スポーツの力やエンターテインメントの力が十分に発揮される環境」をしっかり整えなければならない,との思いを強くしたところです。
日本銀行岡山支店が先月に発表した岡山県金融経済月報によると,県内景気は,一部に弱めの動きがみられるが,緩やかな回復を続けている,とされています。岡山市でも,好調な経済が継続しております。
一方で,岡山市の生鮮食品を除く総合消費者物価指数は,前年比2%増となっており,物価水準は高止まりの状況が続いています。
岡山市は,7月に,国の施策に基づき,今年度に新たに住民税非課税世帯又は住民税均等割のみ課税世帯となった世帯に対して,1世帯当たり10万円及び子育て世帯加算給付金として児童1人当たり5万円の給付を開始するとともに,先月,令和6年分の所得税及び令和6年度分の個人住民税から定額減税し切れない方に対して,補足給付金の給付を開始いたしました。
また,昨年2回に渡り実施した岡山市独自の事業者向けのエネルギー価格高騰対策である省エネ機器更新補助金については,今年度に第3弾を実施しており,6月から順次,交付決定を行っているところです。
産業振興においては,市内企業による新たな価値の創造と,社会の変化に対応できる経営基盤の強化を柱とした支援を行ってまいりました。
令和2年度から行っている中小企業のデジタル化支援については,支援を受けた企業のうち,数値の把握が可能な16社の労働生産性が,実施後1年間で平均9.0パーセント向上していることが分かりました。今後も引き続き,事業者のデジタル化の状況に応じ,きめ細かな支援を行ってまいります。
イノベーションの創出などを目指すスタートアップへの支援については,支援拠点「ももスタ」に常駐のコミュニティマネージャーを配置するとともに,開業時の法的手続を専門家にオンラインで相談できるサービスを開始したところです。今後とも,スタートアップの創出と成長をさらに加速させてまいります。
一方,後継者不在に直面する企業への支援については,事業承継の潜在的なニーズを発掘する人材と,第三者承継の成約までの伴走支援を行う人材の育成を開始いたしました。この事業は,政令指定都市の中で初となるもので,この取組を通じて技術やノウハウの継承と雇用の維持を図り,地域経済の発展を推進してまいります。
企業立地の推進については,企業用地の確保が課題となる中,本年7月に,経済団体から産業団地周辺の土地利用規制の緩和について要望を受けたところであり,企業用地の確保に向けて,開発許可制度の弾力的な運用について前向きに検討を行ってまいります。
子育て支援においては,子ども医療費助成の大幅拡充や保育園等の待機児童の解消などに全力で取り組んでまいりました。
現在の市政の最重要課題のひとつである放課後児童クラブの待機児童問題については,専用施設の建設や小学校の特別教室を利用する「タイムシェア」の拡大による施設整備,紹介手当の導入や人材派遣の活用等による支援員の確保に取り組んでまいりました。令和6年5月時点で,前年度を494人上回る9,904人の児童を受け入れることができましたが,想定を上回る利用希望があり,待機児童数は,優先的な受入れが必要な低学年については3年生のみ3人にとどめることができたものの,全体では236人となりました。
岡山市の利用希望者数の伸びが予測を上回った要因は,フルタイムで勤務する保護者の皆様の増加と放課後児童クラブの市立化や施設整備等を契機とした利用ニーズの高まりにあるものと考えております。
また,待機児童数の増加は,全国的な傾向でもあり,国が公表した速報値によると,全国の待機児童数は,今年5月時点で昨年より約13パーセント増の1万8千人余りとなっております。
これまでの予測を上回るニーズの高まりが見られることを受け,残念ではありますが,令和7年5月時点での待機児童ゼロという目標を変更し,専用施設の整備及び民間事業者支援の大幅拡充により,令和9年5月時点での待機児童ゼロを目指してまいりたいと考えております。今回お諮りしている補正予算案では,専用施設の設計と民間事業者の新規参入支援の大幅拡充に係る費用を計上しております。
一方,高齢者の皆様にも生きがいを持ってご活躍いただくことが必要です。
岡山市では,先月から,高齢者のコミュニケーション能力の維持・向上を図るため,補聴器購入費の助成を開始するとともに,住民相互の支え合いを促進するため,外出に困難を抱える方の移動支援を行うボランティア団体の支援を開始いたしました。
新型コロナウイルス感染症については,10月1日から,重症化予防を目的とし,65歳以上の方と,60歳から64歳で重症化リスクの高い方を対象として,市内319の医療機関において,新型コロナウイルス感染症の予防接種を開始いたします。
また,岡山市は,先月31日から,「ベジ・ファーストOKAYAMA」プロジェクトを開始いたしました。「ベジ・ファースト」,つまり,食事のときに野菜から食べることについて,小売店や飲食店の皆様とともに普及啓発に取り組むことにより,自然と野菜摂取量が増え,健康になれる社会環境づくりを進めてまいります。
性的マイノリティの方々を対象として,令和2年7月に岡山市が導入したパートナーシップ宣誓制度については,宣誓における心理的な負担を軽減するとともに,全てのパートナーの方々に寄り添うため,昨日より,性的マイノリティか否かを問わず,異性同士の事実婚を含む全てのパートナーの方々に宣誓していただけることとしました。今後とも,誰もが自分らしく生きることができる社会を目指して,取組を進めてまいります。
