第40回坪田譲治文学賞受賞作
『ひみつだけど、話します』(あかね書房刊)
堀川理万子著
令和7年1月28日発表
令和5年9月1日から令和6年8月31日までの1年間(※)に全国で刊行された小説、児童文学等の中から、小説家・児童文学者等から推薦された123作品について、「大人も子どもも共有できる世界を描いたすぐれた作品」という観点で、予備選考会を経て候補作5作品を選定。
これを、令和7年1月14日(火曜日)開催の第40回坪田譲治文学賞選考委員会で慎重に審査した結果、堀川 理万子著『ひみつだけど、話します』が選ばれた。
選考委員は、五木寛之、西本鶏介、森詠、川村湊、阿川佐和子、中脇初枝、森絵都の7名。
※選考の基準日は9月1日(岡山市文学賞条例施行規則第2条)
堀川理万子
1965年、東京都生まれ。東京藝術大学美術学部デザイン科卒業、同大学院美術研究科修了。絵画の個展などを定期的に開催。『海のアトリエ』(偕成社)で、Bunkamuraドゥマゴ文学賞、講談社絵本賞、小学館児童出版文化賞を受賞。
おとなが発する言葉のいちいちに、「おとなだって、かつては子どもだったはずなのに、言われていやだったことを覚えていないのかしら?」と、いつも、斜に構えている子どもでした(自分の行いを差し置いて)。そんな記憶と、子ども時代の友人たちのエピソードをもとにこの作品をかきました。
絵で文の世界が広がるように描くのはとても楽しいことなので、もとが画家でよかったと思う一方、文を書くことには、門外漢という思いがあり、この受賞は、「書いてもいい」という手形をいただけた気がして、深く感謝しております。
足立くんは電車がすき。走っている電車を目玉を左右に動かしながら見ると、止まって見えることを最近、発見した。小川さんはお母さんに、「買いぐいはだめ」っていわれているけど、だがし屋さんでひもあめを買って公園で食べた。うっちゃんはじいちゃんの見舞いに行き、お母さんから預かってきたひみつの小瓶を渡した。あまり学校へ行っていないしゅうこの目下の友だちはてるてるぼうずのテルコだ。すきな給食(さばのたつたあげ)の日には行ってみようかな、と考えている。彼らはこうして、それぞれがちょっとしたひみつを持っていて、駅前で、へび公園で、学校で、お互いになにげないことを伝えたり、感じとったりしながら関係性を築いてゆく。ある日の放課後、4人はふみきりに集合する。そして足立くんの電車の見かたを教えてもらう。8才たちの心の動きと、その日々を、堀川理万子さんが文と絵でえがいた物語。巻末のページまでもが楽しみな、珠玉の1冊。
多様な候補作の中から、堀川理万子氏の『ひみつだけど、話します』が選ばれた。作者による挿絵とともに、放課後の四人の小学生の姿が、いきいきと立ち現れる。世界がどんなに変わっても、こどもの世界は変わらないと改めて気づかされた。長きにわたって日本文学の豊かなありように貢献してきた、稀有な市民の文学賞である坪田譲治文学賞の、記念すべき第40回の受賞作としてふさわしい、おとなもこどもも楽しめる物語である。
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