三平が学校からかえってきましたら、みちにふなが一ぴきおちていました。どうしたのでしょうか。川からはねあがったのでしょうか。ひとにとられるとき、あみからおちたのでしょうか。ピンピンはねておりました。
三平は、それを、くさのはにつつんでもってかえりました。うちにかえると、そのしっぽにじをかいた、小さな木ふだをつけました。
「いたずらこぶな。」
だって、川のなかでおとなしくしておればいいものを、みちではねるなんてきっと、おかあさんのいいつけをきかないふなにちがいありません。そこで木ふだをつけると、おにわのおいけはなしてやりました。ふなはそれでもうれしそうに、木ふだをひいて水の中におよいでいきました。ところがそのばんのことです。三平はゆめをみました。
「いたずら三ぺい。」
いつのまにかじぶんのせなかに、そんな木ふだがさがっているのです。ともだちがたくさんあつまって、わいわいはやしたてます。
「いたずら三ぺい。」
「いたずら三ぺい。」
「大いたずら三ぺいくん。」
そして、だれひとりあそんでくれません。
「山田くん、あそぼうよ。」
なかよしの山田くんをみつけてちかよっていきますと、
「いたずらっことあそぶ子いたずらっこ。」
それで山田くんもこまったかおをして、あとしざりをします。
「すずきくん。」
またなかよしのすずきくんをよびましたが、すずきくんもにげていきます。三平はこまって、もうなみだが出そうになってきましたが、そのときです、目がさめました。ゆめだったのです。
「ああ、ゆめでよかった。」とそうおもいました。すると、すぐひるの木ふだをつけた、ふなのことがおもわれました。
「そうだ。あのふなもきっと、ともだちからのけものにされてこまっているだろう。あすはあの木ふだをとってやろう。」
それからゆめもみずによくねむりました。
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