岡山芸術創造劇場「ハレノワ」は,昨日,開館1周年を迎え,先月から1周年記念事業を開催しております。グランドオープン以来,市民・県民の皆様に,これまで岡山で観ることができなかったようなオペラやミュージカルなどをご覧いただくとともに,県外からも大勢のお客様にお出でいただいており,ハレノワの開館により,「通過地」ではなく「目的地」としての岡山の存在感が高まっているところです。
また,ハレノワの誕生を契機に,表町商店街も活性化しており,LED化されたアーケード照明は明るくなり,千日前ハレノワ通りで定期的に開催されている「ストリートマーケット」は,多くの人で賑わっています。新規出店の動きも活発化しており,ハレノワ開館後1年間で,表町商店街には新たに16店舗の出店がありました。
この好循環をさらに加速させるため,空き店舗・未活用店舗の利活用の支援のための調査を開始しており,さらなるまちの活性化に努めてまいります。
岡山市民・県民が感動を分かち合い,岡山への誇り・愛着を育むため,経済界と共に進めることとしたアリーナ整備については,ハレノワと同じように「目的地」としての岡山の存在感が高まるように取り組み,地域経済のさらなる活性化につなげたいと考えております。
岡山市は,先月29日に,経済界,スポーツ界,有識者等の皆様とともに,「アリーナ整備検討会議」を発足させ,今後,岡山にふさわしいアリーナ像の具体化について検討を進めていくこととしました。
スポーツの力・エンターテインメントの力を存分に発揮させる新しい岡山のエナジー,岡山の未来を創り出すアリーナの整備を具体化してまいります。
昨年,岡山市が加盟したユネスコ創造都市ネットワークについては,7月1日から5日まで,ポルトガル・ブラガで年次総会が開催され,私は,3日の市長フォーラムに出席し,岡山市の文学についてスピーチを行いました。
岡山市は日本で初めて文学分野に加盟した都市であるため,他の都市から強く関心を持っていただき,ドイツやフランス,カナダ,サウジアラビアなどの多くの都市から,連携したいとのオファーをいただいたところです。
今後は,岡山ゆかりの作家の方など文学関係者の皆様とともに,岡山市での文学分野の国際会議の開催や,海外のネットワーク都市との連携などを行うことにより,岡山市の国際的なプレゼンスを高めるとともに,市民の皆様が国内外の文学,文化,芸術に触れる機会を創出してまいります。
国際交流については,ユネスコ創造都市ネットワークのほかにも,国際機関への訪問や市民の皆様同士の交流を活発に行っております。
私は,ユネスコ創造都市ネットワーク年次総会の翌日に,フランス・パリにあるOECD本部のチャンピオン・メイヤーズ事務局を訪問し,OECD事務次長の武内良樹氏と意見交換を行うとともに,事務局からOECDのウェブサイトに掲載するためのインタビューを受け,岡山市の施策を国際的にPRいたしました。
また,7月30日から先月6日まで,6年ぶりに「国際サマーホームステイ」事業を実施し,岡山市の中高生に,6つの国際友好交流都市・地域から岡山市に招いた中高生46名との交流を深めてもらうことができました。
様々な形での交流を行うことにより,岡山市の魅力を国際的に発信するとともに,友好の輪を広げてまいりたいと考えております。
岡山市の歴史・文化遺産の魅力の向上と発信については,文化財と観光の融合をキーワードに,取組を進めているところです。
本年6月には,浦間茶臼山古墳が日本遺産「桃太郎伝説」の構成文化財として,西大寺会陽を始めとする10件の文化財が日本遺産「北前船寄港地」の構成文化財として,それぞれ追加認定されました。今後とも,日本遺産ブランドを生かして,地域の皆様とともに文化財の魅力を発信し,観光誘客や地域活性化に努めてまいります。
それでは,甲第141号議案の令和6年度一般会計の補正予算の概要について申し上げます。
補正額は,一般会計で4億5百万円の増額となっております。補正に要する一般財源については,令和5年度決算により生ずる見込みの剰余金で対応いたします。
主な内容としましては,放課後児童クラブの更なる受け皿確保に係る経費,国直轄事業計画の決定に基づく負担金等を編成したものです。
続きまして,その他の議案の主なものについて申し上げます。
甲第143号議案は,医療機関等における公的医療保険の被保険者等であることの確認方法として,電子資格確認等を追加するものです。
甲第145号議案は,政令等の一部改正に伴い,水道の布設工事監督者及び水道技術管理者の資格要件を改める等のものです。
甲第171号議案は岡山市民会館解体工事について,甲第172号議案は(仮称)岡山市南輝認定こども園園舎新築工事について,それぞれ請負契約を締結するものです。
以上で提案理由の説明を終わります。
よろしくご審議の上,議決を賜りますようお願い申し上げます。
ただいま上程になりました報告についてご説明申し上げます。
報第34号は,地方独立行政法人岡山市立総合医療センターの令和5年度の業務実績に関する評価結果について報告するものです。
報第35号から報第38号までは,いずれも令和5年度に放棄した債権について報告するものです。
報第39号は,岡山市可燃ごみ広域処理施設整備・運営事業建設工事について,契約金額を変更したものです。
報第40号はリース公用車の返還不能による債務不履行について,報第41号及び報第42号は市有自動車の事故について,それぞれ賠償額を決定したものです。
報第43号は道路の管理瑕疵による事故について,報第44号及び報第45号は公園の管理瑕疵による事故について,それぞれ相手方と和解し,賠償額を決定したものです。
報第46号は,市営住宅の家賃の滞納等について,連帯保証人である相手方と和解をすることを決定したものです。
なにとぞよろしくお願いいたします。
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