第14回坪田譲治文学賞受賞作
『ナイフ』(新潮社刊)
重松清著
1963年、岡山県久米郡久米町に生まれる。
早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。出版社勤務を経て文筆業に入る。
1991年、『ビフォア・ラン』でデビュー。
『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。第124回直木賞を『ビタミンF』で受賞。
現代の家族の姿を描くことを大きなテーマに、話題作を次々と発表している。
その他の主 な著書に『定年ゴジラ』『日曜日の夕刊』『カカシの夏休み』などがある。
『ナイフ』は以下の5つの短編小説で構成される。ある日突然、優等生の女子中学生がいじめの標的にされる「ワニとハブとひょうたん池で」、冴えない中年のサラリーマンがいじめに遭う息子を救おうと試みる「ナイフ」、幼なじみの男の子がいじめられているのに、助け船を出せずに自分もいじめの “ギャラリー”に加わってしまう女の子の、揺れ動く気持ちに寄り添った「キャッチボール日和」、昭和40年代の懐かしさとともに当時のいじめを描く、ちょっとノスタルジックな「エビスくん」、小学生の娘と両親、担任の女性教師との葛藤を通 して 家族の日常をほろ苦く描く「ビタースィート・ホーム」。 以上の5編から成る『ナイフ』は、いじめの不条理さ、いじめられる者の痛み、子供のいじめに直面 した両親の苦悩など、さまざまな角度と切り口で非常にホットな “いま”の問題をスケッチしている。著者の重松清氏は、家族や夫婦や子供たちと いった日常的な風景の中に、現在に生きるありふれた「私たち」の苦悩と希望をエンターテイメントの形で巧みに描いてきたが、本作は、そうした重松氏の面 目躍如たる作品集となっている。
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